全然パチンコ行ってません。いい傾向であるよ。

 ずいぶん前のことですが、スー海打ちにホールに足を運んだときです。年配の方が二十箱くらいの立派なピラミッドを建設してました。かなりの時間座っているのでしょう、今も確変が続いているにもかかわらず液晶をぼんやりと眺める姿が印象的でした。

 僕は出ている人の隣に座ると運が流れてくるという妄想を常に抱いているので、その日もそれに従い、その台の右隣に腰を下ろしました。隣の台の当たり方を見てニヤニヤするのが好きです。だって演出全て見たいじゃないですか。どうでもいいです。

 一万近くつぎ込んでも僕の台は全く芳しくありませんでした。その間、隣のおじいさんの台も通常大当たりで連チャンがストップし、しばーらく打ち込んでましたね。おじいさんはぼうっとしていて、目を開いたまま眠ってるんじゃないかと思…それは言いすぎですけど「いつ帰ろうか」なんて考えてたんじゃないでしょうか。まだ夕方でしたけど。

 ふと手を上げ店員を呼んだおじいさんはやめることを伝え、天(井)を突く緑色のピラミッドは崩されることとなりました。しかしおじいさんは手元に置いたドル箱一つだけを残してそのまま打ち続けています。あれだけ出してくれた台ですから未練が残るのは当然です。

 僕は結局その日は一度も当たらず台を移動せず、最後の千円分を打ち込みながら隣の台を眺めていると、ちょうどおじいさんのほうで泡も無い通常リーチがかかりました。「ま、あたんねーだろ」僕とおじいさんはそう思っていました。絶対おじいさんもそう思っていました。
 
 大当たり絵柄はラインを1コマ通り過ぎた地点で停止、「ま、予想どおりっすわ」僕とおじいさんはそう思いました。

 しかしこの後ギョリュッて音出して1コマ戻っちゃうんですね。しかも確変絵柄。

 その時のおじいさんの表情!首を突き出して目をむいて、口を縦に開いて驚きをいっぱいに表現していました(まるで生き返ったように!)。声が出なかったのが不思議なくらいでした。すごかったですよ。

 なんだかいいものを見た気分にさせてくれました。負けたくせに気分は悪くありませんでした。「俺もいつかあのおじいさんみたいに一日中出しまくるんだ…」そう誓った日です。

 『あのおじいちゃんくらい出すまでパチンコやめない』
ってやめろよ。もうすぐ新しい海が出るんですね。打ちに行きたいなー♪

 

ってやめろよ。
 えー、先輩との会話です。
 「昨日も七万勝っちゃった♪」
 「(♪。じゃねーよパチンカス)まぢすかー。先輩いつも勝ってますよね?」
 「最近たまに行くたびに勝ってるねぇ。先月はマイナス一万だけどその前はプラ八万だし」
 とてもにこやかな顔で仰る。負け続けてる僕にとってその顔は(以下略

 「勝ちに行こうと思ったらダメだよね、時間潰し程度のノリでなきゃ。欲望があると勝てないんだよ」

 先輩の印象的な言葉を締めにその話はキリがついたんですが、妙に納得しました。確かにそのような気はします。

 経験からなる納得では無いです。しかしそうであったらいいな、いやそうあるべきである。なんて思ったり。

 勝ちに行こうとすると余計にお金を使ってしまいがちなのは経験上よくあります。
 『今日は絶対出るからあと一万くらい大丈夫』ってアホか。
 お金をいくら使おうとして行くのではなく、何時まで暇だから時間潰すかーと行くほうがいいのじゃないでしょうか。
 むしろ、ギチギチに予定をつめて、五分しか暇がないような時に行ったほうが効率良さそうですね。ヒットアンドアウェー。

 そういえば、僕のパチンコは開始から二、三千円内に大当たりを引かないとほぼ負けてしまうということを思い出しました。そういうパターンみなさんもありますよね?




 余談になりますが、先輩は浮いたお金でプロテインを買いだめしたと言っていました。大当たりラウンド中も早く終わらせてスポーツジムに行きたくて仕方なかったそうです。
 全く、そんな話は負けてる僕にとって(以下略
趣味がないのなら、パチンコすればいいじゃない。

違う!断じて!

しかし僕の周りの人たちはそうみたいです。パチ以外でも楽しみ見つける努力をしろよ。バイトなり仕事が終わったらすぐパチ屋へ。で、次の日

「昨日パチンコ打ちにいってさぁ~」

そういう話は聞き飽きてます。間に合ってます。
何?よさげな台が空いてて?座ったら?五百円で確変大当たり。ほほう。それが5連したからすぐに帰ったと。ふーん。

いくら突っ込んで何回連荘して何万円勝ったなんて話、聞き手にとっては苦痛ですね。俺は何十万負けてんだぞっと。負け犬の僻みも当然あります。挙句に

「ここんとこ勝ち続けてて、今月二十万プラスなんだよねー」

ですって。ふん、どうでもいいわ。甘い誘惑なんかには乗らない。

『そーなんすかー!すごいっすねー!』

早くむこうに行ってください。仕事が終わりません。