中国の税関当局が7月上旬から、日本から輸入される全ての水産物を対象に放射性物質検査を始め、検査に少なくとも2週間程度かかるため、事実上の輸入制限措置に近いものだそうです。

 

これは東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出をけん制する狙いとみられ、日本の水産業界への打撃が予想される、と報じられていました。

 

中国は2011年の原発事故を受け、現在、福島県など10都県産の食品の輸入を規制している。

 

中国側による放射性物質検査は、10都県産以外の水産物を対象に抽出方式で行われてきた。関係者によると、今月8~9日頃から全量が対象になったという。

 

2週間程度の放射性物質検査を終えれば通関できるが、クロマグロなど鮮度が重視される水産物は対中輸出が難しくなる。

 

日本側が放出を始める前から対抗策に踏み切った形で。中国税関当局は7日、処理水の海洋放出に関して、「事態の推移に応じて必要な措置を取る」と表明。

 

在上海日本総領事館は19日、取材に対し、「なぜ今、全ての検査が必要なのか状況を確認し、中国に対して輸入規制措置の撤廃を働きかけていく」とコメント。

 

日本側関係者によると、今回の全量検査は、日本産水産物の取扱量が多い上海と深センの税関で始まり、他地域でも同様の対応が取られた可能性がある。日本の水産業者の間では中国への輸出を見合わせる動きが出始めている。

 

日本から中国への水産物の輸出額は22年に871億円で、全体の2割強を占める。

中国、日本産の全水産物に放射性物質検査…「処理水」放出けん制の狙いか : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

 

こうしたことを受けて、日本政府が科学的根拠に基づいた反撃に出ているようです。

 

以下は経産省が出した資料だそうです。

 

ざっとみても韓国は6倍弱、中國に至っては20倍です!

処理水に含まれる放射性物質トリチウムは自然界に大量に存在しており、中国を含む世界各国の原子力施設でも希釈して海洋放出している。

 

福島第1では、トリチウムの濃度を国の規制基準(1リットル当たり6万ベクレル)の40分の1、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1に希釈して流す計画。年間排出量は、事故前の管理目標と同じ22兆ベクレル未満を予定しており、国際基準をクリアしている。

 

これに対し、中国の外交トップ、王毅政治局員は13日にインドネシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会合で、「『核汚染水』の排出は海洋環境と人類の生命・健康にかかわる重大な問題だ」などとイチャモンを付けてきた。

 

日本外務省は21日、英語版公式ツイッターで、処理水の安全性に関する動画を発信したが、表示数は157万回を超えている。ユーチューブの公式チャンネルに4月に公開されたもので、再生回数は約514万回にも上った(いずれも31日朝時点)。

 

この動画には、日本語と英語のほか、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語などの多言語の字幕も付いている。7月以降も処理水に関する3本の動画を公開した。

 

西村康稔経産相も30日、福島県相馬市の相馬双葉漁協で漁業者ら6人と会談し、「風評対策で用意している300億円の基金は放出前であっても、必要であれば手当てしたい」「福島の漁業が継続できるよう責任を持つ」などと述べた。

 

エネルギー事情に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「処理水の風評被害は、中国や韓国左派などによる嫌がらせだ。日米韓首脳会談で連携した発信ができれば非常に期待できる。国際世論にも響く。中国は日本を貶めることで、太平洋諸国の分断を図ろうとする意図もみえる。外務省のSNSへの反応も『科学的に正しい情報を知りたい』という世論の表れだろう」と語った。

処理水放出で中国が「偽情報」 外務省〝多言語〟発信で応戦 「日米韓」で対抗「3カ国連携は国際世論に響く」識者 (msn.com)

 

 

これまで全体の2割を輸入していた日本産水産物の国内への輸入を事実上禁じなければならないほどに、実は中国経済が悪化しているということの裏返しのようです。

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の混乱で、1月~2月の中国の主な経済指標は、記録的な落ち込みとなり、小売売上高は、前の年と比べて20.5%下落、鉱工業生産はマイナス13.5%、固定資産投資はマイナス24.5%、 いずれも伸び率がマイナスになるのは初めてのことで、1月~3月期のGDP=国内総生産の伸び率も、マイナス成長となる可能性が浮上。

 

むしろ中国産の水産物の方がよっぽど危険だろうに、という指摘も。

 

参考:

中国の原発から福島を大きく上回る放射性物質を含む処理水放出 日本に入ってくる中国産水産物は大丈夫か|NEWSポストセブン (news-postseven.com)

 

 

水産物のみならず、日本産の輸入物品全般へ影響が拡大しているようです。