■海自は中国海警との「交戦」は行えないし、武力による威嚇も不可

自衛隊は「憲法9条」に「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない」とあるため、(国土の保全という自衛のためであっても)中国海警による尖閣に上陸を阻止するための交戦はおろか、武力による威嚇も出来ません。

 

 

独立国家である以上、最低限の国防のための「交戦権」は普通の国として当然の権利ですから、早晩これを改正すべきであることは自明ですが、問題はそのタイミングであり、それを最悪の目的で利用されることを我々国民は危惧しているわけです。

 

 

ところで、自民党の改正草案にある「領土の保全等」という表現には、領海を含む海底資源などが含まれているようです。

 

中国が尖閣の領有権を初めて公式に主張したのは1971年12月です。

 

1968年に東シナ海に石油資源が大量に埋蔵されている可能性が指摘されたためとみられるています。

 

尖閣沖は原油や天然ガスの「宝庫」 でも、試掘権の申請は40年近く棚上げ

(2012年9月16日 J-castニュース)

国連・アジア極東経済委員会(ECAFE) の協力で東シナ海で海底調査が行われ、その結果、尖閣諸島周辺の海域には1095億バレルの原油埋蔵量があり、「世界的な産油地域となるであろうと期待される」と、石油の有望な埋蔵地域と評価された。

 

1000億バレルの埋蔵量は、世界一の原油埋蔵量のサウジアラビア(2667億バレル)には及ばないが、イラク(1150億バレル)やクェート(1040億バレル、いずれも2009年10月の公表値)に匹敵する。

 

現在の原油価格は1バレルで約100ドル。1000億バレルは10兆ドル分で、1ドル80円換算で800兆円にのぼる原油が眠っていることになる。

 

埋蔵量、実際はよくわからない

ただ、当時の調査方法はスパーカ震源による地震探査法と呼ばれる、海中放電(スパーク)による衝撃を震源とする簡易調査法だった。原油の埋蔵量を評価するためには、海底下約6キロメートルまでの地下構造が解析できる近代的な地震探査法による調査が必要で、日本では1980年代になって取り入れられるようになった。

 

その後の調査をもとに経済産業省石油審議会が1994年に試算したところよると、尖閣沖周辺の原油埋蔵量は約32.6億バレル(天然ガスを含む原油換算、5.18億キロリットル)になるとされ、ECAFEによる調査時のおよそ30分の1になってしまった。

 

それでも、金額換算では約27兆円になる。

 また、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMC)によると、熱水中に含まれる銅やレアメタル(希少金属)が積もってできる「海底熱水鉱床」が石垣島周辺で見つかったことで、尖閣沖周辺にも新たな鉱床が見つかる可能性がないとはいえない、としている。

 

政府は2012年9月11日、尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島を20億5000万円で国有化した。政府は購入目的を「平穏かつ安定的な維持・管理を図るため」としており、購入後は海上保安庁が管理し、灯台や漁船の待避施設などの整備は行わない方針だ。

 

双日は、「原油や天然ガスがあるとされるので、期待はしています。しかし、国有化されたからといって何かが変わるようなことは当面ないでしょうし、国際的に安全が担保されない限り、前進はないでしょう」と話している。

尖閣沖は原油や天然ガスの「宝庫」 でも、試掘権の申請は40年近く棚上げ: J-CAST ニュース【全文表示】

 

 

尖閣に上陸図る場合、海上保安官らが「危害射撃」可能なケースも…政府見解

(2022年2月25日読売新聞オンライン)

政府は25日、自民党の国防部会などの合同会議で、中国の海警局の船などの乗組員が沖縄県の尖閣諸島に上陸しようとした場合、正当防衛や緊急避難に当たらなくても、海上保安庁の海上保安官らが相手を負傷させる可能性のある「危害射撃」を行える場合があり得るとの見解を示した。

 

海上保安官らの武器使用には警察官職務執行法7条が準用される。同条では正当防衛と緊急避難のほか、「凶悪な罪」の現行犯が抵抗した場合などに限り、武器使用で危害を与えることが認められている。

 

政府関係者によると、政府側は尖閣諸島上陸を図る一連の行為が「凶悪な罪」に該当し、船体に向けた危害射撃が可能になるケースもあると説明した。

 

しかし、具体的にどのような罪に該当する場合かは明らかにしなかった。

 

党側は、海警局の武器使用条件を定めた「海警法」の施行を受け、海上保安官の武器使用の条件を整理するよう政府に求めていた。

尖閣に上陸図る場合、海上保安官らが「危害射撃」可能なケースも…政府見解 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

 

目の前の危機的状況は続いており、しわ寄せは海保に集中しています。

 

 

(中国の主張や海警による威嚇、領海侵犯等々は)「国際法秩序に反する行為であり、政府は厳しく抗議するとともに、各国と連携し、中国の不当さを訴えるべき、 中国海警局の船は、通常4隻体制をとって尖閣周辺で活動している。 海保は数的優位を保つため、倍以上の巡視船を展開して警告を発し、退去を求めている。 だが、海警局の巡視船保有数は海保の約2倍に上る」

社説:尖閣諸島警備 切れ目のない体制で領域守れ : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

 

 

機関砲などで武装した中国の海警が尖閣上陸を図った場合、その一連の行為が「凶悪な罪」に該当する場合は「警察官職務執行法7条」で海上保安庁の武器使用が認められるという解釈で、尖閣を防衛しているのは海上保安庁の巡視船です。

 

日中対峙の尖閣海域:「海警船」に立ち向かう海保巡視船 | nippon.com

 

 

今年に入ってから、海保の小型機が羽田でJAL機と接触して炎上し、海保の乗員6名の内5名が亡くなるという痛ましい事故がありました。

 

 

事故の海保機は能登半島地震の被災地に救援物資を届けるため、新潟に向かって出発する途中だったのだそうです。

事故の海保機 能登半島地震の被災地に物資届ける途中(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース

 

 

実は24年1月6日現在、年末から年始にかけ、既に中国海警の機関砲のようなもので武装した船4隻が16日連続で接続水域を航行しているようです。海保の人々が年末年始も休む間もなくローテーションで任に当っておられることで尖閣は今のところ守られてきたわけですが・・・

 

 

尖閣周辺に中国船 16日連続

(2024年1月6日産経新聞)

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で1月6日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。

 

尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは16日連続。

 

第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告した。

尖閣周辺に中国船 16日連続 - 産経ニュース (sankei.com)

 

 

与党自民党の「日本国憲法改正草案(現行憲法対照)」(平成24年4月27日決定)についてはネットで見ることが出来ますし、PDFを印刷することができます。↓

日本国憲法改正草案(現行憲法対照)自由民主党 平成24年4月27日(決定) (jimin.jp)

 

全部で30ページ分の草案です。

 

 

4ページと5ページ目は、第ニ章 戦争の放棄 について(第九条)の改正草案ですが、これまでの「戦争の放棄」として5行にまとめられていた条文をそのまま「平和主義」という項目にうつし、その上で「国防軍」、「領土の保全等」という新たな項目を加えて「安全保障」として憲法上明文化する内容のようです。

 

現行の第九条は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永遠にこれを放棄する。②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」という短い内容です。

 

 

改正草案では、現行の第九条を(平和主義)「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争を放棄し、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。」という内容はほぼ踏襲しつつ、②は「2 前項の規定は自衛権の発動を妨げるものではない。」という当然の内容が追加されています。

 

 

これまでの②の内容は陸海空の自衛隊の存在と明らかに矛盾しており、更に言えば、独立国家としての自衛の交戦すらも放棄している内容です。

 

 

「現在の日本国憲法は、敗戦の翌年、1946(昭和21)年の2月4日から12日までの9日間に、連合国軍最高司令官マッカーサー元帥の命令で、GHQ民政局の25人のメンバーが書き上げたものである。その作業は、当時の日本政府にもまったく知らされず、いわば秘密裡の密室作業だった」

 

 

「1955(昭和30)年に保守合同によって自由民主党が発足したとき、その綱領に『現行憲法の自主的改正』が謳われていたが実現しなかった、何人もの首相が『憲法改正』を唱えたが、具体的な作業は行われなかった。それはなぜなのか」

「自民党にとって、あえて憲法を改正しないことに、どのようなメリットがあったのか」(田原総一朗氏)

 

参考:

【全国民必読】日本国憲法はこうして生まれた!〜たった9日間、そのときGHQの密室で何があったか(田原 総一朗) | 現代ビジネス | 講談社(1/8) (gendai.media)

 

 

 

我が国が「真の独立国家」であるという前提に立つならば、自衛のための交戦権まで放棄するのはおかしいです。

 

 

紛争解決の手段として最低限の自衛の交戦が必要な場面があることは、第二次大戦末期、ヤルタ密約によって「日ソ不可侵条約」を破棄したソ連軍が北から戦争をしかけてきたとき、(ポツダム宣言受諾後であっても)「武装解除」前の8月18日から23日まで日本軍が戦ったからこそ、(北方領土はソ連軍によって占領されてしまったものの)北海道は守ることが出来たという歴史的事実もあります。

 

参考:

日本の分割統治計画 - Wikipedia

占守島の戦い - Wikipedia

 

 

改正草案では新しく、「国防軍」という項目を設け、「第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

 

 

この「その他の統制」の中身は在日米軍のことなのでしょうか?

 

 

3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に強調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。とあります。

 

 

自衛隊をPKOとして海外派兵することの違憲問題を合憲に是正するための一文のようです。

 

4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は法律で定める。

 

5.国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪または国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては被告人が裁判所へ上訴する権利は保障されなければならない。

 

これは自衛隊に入り込んでいる中国人家族(中国人妻)という問題をどう解決していくべきかという問題提起にもなるのではないでしょうか。妻が中国の工作員であった場合、家族間の会話によって、任務内容から機密漏洩が起こる可能性が大いにあるからです。

 

 

(領土等の保全等)

第九条の三 国は主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

 

 

これは尖閣沖の海底にある石油資源の採掘を日本が行うことを憲法によって守られるべき主権と独立の問題であると定めるもののようです。自国の領海内の資源確保は独立国家として当然の権利だと思います。

 

 

この改正草案の内容については私には特に異論はありません。

 

 

改正草案でも「戦争放棄」は変らず、「自衛のための交戦権」を定めている点を評価すべきだと思います。

 

 

自衛隊を国防軍と定めて自衛のための交戦権を合憲化して国防を強化しなければ、数的優位に立ち武装した中国海警によって「沖縄県尖閣諸島」に上陸され、中国による尖閣諸島の実効支配が開始される日が来る可能性は高いです。

 

 

そうなれば、「島根県竹島」と同様に中国による実効支配が始まり、領海や漁業資源、海底資源なども奪われることになります。それを指を咥えて見過ごすというのが今の憲法九条の解釈による限界ならば、この様な形に改正するのことをいずれは、行うべきだ思います。

 

 

但し、繰り返しますが、問題はそのタイミングであり、それを最悪の目的で利用されることを我々国民は危惧しているわけです。

 

 

党是に「憲法改正」を謳いながら、戦後長きに渡って、むしろ敢えてそれを行わなかった自民党の世襲の国会議員には、日本が米国の実質占領国家のままでいることで、その配下にある「安定の見張り役」としてのメリットがあったから、ということに外ならないような気もします。

 

 

 

安倍元総理には「地盤看板カバン」を継がせたい後継者となるお子さんがいなかったからこそ、自らの代で祖父の代からの日本国民に対する「つけ」を払っておきたかったのではないでしょうか。

 

 

「日本を、取り戻す。」というのはそういう意味であったのだろうと思います。

 

 

「改憲」をご自身で成し遂げようとなさっていた安倍元総理は「謎の死」を遂げ、安倍元総理を支えてきた安倍派(清話会)は今、がたがたになっていますが・・・

 

 

■岸田政権に日本の命運を託すのは余りに危険すぎる?

岸田政権が進めようとしている憲法改正は「日本を(自国の手に)取り戻す」ためというよりも、日本を支配している自民党の後ろにいる『戦争屋』のために、今度は日本が「対中国でのウクライナ役」を演じるための準備、といった声さえ聞かれます。

 

 

パーティー券問題、脱税疑惑、新型コロナワクチンの薬害被害者への冷酷な対応、能登半島地震の被災者に思いを寄せることの出来ない想像力の欠如、その他、海外への意味不明なばらまきとその一方の国民への次々の増税などなど、岸田文雄首相や河野太郎大臣をみていても、国民にとり、大きなものを彼らに託せるような信頼には値しませんし・・


参考:

中国人民解放軍6万人を撃退したインド、日本は・・ | eternalturquoiseblue(旧kamakuraboy) (ameblo.jp)