先の記事で、「とある病気」と濁した部分がある。もう2年以上だろうか。ここではその起点について書きたい



高二冬

ちょうど「3年生0学期ですよ!」と学年団の先生達が自称進の定型句を連呼する時期だったと思う。

まあ1月のいつかだろう、あの日息がとにかく白かったのを覚えている。


朝いつものように登校し、鞄を机の横にかける。その日は1限目から体育、グラウンドでソフトボールだった。こんな寒いのに…と皆口をへの字にしながらも着々と着替えを終えて外に向かう。僕も遅れまいと渡り廊下の上を走り、階段を下った。


少々老️〇気味の体育教師が厚着をしているのが気に食わなかった。偉そうに。

まるでパシリになったような気分だが、そりゃ真面目にやるしかないよね。


とにかく寒すぎて十二単を着たかった。

バットを握る手はかじかんでUFOキャッチャーのような握力、当然打てるはずもあるまい。とにかく教室に帰りたい。帰って暖房に当たりたい、なんならエアコンに頭を突っ込みたかった。


そんなこんなでようやく授業が終わり、号令を済ませて教室に帰ろうとした。その時だった。


「あれ?唾が飲み込めない…」


おかしい、何かおかしい、絶対あの寒さのせいだ。なんだこれ。


「とにかく着替えよう!そのあと考える!」


そう思って走って教室に向かうが、鍵が空いてない。風紀委員早くしろと軽く怒りが胃から込み上げて来そうだったが、風紀委員含め皆寒いので皆走って来ていた。

風紀委員がかじかんだ手で鍵を開けたその瞬間、僕は発射するように教室に入り、自席に向かう。


紅白歌合戦の演者並の早着替えだった。

もちろん、まだ唾を飲み込めない。飲み込むのが怖い。


とりあえず水を飲もう、もし何か吐くようなことがあったらどうしよう


そういう思慮のもと、水筒を持ってトイレで水を飲もうとした。だが嚥下がまだ怯えて水を飲み込もうとしない。

恐怖心を1回忘れろ俺!

そう言い聞かせて少量の水を飲みこんだ。


はぁ、俺やっと飲み込めた。

案ずるより産むが易しだな。よし、もう普通に唾も飲み込める。


水を飲み込んだことで嚥下機能が正常になりあの時は安堵して、また次の授業の準備をしながら友達と談笑してた。


「ガチ寒かったなよな!笑笑」


あの時、これが僕の記憶に残る高校時代最後の日常生活になろうとも知る由もなかった。

所詮、地獄の一丁目一番地だったのだ。