やっとの給料日。

前日まで何とか業務スーパーやラ・ムーで買った安い食材(冷凍食品やラーメン等)で堪え忍んできた日々に抜け、美味しい夕食にありつくために、カバンに銀行通帳を入れて、夕方の仕事帰りに帰り道にあるスーパーで1万円を下ろそうと、ATMに通帳を入れる。

おや、ATMの画面が進まない。すると通帳が戻ってきた。「通帳欄が全部記載され、もう記帳ができません。新しい通帳は銀行の窓口でもらって下さい」と表示されていた。

マジかよ~ これじゃあ、お金が下ろせないじゃないか~

憤慨して歩いてスーパーから離れそうになった時、“あっ、同封していた銀行カードがあるじゃないか~”と思い出し、再び同じATMの所に戻って、再度下ろそうとカードを入れる。

しかし、なぜかカードを入れたATMは鈍い音を出しながら、少しの沈黙が流れる。するとカードが戻ってきて、画面には「このカードは使えません!」と表示がされている。

えっ、なんで? 通帳は仕方ないと思えたけど、なんでカードまで使えないの?

口座にお金があるのに、下ろせない! 現在、財布の中には500円位しかない。 いやいやピンチじゃん!

ATMの横には、“困った時には連絡して下さい”と書かれてある電話があり、すがるようにその受話器を取る。

受話器に向こうの女性オペレーターに事情を話すと、「銀行カードのICチップかカード上部の磁気ラインが汚れていると機械が読み取れないため、一度汚れを取ってもらえますか」と言われた。ICチップに少しだけ黒い汚れが付いていたので、つばをつけた指でゴシゴシ擦ってみた。なんとなく汚れが取れた感じで再度カードをATM内に入れた。がやっぱり戻ってきた。その事を女性オペレーターに伝えると、「新通帳や銀行カードは銀行の窓口でしか取り扱っていないので、来週月曜日に直接この銀行に行って下さい」と、マニュアル通りの回答が返ってきた。いやいや、それ位の答えは別にあなたに聞かなくても考えつくよ。

「それは分かるんですが、私は現在500円しか財布の中に無いんです。どうやって週末に食べ物にありついたら良いんですか? それくらい切羽詰まっているんです! 何とかして下さい!」と半分怒りながら訴えた。

女性オペレーターは、「私達は銀行員じゃなく、別の会社でATMの監視や困った時に対応をしているだけので、ここからお金を下ろす方法は知りません。ご容赦下さい。」

「えっとでは、私は今からこのATMを管理している近くの銀行の支店に電話します。そこで営業時間外ですが、もし誰か行員がいたらあなた様の携帯まで連絡させる様に言います。行員が誰もいなかった場合は、また私の方から電話します!」と提案され、私の携帯番号を伝えた後、電話を切った。(本当はこんなクレームの電話をしながら、私はお金が下ろせなかった場合、家に置いてある口座からお金を下ろし忘れた時の緊急時用の1万円札を使って、後から補充するかと同時に考えていた。だから本当は切羽詰まっていた訳ではなかったが、自分のお金が下ろせない状況が許せなかったから電話は続けて、解決を目指してみた)

スーパー内のソファーに座って数分後、私の携帯に電話が掛かってきた。画面をみると、今いる所の市外局番だ。やった、銀行の人がいたんだ! 助かった~

電話で「今すぐその支店まで来てくれたら、新通帳にして下ろせるようにする」と言われ、やっと安堵した。20分後に到着すると伝えて電話を切り、一連の喋りで喉が渇いた私は、そのままスーパーでカルピスウォーターを買って、ごくりと飲む。

指定の銀行に向かおうと歩き出すと何故か外は雨降りあと。えっ、こんな短時間で雨降ったの? なんかツイテナイな~

 

銀行に着くと、再度銀行の人に電話して、ATMコーナーに来てもらう。

茶色のスーツを着た割とスラッとした中年男性の銀行員は、謝りながら私の通帳を見せて下さいと言う。言われるまま通帳を渡し、ATMに入れると自動で記載でいっぱいになっていた前のと新しい通帳が出て来た。

やった、これでお金が下ろせる! すぐに新通帳をATMに入れて、1万円を下ろす。お金を取った後は、新通帳に記帳する。

さらに壊れた銀行カードをどうしようかと銀行員に言って渡すと、銀行員はそのカードのICチップの汚れを指で拭き取り、ATMに入れてみる。するとそのATMの画面に“カードの修復しますか?”と訊いてきた。えっ、銀行カードの修復がATMで出来るの? すっげー、ススンデル~

もちろん、修理するのボタンを押すと1分ほど機械の中でウィーンと音が鳴って、カードが出てきた。

直ったかどうか確認する意味でもう一度ATMに銀行カードを入れる。すると暗証番号を問う画面になった。つまり通常通りに使える。やった、直った。すげーーーーーーーーーーー

銀行員に話を聞くと、このATMは最新式だからここまで出来ますと返答があった。

銀行員曰く、ICチップは、携帯の磁力だけで使えなくなるらしい。この通帳とカードは、同じポケット内に携帯と一緒に入れていた為、それが壊れた原因かもしれない?

最後に銀行員に先程の「女性オペレーターの人は、銀行とは別会社で管理しているんですね。」と訊くと、「別会社にATM監視業務を委託しているので、平日昼間以外は手数料を取られるのは、その会社に銀行から支払いしないといけないため何ですよ~」と言われた。

銀行員が「ATMは、年々進化しています」と言ってきたが、私は「機械は進化しますが、使う方の人間(私)は、ミスばかりだからダメだな~」と半笑いしながら、銀行を出た。

 

人生は、“上り坂、下り坂、まさか”の3つの坂があると言われるが、想定していない珍しい“マサカ”な場面にぶち当たると本当に困ってしまうんだな~と改めて思い知らされたトラブルだった。

(すぐに解決したから笑い話になるが、未解決なら笑えなかったな~)