山路力也です。

新馬場にオープンした話題の新店
「東京いまむら」に行って来ました。

いまむら


ここ十年の中で数多くのラーメンを食べて来た私ですが、
間違い無く衝撃を受けたラーメンの一つが
いまむらのラーメンでした

私が最後に食べたのは関内時代なので、
もう何年前になるでしょうか。

上大岡にしても関内にしても
横浜で育った私にとって、
とても馴染みのある場所への出店が多かったのですが、
今回は予想に反しての都内進出となりました。
しかも以前西麻布に出店した「輪舞」のような支店ではなくて、
こちらを本店としての完全移転。
店名に「東京」と掲げるあたりも、
出店場所が「新馬場」というあたりにも、
今村さんの本気度が伺えます。
それは横浜時代やこれまでとは決別して、
東京に骨を埋めようとしているようにさえ感じます

店は京急新馬場駅南口から徒歩すぐ。
以前もラーメン店だったという居抜きの店舗は
とても小さな店でカウンター7席のみ。
今村さんが一人で切り盛りされています。
作務衣を着てキビキビと動く今村さん。
「美味しい食べ物は正しい型から生まれる」ことを
信じてやまない私としては、
その淀み無き立ち振る舞いから
ラーメンの美味しさを確信します。
限定メニューも気になったのですが、
まずは基本の「地鶏と魚貝の醤油味」を注文します。
料金は前払いで、650円です。

いまむら


出て来たラーメンはまず表情が良いですね。
スープに浮かんでいる油がキラキラとしています。
そしてスープを一口すすれば、
程よいオイリー感のバランスが素晴らしいです。
いや、これはやっぱり旨いなぁ。

素材の旨味を活かした設計のラーメンの場合、
たいていがシンプルで油分やカエシも少なめにして、
よりスープ本体を直接飲ませようという設計になりがちですが、
今村さんのラーメンは繊細で丁寧な作りでありながらも、
そもそもラーメンという食べ物が持つ
ある一定の「下品さ」をちゃんと持っているのです。

油もしっかりと感じさせ、塩度も比較的高め。
さらに「揚げネギ」も躊躇することなく浮かべる。
煮干しや魚介の旨味を鶏が下支えしている絶妙な構成。
一口飲んだ後にすぐまた次の一口を飲みたくなる、
そんな吸引力が物凄いスープ
です。

麺は中西製麺にレシピを投げた特注麺で、
粉は日清製粉のブレンド粉「荒武者」を使用しているとのことですが、
この麺がまた素晴らしいのです。
最近ありがちな何でも硬めに茹で上げる麺ではなく、
適正な茹で時間でちゃんと茹でられている麺は、
しっかりとした歯応えは残しつつもモチッと感もあり、
さらに食感が滑らかでスープの拾い上げも良い。
この麺はきっと水で締めても美味いだろうなぁ。
もちろんスープとのマッチングも完璧です。

麺とスープがしっかりしていれば、
ラーメンという食い物としてはもう完成している
わけで、
具はおまけみたいなものなのですが、
具にも一切手抜きが無いのがいまむらスタイル。
まず厚切りでしっとりとした食感のチャーシューが旨いです。
ただ肉を巻いてタレに漬け込んだ、というようなものではなく、
時間をかけて丁寧に下味を入れて旨味を閉じ込めて、
一つの肉料理として向き合った結果のチャーシューになっています。
また半個の味玉は燻製の香りをまとい、
スープと麺の香りの隙間を埋めるように優しく染み込んで来ます。
青菜も金時草だと思いますが、食感と風味に存在感があります。

いまむら


というわけで思わず普段はあまりやらない店内連食。
限定第1作である「ロックソルトと貝柱の塩ワンタン麺」
先ほどの醤油とはまったく異なる表情を見せる塩スープは
まろやかでありながらしっかりと塩ラーメンとしての塩度を保ち、
ふるふるとして溶けそうなワンタンも絶品です。
900円という金額に十分見合う一杯になっていました。
今後も限定を発表していくそうなので、こちらも大変楽しみです。

10年選手の今村さんなのだから、
当然といえば当然なのだけれど、
今年上半期で文句無く頭一つ抜けた新店の登場という感じです。
今度は未食のつけ麺とワンタン麺を食べに来なければなぁ。


【東京いまむら】
東京都品川区南品川2-9-2