明石市立文化博物館常設展② | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

明石市立文化博物館常設展の続きです。

 

 

8つのテーマのうち、今回は3と4を振り返ります。以下の本文は、明石市立文化博物館のHPを参考にしました。

 

 

  テーマ3 畿内への入口・明石

 

『源氏物語』に描かれた明石

 

大化の改新のみことのりで、畿内の西端(須磨浦公園の一帯)が「赤石あかし櫛淵くしぶち」と定められます。律令制度の下では、今の西区と垂水区に明石全域とを併せた地域が播磨国明石郡とされました。

 

 

境界にある明石を、万葉歌人達は明石大門おおとと歌いました。また、『源氏物語』の中で明石は、光源氏の従者によって「ゆほびかで、明るく美しい土地」と紹介されています。

 

 

そして白砂青松の地である明石を舞台に、光源氏と明石入道の娘「明石の上」との恋が成立し、「明石あかしの中宮ちゅうぐう」が生まれました。

 

 

この物語によって明石は風光明媚な月の名所として全国的に有名になります。その後、松尾芭蕉(1644-1694)をはじめ多くの人々が明石の月を見るために訪れました。

 

 

明石駅家と魚住泊

 

古代から東西交通の要にあたるところから、奈良時代には太宰府に通じる山陽道が東西に走り、郡衙ぐんが駅家うまやが作られます。

 

 

都と地方を結ぶ道路には、駅馬を備えた駅家が約16kmごとに置かれました。播磨では、瓦葺の駅家が8kmごとに1ヶ所設けられたようです。

 

 

海路も大切な交通網であり、魚住泊うおずみのとまりは明石海峡の潮まち港として利用されました。魚住泊は潮が速く難所でしたが、反面、魚類も豊富で新しい魚が都に運ばれました。

 

 

  テーマ4 明石の焼き物

 

明石の大久保町から魚住町にかけては、焼き物づくりに適した粘土と燃料になる薪が豊富で、また、舟を利用して製品を各地へ運び出しやすいという土地の利もあって、古くから焼き物を盛んにつくっていました。

 

 

須恵器づくり

 

古墳時代には、登窯を使って、高温で焼いた硬質の土器をつくる技術が朝鮮半島から伝わりました。この土器は「須恵器」と呼ばれ、飲食物を盛ったり、貯えたりする容れ物として、また、古墳にお供え物をする容器として使いました。

 

 

大阪府南部など限られた地域で始まった須恵器づくりは、6世紀前半になると地方に広がっていきます。

 

 

赤根川金ヶ崎かながさき窯はこの時期のもので、東播磨地域では最も古い窯跡です。ここからは、朝鮮半島と深いつながりのある角杯形土器や装飾付須恵器が見つかっています。

 

 

古代の焼き物

 

奈良時代になると律令体制が敷かれ、各地で作った須恵器は都へ貢ぎ物として運ばれました。この時期は国分寺などの造営に関連して、須恵器と共に瓦を焼いた窯を多く作りました。

 

 

高丘の丘陵一帯には、古墳時代の終わりから奈良時代にかけての須恵器や瓦を焼く窯が約20基あり、ここで焼いた瓦は奈良県奥山久米寺まで運ばれています。

 

 

また、3号窯から出土した鴟尾しびは、大阪市四天王寺に葺かれたものとよく似ています。

 

 

律令体制が崩れた平安時代後期には、大甕おおがめや調理用具のこね鉢などの日常雑器が大量に焼かれました。

 

 

中世の焼き物

 

大久保町の赤根川と魚住町の中尾川沿いでは、12~15世紀にかけての窯が約50基あります。

 

 

13~15世紀になると赤根川沿いへと生産の中心を変えます。中尾川沿いでは、こね鉢・甕などの日常雑器と瓦を焼き、赤根川沿いでは専らこの鉢を焼いていました。

 

 

やがて、このこね鉢も室町時代になると硬くしまった備前焼に押され、衰退していきます。

 

 

近世・近代の焼き物

 

江戸時代になると、多くの藩で独自の陶磁器を焼き始めます。この頃には時代の風潮に合わせ、茶器などの風雅な焼き物を多く作っています。

 

 

明石焼は江戸時代中期頃から焼き始め、幕末・明治・大正を経て昭和の初め頃まで300年以上にわたって焼かれました。

 

 

明石焼の初期は、仁清や古清水写しの京風の色絵のものが多く作られ、明治末から大正にかけての最盛期には、欧米や東南アジア向けの輸出陶器が盛んに焼かれました。

 

 

明石焼は明石近辺で焼かれた陶器の総称で、「明石焼」と称されるものには、次のようなものがあります。

 

 

明石焼 鉄絵建水けんすい

 

 

舞子焼 鴨形菓子器

 

 

人丸焼 辰砂茶碗

 

 

朝霧焼 三彩扇面皿せんめんざら

 

 

魚住焼 マジョリカ風花瓶

 

 

私的には、8つのテーマの中で、この焼き物のテーマが一番面白いと思いました。

 

 

つづく