2019-03-20 22:00:12 | 日本人論
2018/5/29(火) 午後 1:19
「縄文人と弥生人の頭蓋骨の比較」としてしばしば引用されている写真は、恰も「弥生時代」とされる紀元前10世紀から紀元後3世紀中頃の時代に「弥生人」と呼ばれる人々が大々的に大陸から日本に押し寄せ、原住民である「縄文人」に取って代わる一大勢力として大陸由来の「弥生人」が日本列島に定住したかのような印象をこれまで与えてきた。
ところで、江戸時代の平均的な日本人と現代の平均的な日本人との身長、下肢の長さ、下顎骨の形状や大きなどの骨格の形状を比べれば、両者間の生活環境や食生活の違いによって「変化」がもたらされたことを認めつつも、前者を「江戸人」後者を「平成人」と呼んで区別するであろうか?両者とも「日本人」であることに異論を唱える人はいないであろう。
戦後の歴史界には戦中の皇国史観の反動と公職追放を利用して、例えば敗戦の三年後に発表された江上波夫氏の「騎馬民族征服王朝説」、「神武架空説」「欠史八代説」「王朝交代説」など、確たる論拠もなしに左翼学者の「渡世のために」魑魅魍魎のように次々に発表されるという悲惨な事態が起こった。
そして現在のように恰も「朝鮮半島から稲作をもたらした『弥生人』なる大量の渡来人達が流入して、それまで日本列島で「狩猟採取のみ行っていた縄文人」との二系統が現在の日本人の祖先である」という誤った概念がはびこってしまい、今日に至っているのだ。
「縄文人」は先住民ではなく我々日本人の共通の祖先なのである。
イネは大きく分けると「アフリカイネ」と「アジアイネ」の2つに分かれ、「アジアイネ」は更に「インディカ米」(中国南部、タイ、ベトナムなど東南アジアで栽培)と「ジャポニカ米」(日本と中国東部と朝鮮半島で栽培)「ジャバ二カ米」(ジャワ島東南アジア、イタリア、スペインなどのヨーロッパで栽培)の3種がある。
引用:https://www.olive-hitomawashi.com/column/2018/05/3-7.html
縄文時代の人々は朝鮮半島よりも4千年も早く「ジャポニカ米」の陸稲を開始しており、「ジャポニカ米」は朝鮮半島からもたらされたものではなく、更にいえば水稲農耕が始まったのも実は縄文時代後期からで、それ以前にもイネを稗、粟、きびと混作する陸稲の雑穀栽培や焼畑農耕が行われていたことなどが現在明らかになっているのである。
つまり、「稲作は朝鮮半島からやってきた『弥生人』なる人々がもたらした」というのは虚構でしかないのである。
その根の深い虚構の歴史観は、始末の悪いことに多くの歴史学者の目を曇らせ、学校で教えられる「日教組」主導の歴史の教科書レベルでも、容易に改まることがないのが現状。
そして現在では遺伝学、言語学、環境工学、地質学その他「科学の目」によって「『弥生人』なる人々が日本列島に大量に流入したわけでなない」ということも実はわかってきたのだ。
どの時代においても、大陸や朝鮮半島から少規模あるいは中規模の集団が日本列島に上陸して住み着いた例もあろうし(4世紀から7世紀頃にかけ飛鳥地方に住み着いた「渡来人」など)、たまたま漂着して日本に住み着き、その土地の人間と混血した例はあろう。秀吉の朝鮮出兵で連れて来られた「朝鮮陶工」などのように、長きに渡って日本人とは住み分けて混血せずに「朝鮮」のような小集落で暮らしてきた人々の子孫が今日に至るまで日本で暮らしてきたことは事実ではある。
しかし「弥生時代に『弥生人』という大量の別系統の人々が流入した」という説が、戦後の左翼学者によって歪められた「考古学や歴史の虚構」であることが実は近年明らかになってきたのだ。以下は引用文からの要約。
「形態人類学的な「体型や骨格」などの外見上の違いは「種の違い」を証明する材料にならないことは、既に早い段階で指摘されてきたことでなのある。」
「この間違いを実は進化論を唱えたダーウィンの著書「種の起源」の中で犯している。ダーウィンは「ダーウィン・フィンチ」という鳥の嘴の形状の違いを環境による進化(原文はevolved=発展した)ととらえたが、これは種を分けるような「進化」ではなく「変化」なのである」
「同様の例は身近なところにもある。例えば近年顕著な日本人の形態変化として明治・大正の日本人は短躯で顎が大きく張り、四角い顔をしているが現代の若者は長身に小顔で顎が細くスレンダーでもある。」時代や生活が変わると短期間でもこのような変化が起こるわけで、「『縄文人』と『弥生人』の間に起こった形態の変化」はまさに一昔前の日本で起こった変化と同じく食生活と生活様式の変化がもたらしたものなのであろう」
京都大の日沼頼夫教授が調べたヒト成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスであるHTLV(特にHTLV-Ⅰ)の保因者分布によれば、アジアの保因者は日本列島に特異的で、朝鮮半島や中国にはゼロであることがわかっている。縄文人由来のウイルスであるとされるHTLV-Ⅰキャリア(感染者)は九州が7.8%と飛びぬけて多く、中部地方が最も少なく0.3%、関東や東北も少ない。
「もし実際に『弥生人』と呼ばれる人々が大々的に大陸から日本に来ていたならばまず九州に上陸するはずで、『先住民』である縄文人由来のHTLV-Ⅰの割合は九州が一番少なく、四国、近畿、中部、関東、東北と段々多くなっていくはずである」という矛盾点を国際縄文学協会の長浜浩明氏は指摘している。
「稲作をもたらした弥生人」という虚構をつくりだし、「平面的な弥生顔」「彫りの深い縄文顔」などと言ってみたところで、例えばすぐ直近の先祖にコーカソイドがいれば「彫りの深い顔立ち」になったりもするわけで。
「乾いた耳垢」「湿った耳垢」は外耳道内の皮脂腺の差異のことで特定の遺伝子に関係していることは事実であるが、「口を動かさずにウインクできない」「できる」は顔面神経の発達の話なのだ。容貌、耳垢、ウインクなどを全て単純に系統分類できると思っていっている人々というのは遺伝学や解剖学をを全く理解していない人々である。
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