赤い夕日が校舎をそめて
ニレの木陰に弾む声
ああ 高校三年生
僕ら離れ離れになろうとも
クラス仲間はいつまでも
「高校三年生」舟木一夫 (遠藤実作曲・丘灯至夫作詞)
ちょうど高校に入った頃に流行った。
学生服に直立で唄う姿は、いまから思えば芝居がかっているが、その
頃はとても新鮮だった。
テレビは白黒だったが、すでにほとんどの家にも普及していた。
私の好きな番組は「夢で逢いましょう」で、親父から勉強もしないで
テレビばかりと言われながらもかじりついて見ていた。
歌とちょっとしたコントによるバラエティ番組であった。坂本九や梓
みちよ、田辺靖男、ジェリー藤尾などの歌の合間に、歌手自らあるいは
渥美清、黒柳徹子そして作詞家である永六輔までがしゃしゃり出てコン
トを演じ、和気藹々としたところがあった。
この番組から「遠くへ行きたい」や「こんにちは赤ちゃん」が生まれ
とくに後者はレコード大賞に輝いた。
ところでテレビ時代に入ると、そのコマーシャルが話題となることが
しばしばあった。
この年(昭和38年)には下に記したように「なんであるアイデアル」「イ
ンド人もびっくり」というCMが話題になった。
テレビCMは長くて30秒、スポットになると15秒という短い、限られ
た時間内で商品を訴求しなければならない。
インパクトのある、多くの人の心に届くものを作らなければならない。
いわば、コピー、映像、音楽、それらが15秒に凝縮された芸術という
言い方もできる。
あるいは、奇妙な言い方かもしれないが、宣伝コピーと当今の瞬間芸
(一発芸)に相通ずるものがあるかもしれない。
たとえば、「そんなの関係ない」「欧米か?」等などのギャグと「なん
であるアイデアル」の関係は、きわめて近しい関係にあると思うのだが、
いかがであろうか。
★1963年(昭和38年)の話題になったTVコマーシャル
「なんである、アイデアル」(丸定商店、アイデアル傘)[植木等]
「マーブル・マーブル・マーブル・チョコレート」(明治製菓、ハッピー・
マーブル)[上原ゆかり]
「アサヒスタイニー、ア!」(アサヒビール)
「インド人もびっくり」(ヱスビー食品、即席カレー)
「いいと思うよ」(小西六写真工業)
丈夫で長もち!!」(エーザイ、ユベロン)
「ブタブタコブタ、おなかが空いた、ブー」(エースコック、エースコック
の即席ワンタンメン)