予備校文化は消える? 雑誌ななめ読み 三月
『中央公論』4月号特集「予備校文化は消えるか」は、ある種の懐かしさと寂しさを感じさせる記事であった。 この特集は、対談「あの熱狂は「時代の徒花」だったのか」と「予備校文化の盛衰と拡散」という論考からなり、予備校を一つの文化と捉えている点が興味深い。60年~90年代前半まで、大学入学者に占める浪人生の比率は25~30%もあり、一浪はヒトナミと言われるくらいで珍しいことではなかった。 かく言う私も2年も浪人し、予備校に通った経験がある。その頃は、大学入試の競争率は15,6倍位が当たり前、私大の最も高い競争率は20~30倍のところもあったように記憶する。それが今では定員割れの大学が増え、極端な話、誰でも入れてしまう大学に激変した。こういう状況下では、予備校の生き残りが難しいことは言うまでもない。大手の駿台、河合塾、代々木ゼミも例外ではなさそうだ。 将来的には、予備校で講義を受けるようなことは次第になくなり、ユウチューブの動画授業等に変わっていくだろうと予想している。その予備校の講師にはかつて全共闘で活躍した講師もいて、時代を象徴するような「予備校文化」があったことを懐かしく振り返っている。ちょっぴり哀惜の念がわいてくるのを抑えられなかった。 『Wedge』ウエッジという月刊誌をご存じだろうか。私も図書館で初めて知った雑誌である。3月号掲載の「酷似する「戦間期」と現代 第三次世界大戦を防げ」(中西輝政・京大名誉教授)は、力のこもった論考で思わず読まされた。 ドイツでは、ウクライナ戦争を契機として新しい兵役制度が施行され、また極右政党が躍進し第二党になったこと等を挙げ、“新しい戦前”が近づいている兆候の一つではないかと危惧する。「孤立主義」を掲げた米国、ユーラシア大陸を押さえようとしたソ連、「欧州新秩序」や「大東亜共栄圏」を目指した日独枢軸という三極が分立した世界と、覇権主義が跋扈しいくつかの地域覇権国が世界を分断していく現在の国際状況には、顕著な共通点があるという指摘である。 この時代の類似性については、同じように指摘する学者もいるから、この著者だけの意見ではあるまい。「歴史は繰り返さないが韻を踏む」という暗示的な言葉で締めくくっているが、人類が取り返しのきかない危機に直面していることを、真剣に受け止めたい。