2022年1月~9月の20歳以下のPCR陽性死亡者のは90%が12歳以下で、死亡例の7割が発症から0~2日で(2類のままの現状で)医療に繋がりにくく、44%は病院到着時既に心肺停止状態だった、と分析されています。
「通常であれば手遅れになる前に病院に連れてくることができたケースは多かったはず」と小児感染症がご専門の長崎大学の森内浩幸教授が分析なさっている記事がありましたのでご紹介します。
小さい子供の場合、主にクループで(気道が塞がって)死亡していると以前、「超党派議員の会」の席で長崎大学の小児感染症がご専門の森内浩幸教授が指摘なさっておられました。
子供は気管支の内径が大人に比べ小さく粘膜の浮腫によって気道閉塞が起こり易いため急変し易いということもあるようです。気道閉塞後に蘇生しても脳症が残ってしまうなど、重篤な後遺症を残すことになりかねません。
「コロナ感染後の子どもの死、どうやったら防げるのか?」
発症日か死亡日が2022年月1日~9月30日までの20歳未満の死亡例、62例について分析。
病気による死亡と判断された50人中、持病のない子供の死亡例は29人(58%)で、新型コロナワクチンは、接種対象年齢だった26人のうち、23人(88%)が未接種だった。
中枢神経系の異常と循環器系の異常が多く、急性脳症、急性心筋炎などの診断がついた症例が多かった。
「病院到着時点で既に死亡」が44%は異常事態
——先生がこの調査で気になる点はどういうところですか?
- 「来院時心肺停止例」が多過ぎる。
- 中枢神経系(おそらく殆どが急性脳症)や循環器系(おそらく多くは急性心筋炎やそれに基づく急性心不全・不整脈)が多い。
- 死亡例の7割は発症0〜2日
この3点です。
まず、来院時にすでに心肺停止で、そのまま死亡確認につながっている子どもが「内因死(病気による死)」50例の中の22例です。44%と半分近くに及んでいるのは異常事態だと私は思っています。
——通常、救急で病院に到着した時点では、まだ命を繋いでいることが多いということですか?
通常、お子さんの様子が変だと気づけば、もっと早い段階で病院に連れてきます。
高齢者や私たちぐらいの年齢になってくれば、心筋梗塞などで来院した時に命がなくなっていることはあります。でも心筋梗塞や脳卒中のように命に関わる病気でさえ、来院時に既に心肺停止という割合はそんなに高いわけではない。
まして子どもに関しては、来院時心肺停止は珍しいことです。交通事故のような「外因死」や乳幼児突然死症候群は別です。
でも病院に連れてきた時に死亡している病気のお子さんが半分近くもいる、というのは異常事態と言うしかありません。
すぐに医療機関に連れていけないコロナ禍の問題
——それは、死ぬほど状態が悪化するまで連れて来られなかったのか、急激に症状が進んだのか、どちらと捉えたらいいのでしょう?
それはこの調査の限界で、どちらかを確実に言うことはできないと思います。
ただ私個人は、通常であれば手遅れになる前に病院に連れてくることができたケースは多かったはずだと思っています。
例えば、死因の中で多かったものとして、おそらく急性脳症である「中枢神経系の異常(19人)」と、おそらく急性心筋炎による急性心不全、もしくは命に関わるような不整脈を起こしたと見られる「循環器系の異常(9人)」が見られます。
急性脳症も急性心筋炎も突然起こって数分以内に命にかかわるというものではありません。
インフルエンザ脳症と同じように、コロナも脳症を起こしますが、私たちの経験でも他施設の報告でも、インフルエンザ脳症よりも劇的に早く進行するという印象は持っていません。
何が原因の急性脳症でも対応が遅れると一気に進行しますが、1990年台後半以降のインフルエンザ脳症の経験を通じて、急性脳症が少しでも疑われる場合はすぐに大きな病院に連れていって対応することを徹底するようになりました。
その結果、致死率も重い後遺症を残す率もずいぶん減ったのです。私たちがより早く対応するようになったから、急性脳症のその後の経過は良くなったわけです。
ところがコロナに関しては、熱がある時点ですぐに医療機関に連れていくことができません。あちこち小児科のクリニックや病院に電話をかけても「うちはコロナが疑われる子どもは受け付けていません」「かかりつけ患者以外は診ません」と断られます。
救急外来をしている医療機関も「今は満杯でとてもじゃないけれど診られません」と言う。押しかけてみても、とんでもなく長い時間待たされる。
お子さんの様子がいよいよおかしくなって救急車を呼んでも、救急車が全部出払っていて来てくれない。救急車をやっと呼べても、熱があれば(コロナ疑似症であれば)受け入れ先がなかなか見つからなくて運べない、という状況があります。
子どもの様子がおかしいなと思ってから何時間も経って病院に着くことになると、急性脳症は助からない可能性が高くなります。
「うわごとをずっと言っていたり、意識が朦朧としていたり、けいれんが続いたりする状態の子どもは、とにかく病院に急いで連れてきてください」というのが、私たちがこれまで啓発してきた内容です。
ところがコロナ禍では、それが全然できていないのです。
死亡例の7割が発症0〜2日
——死亡例の7割が発症0〜2日というのは短いのですね。
短いと思います。ただ無治療の急性脳症や急性心筋炎であれば、このぐらいのタイムスパンにはなりうる。だから「ちょっとおかしいな」という早期の段階で対応できているかどうかが重要です。
急性脳症も急性心筋炎も、発症して1〜2日の対応で救えるかどうか決まってしまう病気です。昨日まで元気にしていたお子さんが、明け方ぐらいに熱が出て、その日のうちに亡くなってしまうことは、決して珍しくはないのです。
日本ではこれまで熱が出ただけで病院に連れてきたし、「いつもと何か様子が変」と思えば時間外でも救急外来に受診できた。
そして、けいれんがあったり意識が朦朧としていたりすれば救急車を呼んで、少しでも急性脳症などが疑われたらそのまま入院になっていました。
でも今は、それができないうちに右往左往して、救急車を呼んでもきてくれないし、受け入れ先が見つからない。それが0〜2日で死亡ということにつながっているのだと思います。
今の体制では一般開業医が診づらい
——それは一般の小児科の開業医さんがなかなかコロナを診てくれないのが原因なのですか?
それもあると思います。
例えば、街中の雑居ビルで開業している先生に「コロナ患者も診てください」と言っても、今の法体系の中では無理です。
——何が壁になっているのですか?
まず、普通の企業のオフィスも入っている雑居ビルで、入り口は1ヶ所、エレベーターも1ヶ所というところに、いかにも熱がありますという患者が出たり入ったりすれば、他のテナントからボロクソに言われます。
また、コロナ疑いとわかった段階でPPE(個人用防護具)をちゃんと着て、抗原検査やPCR検査をしなければいけませんが、とんでもない手間がかかります。
PPEを患者一人ずつ替えるなんてことはできないので、いったん装着したら検査をしまくって、検査の結果が出てから防護具を脱ぐ、というやり方になります。
しかし、駐車場のスペースが2〜3台分しかないクリニックでは効率が悪く、多くの患者さんを診るのは無理です。それに「そこで検査結果が出るまでしばらく待ってください」と患者さんを待たせるのも難しい話です。
長崎県内でもそういう対応をしている開業医の先生は、スタッフの数が多く、駐車場も十分広いところです。「自分がやらなければ他の病院が大変になるのだから」という使命感で頑張ってくれています。
「みんなでコロナ(疑い)患者を診ないと大変だ」と思っていても、今の仕組みや社会の受け入れ状況ではできないのです。
でも、新型インフルエンザの時はみんな診ていたのです。
コロナ疑い患者の診療にフルの防護具は必要ない
——コロナでは感染対策上、そうしたクリニックが診るのは無理なのか、感染対策のルールを少し緩めれば可能なのか、社会の受け入れが進めば可能なのか、どうなのでしょう?
全部でしょうね。
まず、コロナの感染対策としては、空気中にウイルスを含む細かい粒子がしばらく漂いそれを吸い込んでしまう「エアロゾル感染」対策が最も重要です。それには換気と正しいマスク着用が必要です。
私たち医療従事者が、PCR検査などで検体を取るなど、患者から直接飛沫を浴びるようなことをする時は、マスクに加え、目を覆うゴーグルなどをつけることが必要ですが、フルでの個人用防護具はもういらないのです。
コロナ感染後の子どもの死、どうやったら防げるのか? (buzzfeed.com)
つまり、2類だと医療費は全額公費負担ではあるものの、急変し易い小児の場合一刻を争うのに医療に繋がりにくく、助けられるはずの命を失ってしまうということのようです。
中長期的に、ブースターコロワクの接種はそれまでは健康だった高齢者の自然免疫を低下させて死亡者を増やすだけの効果しかなかったことはもはや議論の余地もありません。
元々健康な子供に対して冷静な分析に基づかずに中長期の接種後データーのないコロワク接種をさせるのはリスクでしかありませんし、重い持病がある子供にとっても、コロワクは生命予後にとってのリスクを背負わせることにはなるので、接種を呼びかけるのは実際は、子供本人の側に立ったものではなく無責任で不道徳なことです。
一刻も早く通常の医療に戻すことが最善だと思います。