春風亭小朝独演会を聞いてきた。市民プラザで定期的に行われている落語会で
  ある。
   前回は、昨年秋、馬生一門会があり、馬生とその弟子4人の噺を聞いた。近く
  でこういう落語会をやってくれると本当に有難い。わざわざ東京の寄席に行く必
  要はない。

   小朝独演会も満員盛況だった。演目は、「夢八」、「千両みかん」そして「文
  七元結」であった。
   とにかくこの人のマクラが面白く、会場を沸かせていた。時事ネタ、芸能ネタ
  を巧妙に笑いに仕立て上げ、聴衆を煙に巻く。マクラが漫談として独立している
  ような感じだ。

  「夢八」は、夢見がちでぼーっとした男が一晩死骸とともに過ごす。死骸が話し
  かけたり、合いの手をうったり、夢とうつつが混ざり合うなんとも奇妙な噺であ
  る。上方落語のひとつで、小朝は霧の五郎兵衛に教わったと話していた。わたし
  もはじめて聞いた。
  「千両みかん」は、若旦那のみかんを食べたいというたっての願いで、番頭が町
  中をさがしまわる。真夏にみかんなどどこにもない、やっと見つけたら1個千両
  という。親は命に代えられないとこのみかんを買う。番頭は自分の一生の給金と
  比べ、驚くやら情けなくなるやら・・・という噺。
  「文七元結」は、古今亭志ん朝を彷彿させ、絶品だった。この人は、どんな噺で
 もこなせる器用さとうまさがある。若い頃は若旦那ものがよかったが、今はこの噺
 のような職人ものも板についてきた。やはり、当代落語界の第一人者であろう。

  ところで、その大看板である小朝の頭の格好はどうにかならないものか。奇妙な
 格好をして人目を引くという存在ではもはやないのである。