日本初の月探査機「SLIM(スリム)」(去年の9月に種子島から打ち上げ)が1月20日の未明に約4か月間の旅を経て、月面着陸に成功したそうです。

 

今回の月面着陸では「噴射で機体がぶれないように重心を考慮した構造の設計など、垂直降下やホバリングを用いる精密さが要求された」ということで開発を三菱電機が担ったそうですが、日本の宇宙開発が大きな一歩を進めたということで、国民の一人としてはやはり嬉しいです。

 

SLIM月面着陸、三菱電機がシステム開発…シャープなど国内企業の技術力が快挙に貢献 (msn.com)

 

 

火星探査計画

イーロン・マスク氏は「有人火星探査計画」を提唱していることで有名ですが、火星探査衛星の打ち上げは1960年代の旧ソ連の「ゾンド計画」や「マルス計画」(1973年)や米国の「マリナー計画」(1976年)が始まりでした。

 

 

■ソ連の「マルス計画」

1973年に「マルス2号」が火星表面に衝突着陸し、ほぼ同時期(9日後)に打ち上げられた双子機の「マルス3号」が初めて火星への軟着陸に成功。

 

マルス3号が撮影した火星

この2つの探査機は火星周回軌道上から観測を行う「オービター」と、火星表面に降下する「ランダー」から構成され、オービターは火星軌道に乗る直前にランダーを火星へ向けて切り離すというものだった。

 

 

「マルス3号」の「ランダー」は軟着陸したあとすぐに信号が途絶え、地球に火星の情報を送り返すことが出来なかったそうですが、「オービター」は、燃料の一部を喪失し、計画された25時間の軌道に入ることはできなかったものの、かなり離心率の大きい長周期(12日19時間)の軌道に変更され、1971年12月から1972年3月にかけての大量のデータを送り返しきた。

 

伝送は1972年の8月まで続き、ソ連は8月22日に火星を20周したマルス3号「オービター」がミッションを終えたと発表。マルス2号と併せて、撮影した画像は60枚に及んだ。

マルス3号 - Wikipedia

 

 

米国の「マリナー計画」は1976年に打ち上げた「バイキング1号」が最初の成功で、続いて1か月以内に打ち上げられた「バイキング2号」も火星への軟着陸に成功し、火星地表の鮮明な写真を地球に送ってくれた。

マリナー6号と7号 - Wikipedia

 

 

 

■「マーズ・パスファインダー」

 

その後20年間失敗が続き、米国が行ったディスカバリー計画の一環として「マーズ・バスファインダー」という探査機群が打ち上げられ、1996年12月4日に地球を出発して、7か月後の97年7月4日に加勢に着陸。自走型ローバー「ソジャーナ」が、約1万6000枚の写真と大量の大気や岩石のデータを採取して地球に送ってくれた。

 

 

 

マーズ・パスファインダーのソジャーナが映した写真 (NASA)

 

マーズ・パスファインダー - Wikipedia

 

2004年に米国の「スピリット」、「オポチュニティー」が続けざまに着陸に成功し、4年後の2008年には「フェニックス」が、2012年には「キュリオシティー」が着陸。

 

周回衛星では、ロシアや米国、欧州に次いで、インドが2014年にアジアでは初めて火星探査機の周回軌道投入に成功。

 

この火星周回軌道衛星は「マンガルヤーン」と名付けられ2013年11月に打ち上げられて300日かけて火星周回軌道に入り注目を集めた。

 

 

日本の火星探査衛星「のぞみ」

1998年に打ち上げたものの、火星軌道に入れず、着陸できなかった。

 

 

■最短距離でも月までの150倍の距離の火星

太陽の周りを回る地球と火星の距離は最も遠いときで約4億キロも離れてしまい、最も近いときには約5800万キロ(月までの距離の150倍)。

 

この最も近い距離になるタイミングは「ローンチウィンドー」と呼ばれ、まさに火星への窓が開くというタイミングで、このタイミングで火星探査機は打ち上げられる。

 

最も近いとはいえ、地球と月との距離に比べると、約150倍になります。しかし、火星探査のための打ち上げエネルギーが最も少なくて済みますから、このタイミングで打ち上げるのが、ベストのようです。

 

 

ローンチウィンドーは780日おき、約2年おきに1ヵ月間だけあります。火星探査ミッションが2年おきに実施されるのはそのため。

 

 

■太陽系の8つの惑星の先にあるもの

太陽系の惑星は、1930年にクライド・トンボ―に発見された冥王星を加えて9個といわれ、10番目の惑星Xが存在するという想定があったそうですが、冥王星は2006年に太陽系の惑星から太陽系外縁惑星に変更。

 

 

しかし、この冥王星以外にも、太陽系には9つ目の惑星が想定されており、「惑星X」と呼ばれている。

 

 

惑星X(”Planet X)についての動画

 

更に「惑星X」について、wikiから引用しながらみていくことに。

 

惑星X(Planet X)

海王星よりも遠い軌道を公転していると仮定される惑星サイズの天体 (Planets beyond Neptune) 。

 

X はローマ数字の10を表すのではなく、「未確認 (unknown)」を意味するアルファベットの”X”である。


概要
惑星Xが存在するという説は、外惑星、特に天王星と海王星の公転運動に理論との矛盾が見られたことから、最初は9番目の惑星として、1930年の冥王星発見以降は第10惑星として主張されてきた。

 

この矛盾の多くは後の観測ではほぼ解消したが、20世紀末以降に発見された多数の太陽系外縁天体の分布や、長周期彗星の起源などを説明する根拠として再び惑星Xの存在を仮定する説が唱えられている。

 

大衆文化においては、惑星Xは未発見の太陽系天体や第10惑星(冥王星の準惑星への再定義後は第9惑星)を指す一般的な代名詞となっている。

天王星・海王星の軌道を説明するための惑星X
19世紀の終わり頃、多くの天文学者は海王星の外側に惑星が存在すると推測していた。海王星は、天王星や土星、木星の軌道運動の観測結果と理論計算との間にあった矛盾を説明するものとして、ジョン・クーチ・アダムズやユルバン・ルヴェリエといった数学者の計算に基づいて発見された。

 

しかし海王星の発見後、これらの惑星の軌道になお僅かながら誤差が存在すること、また海王星自身の軌道にも誤差があることが明らかになった。

 

この事実は海王星の外側に別の惑星が存在するためであると考えられた。

 

火星の運河を観測したという主張で最も良く知られている天文学者のパーシヴァル・ローウェルは、この仮想的な惑星を「惑星X」と呼んだ。

 

当時は8個の惑星しか知られておらず、このXはローマ数字の10ではなく未確認の意味である。

 

ローウェルはまず1909年まで探索を行い、続いて新惑星の位置予測を修正して1913年から1915年まで再度探索したが、惑星を発見することはできなかった。

 

この後、ローウェルは自分が計算した惑星Xの軌道パラメータの仮説を発表。皮肉にもこの1915年に、ローウェル天文台では冥王星の暗い画像が2枚撮影されていたが、当時これらは惑星だとは認識されなかった。

惑星X - Wikipedia


最初に「惑星X」の存在を予想した天文学者Percival Lowell(1855~1916)

■天文学者パーシヴァル・ローウェル(Planet Xの発見者)

ボストンの大富豪ローウェル家の息子として生まれ、ノーブル・アンド・グリーノー・スクールを経て、ハーバード大学で物理や数学を学んだ。もとは実業家であったが、数学の才能があり、火星に興味を持ち天文学者に転じた。

 

当時屈折望遠鏡の技術が発達した上に、火星の二つの衛星が発見されるなど火星観測熱が当時高まっていた流れもあり、私財を投じてローウェル天文台を建設し火星の研究に打ち込んだ。

 

火星人の存在を唱え、1895年の著書「Mars」など火星に関する著書も多い。「火星」(1985)には、黒い小さな円同士を接続する幾何学的な運河を描いた観測結果が掲載されている。運河の一部は二重線(平行線)からなっていた。300近い図形と運河を識別していたが、火星探査機の観測によりほぼすべてが否定されている。

 

また、小惑星 (793) アリゾナを発見している。1904年ジュール・ジャンサン賞受賞。

最大の業績は、最晩年の1916年に惑星Xの存在を計算により予想した事であり、1930年に、その予想に従って観測を続けていたクライド・トンボーにより冥王星が発見された。

 

冥王星の名 "Pluto" には、ローウェルのイニシャルP.Lの意味もこめられている。

パーシヴァル・ローウェル - Wikipedia

■Planet Xについてのその後の検証
①冥王星の発見
1916年にローウェルは死去したが、1928年にローウェル天文台で別の探索が開始され、1930年にクライド・トンボーによって冥王星が発見された。

 

発見当初は冥王星こそ惑星Xであると考えられたが、冥王星の質量は海王星の軌道を説明するには小さすぎることが明らかになったため、探索はその後も続行された。

②太陽系外縁天体

太陽系外縁天体(trans-Neptunian objects, TNO )とは、 海王星 よりも遠い平均距離で 太陽 の周りを 公転 する 天体 の総称である。 

 

エッジワース・カイパーベルトやオールトの雲に属する天体、嘗て太陽系の惑星 とされていた 冥王星 もこれに含まれる。


冥王星の発見の後も、トンボーは別の遠方の惑星を求めて黄道上を探索し続けた。彼は数多くの小惑星や変光星、彗星を発見したが、惑星は見つからなかった。

冥王星の後、長い間にわたって太陽系外縁天体は見つかっていなかったが、1992年に(15760) アルビオンが発見された。

 

これ以降、千個以上の外縁天体が発見されている。

 

これらの天体は現在ではその多くがエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)に属すると考えられている。

 

EKBOは海王星の外側の黄道面上を公転する氷に覆われた天体で、太陽系の形成時に取り残された天体だと考えられている。

このことから、冥王星を惑星と呼ぶべきどうかについて議論が起こった。

 

最終的に、2006年にIAU(国際天文学連合)の総会で太陽系の惑星の定義が定められたことにより、冥王星は惑星ではなく準惑星と分類されることとなった。

惑星X - Wikipedia
太陽系外縁天体 - Wikipedia

 


③惑星Xへの反証
宇宙探査機パイオニア10号・11号、ボイジャー1号・2号によって、ローウェルが仮定した惑星Xの存在は二つの面から否定されている。

 

第一に、これらの探査機が外惑星の近くを通過した際に惑星から受けた重力による加速度の値から、これらの惑星の質量が高精度で求まった。

 

これによって、地上観測に基づく計算から得られていた外惑星の質量は最大約1%小さかったことが明らかになった。この修正された質量に基づいて外惑星の軌道を決定することで矛盾は解消した。

第二に、これらの宇宙探査機の軌道からは、太陽系内にある未発見の大きな惑星の重力を考えなくてはならないような誤差は検出されなかった。

 

多くの天文学者はこの事実から、惑星X仮説は役割を終えたと考えた。

 

もっとも、天体の質量が小さい場合にはこの手法では検出できず、外惑星の軌道にも目に見えるような影響を与えないので、地球と同程度の質量を持つ天体が存在する可能性は依然として排除されていない。


④外縁天体の分布を説明するための惑星X
仮説上の「Planet Nine」と他の外縁天体の軌道
比較的円に近い軌道を持つEKBOの分布は、太陽から55天文単位付近の距離で突然終わり、その外側には離心率や軌道傾斜角が大きな散乱円盤天体 (SDO) が存在することが知られている。これは55天文単位より外側に惑星サイズの天体が存在するためではないか、という推測がある。

 

この仮説上の天体も惑星Xと呼ばれるが、天王星・海王星の軌道を説明するための天体とは別の仮説に基づいている。

カリフォルニア工科大学の研究者によって2002年、2004年、2005年にそれぞれ発見(または軌道が確定)されたクワオアーやセドナ、エリスといった天体は、質量が小さすぎるためにこういった新しい惑星X仮説には当てはまらない。

 

セドナについては新しい惑星X仮説と比較して距離も遠すぎる。


⑤2008年には神戸大学のパトリック・ソフィア・リカフィカ研究員(当時;現近畿大学准教授)、向井正教授(当時;現名誉教授)らが惑星Xの予想軌道を算出。

 

この予想軌道は、天王星や海王星はもともと現在の位置より内側で誕生し、木星や土星の重力による摂動で外側へ移動(ミグレーション)したという仮説に基き、現在の海王星の軌道付近で誕生した天体が海王星に押し出されるように外側へ移動したと仮定してシミュレーションしたもの。

 

「惑星X」の質量は地球の0.3 - 0.7倍(冥王星やエリスの質量は地球の約0.002倍)、直径は地球よりやや小さい程度、軌道傾斜角は20 - 40度、軌道長半径は100 - 175天文単位(ケプラーの法則に基いて計算すると、公転周期は約1,000 - 2,300年)で近日点は80天文単位以遠、近日点付近での明るさは14 - 18等。

 

太陽系外縁部に未知の惑星の存在を予測 (astroarts.co.jp)

 

 

この予想に基づき、2009年秋から東京大学木曾観測所とハワイ諸島のパンスターズ1による探査計画が始動しており、仮説が正しくかつ条件が整えば5年以内に「惑星X」が発見される見込みであるとされたが、発見されなかった。

2016年1月20日カ000〜20,000年をかけて太陽を周回している」という研究結果を発表。

 

研究者は仮称として「Planet Nine」という呼び名を用いている。

 

「Planet Nine」が存在すれば、その影響により太陽系の惑星の軌道面と垂直な軌道を持つ太陽系外縁天体が存在することが予測されており、そのような軌道を持つ太陽系外縁天体はカリフォルニア工科大学のチームにより既に4つ発見されている。

 

ブラウンは「仮に軌道上の最も遠い位置にあるとすれば、観測にはマウナケア山上にあるW・M・ケック天文台のケックI、ケックII望遠鏡やすばる望遠鏡など世界最大級の望遠鏡が必要となる。」としている。
カリフォルニア工科大学の研究者が本物の第9惑星の証拠を発見 | www.caltech.edu
 

シミュレーションで推測、太陽系第9惑星存在の可能性 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 

⑥米国よる研究
また、これとは別にアメリカのアリゾナ大学の研究者が、2015年に、太陽系外縁天体の異常軌道の原因を調べるために計算したところ、上記とは別の惑星が存在する可能性を示唆。

この研究では上記の理論を否定しておらず可能性としては、太陽系に10個の惑星が存在する可能性も示唆した。

大きさは火星ぐらいで、軌道半径は60-70天文単位、軌道角度は8度に傾いている。

研究者によると、この惑星によって太陽系外縁天体の歪が大きくなり、上記の惑星によってその歪が直されているとされている。

なお、この惑星は銀河面に存在しているとされ、観測には、チリで建設が進められている大型シノプティック・サーベイ望遠鏡を使って観測をする予定である。


■長周期彗星(注)の起源を説明するための天体「テュケー」
EKBOやSDOより更に外側には、大小無数の氷天体が太陽を半径1光年前後の球殻状に取り巻くオールトの雲があり、それらの氷天体の軌道が何らかの理由で太陽系中枢部まで達する長楕円軌道(または放物線・双曲線軌道)に変わったものが長周期彗星(または非周期彗星)だと考えられている。

 

(注)長周期彗星

公転周期が200年以上の周期彗星と非周期彗星の総称である。 これに対し、公転周期が200年未満の 周期彗星 を 短周期彗星 という。

 

(長周期彗星の)軌道が変わる原因として、銀河系円盤や太陽系の近くを通過する恒星、あるいは太陽の伴星などの影響が想定されてきた。

 

2010年にアメリカ・ルイジアナ大学ラファイエット校の John Matese と Daniel Whitmire がオールトの雲付近に木星質量の4倍程度の大きさのガス惑星が存在し、長周期彗星の少なくとも一部はそれによって軌道を変えられたという説を発表し、二人はこの天体を「テュケー」と仮称。

 

もし実在するならNASAが2009年12月に打ち上げたWISE(広域赤外線探査衛星)の全天サーベイ観測によって発見できるはずだと考えられていた。しかし、2014年、WISEの観測データから「太陽より26,000天文単位以内に新たな木星質量以上の天体は存在せず、また10,000天文単位以内では土星質量の天体も存在しない」という研究結果がまとめられた。

 

これにより2010年の論文で予測された「(木星の4倍のガス惑星)テュケー」の存在は否定された。
 

NASAのWISE調査は、何千もの新しい星を発見するが、「惑星X」は発見しない
 

広視野赤外線サーベイエクスプローラーによる太陽の遠い伴星の探索 - IOPscience

 

なお、太陽系には既に“Tyche”と正式に命名された天体が存在する。(テュケーの名前の由来はギリシャ神話のようです)

Tyche - Wikipedia

惑星X - Wikipedia

 


 

(追記)

NASAの火星チームにとって、北極海の中にあるカナダのデボン島は探査プログラムの拠点となっているそうです。「研究 通信、機器試験、車両・船外活動のほか、将来の月、火星、その他の惑星の探査をサポートする新技術、戦略、運用プロトコルの開発を目的としている」とあります。

Haughton Mars Project (HMP) - NASA

 

デボン島

面積は四国の3倍ほどで、世界の島の中では、27番目に大きい。年間の平均気温はマイナス17度と低く、降水量が少ないため大地は砂漠のように乾燥している。セイウチやホッキョクグマ、ジャコウウシなどが生息しているものの、人が暮らすにはあまりにも厳しい環境だ。だが、1920年代には、カナダ王立騎馬警察の派出所が置かれ、3人の隊員が派遣されていたこともあったという。

そんなデヴォン島は、地球上で最も火星の環境に近いとされている。実際、NASAにより、火星の表面での移動を想定して作られた探査車を走行させる実験もこの島で行われた。

北極海に浮かぶ世界最大の無人島で 撮影されたと囁かれる疑惑の写真とは | 今日の絶景 (bunshun.jp)