憲法の改正については現行憲法では第九十六条で、「この憲法改正は、各議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要する」と定めています。

 

 

つまり、発議には国会議員の3分の2以上の賛成がまず必要であり、更には国民(有権者を指すと思われますが)投票で過半数の賛成が必要なのです。

 


現在は衆院定数465で、465×2/3=310票の賛成票が必要なわけですが、現在の衆院は自民261、公明32で合計293議席。これに維新の41を足すと334


参院の方は定数248で、248×2/3=165、自民119、公明27、119+27=146、これに維新の21を足すと167

 

 

衆参両院とも自公維新の3党の議員が棄権せずに党の指示に従って全員が賛成票を投じるなら、発議される可能性があります。

 

 

衆議院の任期(4年)の満了は2025年10月30日なので、任期満了前に解散して、次の国政選挙の際に「憲法改正草案についての賛否を問う国民投票」として改正への手続きが進められる可能性があります。

 

憲法は国政の在り様をさだめたものであり、国民にとり、一人一人が、他人事ではなく、極めて重要で身近な問題なので、無関心のまま他人に判断を委ねるのではなく、自ら関心を持つべきだと思います。

 

 

与党自民党の「日本国憲法改正草案(現行憲法対照)」(平成24年4月27日決定)についてはネットで見ることが出来ますし、PDFを印刷することができます。↓

日本国憲法改正草案(現行憲法対照)自由民主党 平成24年4月27日(決定) (jimin.jp)

 

全部で30ページ分の草案です。

 

 

2~4ページ目は、第一章 天皇 についての憲法(現行憲法は第一条から第八条)についての改正草案となっています。

 

現行の内容との違いとして、第一条に「日本国の元首であり」という文言が足されて明記されていること、第二条は現行と同じ。

 

 

現行の第三条「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ」が消え、代わりに改正草案では、第三条には「国旗及び国歌」について、第四条には「元号」についての内容が新設で明記されています。

 

 

現行憲法の第四条には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する機能を有しない」という文言があります。

 

 

改正草案ではこの内容を第5条(天皇の機能)の中で「天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する機能を有しない」となっており、現行憲法の第四条中の「のみ」という強い語句を削除

 

 

改正草案では現行憲法の第四条②「天皇は法律の定めることろにより、その国事に関する行為を委任することができる」と第五条「皇室典範の定めるところにより摂政を置くときには、摂政は天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する」が、改正案では第六条の3「天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる」第七条「皇室典範の定めるところにより摂政を置くときには、摂政は天皇の名で、その国事に関する行為を行う。2 第五条及び前条第四項の規定は、摂政について準用する」に引き継がれています。

 

 

天皇の「内閣総理大臣と最高裁判所の長たる裁判官の任命」に関する第六条は改正草案でも第六条で同じ内容が引き継がれています。

 

 

第七条の天皇の国事行為については改正草案では第六条の2に書かれており、但し、「内閣の助言と承認により」というくだりが削除。

 

 

現行の第七条八の「批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること」が「全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること」に変わってます。

 

 

改正草案の第八条「皇室への財産の譲渡等の制限」は現行の「国会の議決に基かなければならない」という文言を「法律で定める場合を除き、国会の承認を経なければならない」に変更。

 

 

第一条から第八条の部分についての改正は特に違和感はなく、同意できます。

 

 

次の第二章 戦争の放棄 第九条については国民の意見が分かれる部分だと思います。