大阪・関西万博フランス館訪問記の続きです。

これはクリスチャン・ディオールのエレガンスの象徴であるBar（バー）スーツ。1947年発表のモデルを原型とする復刻版です。

ディオールのメダリオンチェアは、吉岡徳仁とくじんが2021年にデザインしたもの。

レディ・ディオールのバッグは、妹島せじま和代が2024年にデザインしたものです。

そしてメインは、1947年～2018年に発表されたデザイン400体以上のトワルと香水ボトルのレプリカ展示。

デザインを強調するため、全て白色にしたそう。

壁には、1947年～2020年に発表されたデザイン画像のプロジェクション。

高木由利子が2022年に撮影したもので、メゾンと日本のユニークなつながりを称えています。

美の国、フランスならではの展示。

部屋の隅に、ロダンの彫刻「ふたつの手」。正式名称は《ふたつの左手（ハンズNo.2）》。1900～1910年頃に制作され、現在はロダン美術館に保管されています。

最後のシーンを鑑賞する前に、フランスと日本の愛の絆を体現する光のアート作品を見ました。

そして目の前に広がる群島。島をかたどった3つのコンセプトで構成されたこの最後の空間は、フランスと日本の愛の絆を体現するものです。

「復興の島」では、ノートルダム大聖堂と首里城が灰の中から蘇ります。

2019年の火災で甚大な被害を受けたこのふたつの建築物が、職人、科学者、技術者たちの技術と革新によって再建される過程をアニメーションで表現。

そして、ノートルダム大聖堂のためにヴィオレ・ル・デュクが手がけた《グリーンマンの人頭像》。

首里城の象徴として屋根を飾る《シーサーの頭》。このふたつの象徴的な姿がその歴史を物語ります。

火災の犠牲となったこれらの文化遺産は、「過去の記憶」と「再生への希望」の両方を象徴しています。

「息づく島」では、モン・サン＝ミッシェルの修道院と、厳島神社の大鳥居が、潮の満ち引きと風を通して対話を繰り広げていきます。

水上に佇み、長い年月をかけて形作られたこれらのふたつの聖地は、まるで双子のように見えます。注連縄がそのふたつの深いつながりを暗示し、これは自然と精神性への敬意を表します。

立体アニメは、モン・サン＝ミッシェルの最近の再自然化を語り、巨大な砂時計は湾に人の手が入って行く様子を表現。人間が介入することにより、潮の鼓動、エコシステム、そしてその場所の美しさが再生されていきます。

さらにオリジナルのアーティファクトが物語を彩ります。聖ミカエル像の盾は保護の象徴。厳島神社の大鳥居と注連縄は、人間の世界と精霊の世界との境界を示しています。

「太平洋の島」では、フランスと日本が共有する島々のうち、ボラボラ島にインスピレーションを得て、繊細で魅力的なエコシステムである「ラグーン（潟）」に注目。

3Ｄアニメーションでは「ラフイ」に焦点を当てていきます。これはポリネシアの古代の風習で、特定の自然区域へのアクセスを一時的に禁止することで、その再生を促進するもの。

禁止措置は、ラグーンや湾、ココヤシの木立、さらには植物や動物の種にまでおよび、自然の再生を促進します。

そして、ラフイによるラグーン再生の証人として、ふたつの動物の彫刻が島を見守ります。ひとつは、野生のイリオモテヤマネコで、日本の動物種保護活動の象徴。

反対側には、守護的な役割を果たすピイホロ犬が鎮座。ポリネシア神話の動物で、背中には鳥、腹部にサメのタトゥーを施されたこの犬は、危機に瀕したこの土地を見守っています。

建物の外にも、愛をテーマにした彫刻作品がありました。全て樹脂と大理石粉で成形した複製品です。

レオチャレスの模写《ベルヴェデーレのアポロン像》のオリジナルは、紀元前4世紀後半のモデルに基づき、2世紀に制作されました。15世紀末ポルト・アンツィオ遺跡で発見された大理石の像で、現在バチカン美術館が所蔵しています。

カリマコスの模写《アフロディーテ》のオリジナルは、紀元前5世紀末の原型に基づくローマ時代の複製品。大理石の像で、現在ルーブル美術館が所蔵しています。

アントニオ・カノーヴァ《エロスの接吻で目覚めるプシュケ》のオリジナルは大理石で、1795年に制作されました。現在ルーブル美術館が所蔵しています。

アドリアン・デ・フリース《プシュケを誘拐するメルクリウス》のオリジナルは青銅で、1593年頃に制作されました。現在ルーブル美術館が所蔵しています。

外まで見どころいっぱいのフランス館。

夜は国旗の色に染まります。遠くからでもフランス館と分かる粋な演出。見せ方の上手さはピカイチでした。

つづく

大阪・関西万博250722 ④（フランス館）