華やかな通りの裏側 街灯の光が微かに揺らぐ
表とは打って変わって ひっそりと冷たい空気が流れ込む
そこにはチャラチャラした男を待つ女もいなければ
香水を纏った豊満な胸の女を狙う男もいない
目に映るのは悪臭を漂わせ生きているかどうかさえ分らない程の腐った男と
身動きできず布一枚のボロ服を着た今にも息絶えそうなホームレス老人の群れ
酒の臭いならまだしも 宙に舞うのは異臭や悪臭ばかり
「未来、未来…」と口を揃えて言う人々にとっては全くもって別世界
そこには希望や光、明るい将来なんてものは存在しない
神様にすがる時間があるなら 道端に落ちているパンくずや生ゴミを探す
そうすることで彼らは今日も生きている そうすることで彼らは明日も生きてゆく
そんなことはつゆ知らず 極上のブドウ酒を求めたある人がその通りに差し掛かる
何気ない顔つきでひょうひょうと足を踏み入れる
そんな現実があることも知らず たいていの人間は今日もフラフラと生きている
横たわった老人の隣に 粉々になった割れガラスが散々とひしめく
闇雲の隙間を割って降り注ぐ月の光が反射して心なしか綺麗に見える
夜明けが近付くと一瞬の静寂が辺りを呑み込み 全ての物を無に変えてしまう
そして人々は今日も通りを歩き 通勤や通学への路を急ぐ
彼らもまた現実を知らない人々である
どんなことをしていようとも 時間は止むことを知らない
同じペースで同じ幅で無情にも時間は過ぎてゆく
ただ刻々と過ぎてゆく
夕闇が街を包むとスラム街には再びパンくずを求める人々で溢れ返る
国家や警察、憲法や法律なんてものはあってないもの同然である
むしろそういった役職の人々でさえ この地には決して足を踏み入れることはない
誰だって自分の命が大切で それぞれに守るべきものが存在する
この場所は無法地帯 誰もが恐怖と影を背負い生きている
そしてこれからも彼らは生きていく 明日があるという保証はないままに…