十輪寺 | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 善峯寺(よしみねでら)を出て20分ほど歩きました。小塩(おしお)というバス停のそばに十輪寺(じゅうりんじ)があります。

 

 十輪寺は文徳天皇の勅願所で、850年に染殿皇后(藤原明子・ふじわらのあきらけいこ)の世継誕生を祈願したことに始まります。誕生した子は清和天皇。その後、藤原北家(花山院家・かさのいんけ)の菩提寺になりました。

 

 鐘楼は文化財に指定されています。

 

 裏山には、平安時代の歌人で「伊勢物語」の主人公である、在原業平(ありわらなりひら)の墓があります。

 

 在原業平は晩年に隠棲し、塩焼きの風流を楽しんだらしく、墓の近くに業平が使ったとされる塩竃の跡があります。

 また、この地が「小塩(をしお)山」と呼ばれたのはこの故事に由来しているそうです。

 

 境内には在原業平が塩焼きを楽しんだ際、汲んだとされる汐汲池があります。

 

 本堂は応仁の乱で焼失し、1750年に右大臣藤原常雅が再興しました。伝教大師作の延命地蔵菩薩が祀られています。お腹に巻いた帯で染殿皇后が安産したことから、「腹帯地蔵尊」と呼ばれ、今も子宝や安産を願う人達の信仰を集めています。

 

 庭園は本堂を再興した時に造られたものです。高い廊下、茶室、業平御殿の3ヶ所から場所を変え、見る人に様々な想いを感じさせる庭で、「三方普感(さんぽうふかん)の庭」と呼ばれています。