憂鬱でなければ、仕事じゃない/見城 徹

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今回は、前回に引き続き新刊である『憂鬱でなければ仕事じゃない』の感想文を書こうと思う。

何故この作品を読むことになったかというと、単純に藤田氏が「かなり面白いできになっている。」とツイッターでつぶやいていて、「ほんとかよw」と思ったからである。

一昨日購入して昨日読み終わったのだが、内容は見城氏の名言に対し本人自身の解説と藤田氏の経験を交えた解釈をテーマ別に繰り返していくという構成で、とても読みやすくなっている。

この作品を読み、幻冬舎の代表取締役である見城氏を初めて知ったのだが、とても人情を大切にしていてあたたかい武士(もののふ)だと感じ、情、努力、礼儀という言葉を重んじていた僕が以前勤めていた会社の尊敬している上司にとても似ている人だなと思った。

こういった方々は、自らにも他人にもとても厳しく、そこから発せられる言葉には本当に重みを感じるのだ。

その中から、個人的に共感できた言葉と尻を鞭で打たれたような感覚になった言葉を記しておきたい。


【小さなことにくよくよしろよ】(P14)

これは冒頭にある言葉だが、とても共感できた。

以前僕が働いていた車屋ではこれだけは徹底してやろうと思っていたことがいくつかある。
その中の一つに『人が見ていなくて評価されなくとも、どんな仕事にも絶対に手は抜かない』という事を決めていた。
何故そう決めたかというと、以前どこで見たか忘れてしまったのだが、たまごボーロの開発者が、

『味はさしてかわないかもしれない。だが、天が見ていると信じてこのたまごを使い続ける』

というような言葉をみたからだ。
このたまごとは、はたからみればお菓子に使用するにはもったいないような高級な卵であったそうだ。

僕はこの言葉に感化され、お客様のどんなに小さな要望でもすぐに応えてあげること、車を極限まで綺麗にすること、手書きのDMには徹底して拘った。

その結果、気づいてくれる人には心から感謝されたし、中には疎遠になっていたが2代目の車まで買ってくれたお客様もいた。

しかし、一回だけ小さな約束を守らなかったことで、決まりかかっていた商談が破綻してしまったことがあった。
そのお客様は、来店してくれてからの半年間ずっとDMを書いて送ったり、電話して距離を縮めたりと頑張って成約間近まで持ってこれたのだが、約束していた一本の電話を遅らせてしまったことにより話は無くなってしまった。

理由は、その日に飼っていた犬が死んだとの悲報が家族から入ったからだ。
無論約束を忘れていたわけでは無かったが、上司に頼みもせず脇目も振らず一目散に帰ってしまったのだ。
結果、後日詫びの電話を入れるものの、その少しの合間に他社へ行き相手の気持ちが流れてしまった。

最初は、「たかが一本の電話くらいで・・・」とそこに至るまでの苦労とかなりの粗利益も見込めていたので、とても悔しく感情的になってしまったが、タバコを吸いながら冷静になって考えてみると僕が悪いことはあきらかだった。

利害関係においての約束は絶対であり、まして契約間近ともなればなおさらであったと反省した。
相手にはプライベートの事などどんなことであろうと関係ないのだという事と同時に、時間だけは皆に平等であるということを改めて実感した時だった。

見城氏も作中に、

『こと仕事においては、小さなことでくよくよしなければ、相手の心は掴めない。』(P17)

と書いているが、まさにその通りだと共感した。




【ピカソのキュビスム、ランボーの武器商人】(P76)

この言葉というより、解説には叱咤された感覚になった。

どういうことかというと、ピカソはキュビスム(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%93%E3%82%B9%E3%83%A0)に至るまで写真と見舞う違うようなデッサンを描いており、ランボーは文学を極めた末武器商人となり、輝かしい伝説と人を引き付ける魅力を得たのだそうだ。

つまり、両者ともに強硬な基礎があったための成功だと語っている。

まず、見城氏のこの考えに至るまでの気づきと、知識の深さに敬服した。

僕は今転職活動をしているので、自分はどうすればいいのか?、自分の強みと弱みは何か?を思いつく限り徹底的に洗い出してノートに書き留めておくということをしている。

丁度この本を読む前に自分の弱みを書いており、その一つに、

『飽きやすく、努力せず、最短の道をさがそうとする』

ということを書いていた。

まさに、これに呼応するかのような言葉が書かれていたのだ。

『基礎と格闘せず、早道を行こうとする奴は、たいてい失敗する。表面だけで根本がないからだ。』(P79)

と・・・。

さらにこのようにも書かれている。

『一つのビジネスに没頭し、格闘したものだけに見えてくる全く新しい風景。いきなり成功する新しいビジネスモデルなどあり得ない。』(P77)

僕は、これを見たときに確信したことがある。

薄々気付いてはいたが、以前の職場から逃げたという現実だ。

営業なのにインセンティブや賞与が全くでないという待遇面の不満もあったが、その中でも頑張り続けている人はいる。

手前味噌だが、僕は何を始めても最初はかなり有望だと褒められる。

剣道、サッカー、水泳、英会話、テニス、仕事・・・。

どれも、最初は有望だと言われてきた。

しかし、蓋をあけてみればどれも中途半端で、成し得たことなど何も無い。

そこそこで伸び悩むと辛いことは避け、何かしら言い訳をして逃げ出してきた。

以前の職場も、やりたい事があると適当に転職先を見つけ、逃げだしてきただけだ。

つまり、何も積み重ねてきていない。

昨日VMAJに出演していた少女時代は、幼少の頃から一日12時間近くに渡る厳しいレッスンを得て、現在素晴らしい活躍をしている。

Lady GAGAも同様かなり辛い時を過ごし、熟考した先にあの極端なスタイルを築き上げた。

人は、自分に足りないものを持っている人を好きになるというが、本当にそうなのだろう。
僕は、上記のような苦しい時を乗り越え月並みはずれた努力をしたアーティストを好きになる傾向がある。

それが、歌やパフォーマンスとなって現れ、感動を与えているのを無意識に感じ取っているのかもしれない。

また、プロと呼ばれる人々は、早々に積み重ねるということの大切さに気づき努力をしている。
言うなればそれが才能なのだと思った。

本当にこの言葉には、尻を鞭で叩かれたような気持ちに陥った。



しかし、そんな僕にも夢がある。

それは、【起業】だ。

具体的ではないが、インターネットを使い人々の生活を便利にし楽しませるといった新しいサービスを作りたいなんてことを考えている。

しかし、藤田氏も作中に書いているが、

『ネットビジネスは、奇抜でユニークな発想ばかり求められるようなイメージがありますが、実際はそうではありません。ビジネスマンとしての基礎がないまま行って成功するほど甘くありません。』(P81)

と・・・。

僕は、「ネットで起業したいなら、知識や人脈を得るためにネット業界で働くべきだ!」
とあからさまな勘違いをし、ショートカットをしようとしていた。

仮に誰も思いつかないような、良いアイディアが浮かんだところでビジネスの基礎がなければ実現できず、机上の空論、絵に描いた餅で終わりだろう。

マリオカートにおいてのショートカットは強烈だが、人生のショートカットは全くの愚かな行為であると気付かされた。

夢を実現させるためには、仕事に対し謙虚に愚直に努力を積み重ね、背水の陣で望む覚悟が必要だということを教示してくれたこの一冊は、僕にとってとても価値のあるものだった。



憂鬱でなければ、仕事じゃない/見城 徹

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次回からは、もうちょっと纏められるようにしたいなぁ・・・。

収監 僕が変えたかった近未来/堀江貴文
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初回は、これで行こうと思う。
理由は、本日読了したからだ。

いわずと知れた、ホリエモンの収監前に発行された一冊である。

サブタイトルが過去形になっているのが悲しいが、内容は悲観的なものではなく、娑婆から2年と少しの間姿を消すという人間が、本気で日本の行き先を考えるというものになっている。

検察の不合理性から始まり、最高裁、原発、政治、インターネットを利用した選挙活動の薦め、これからのマスコミ業界、中国の脅威、医療の問題等書き出したらきりがないが、目新しいものから既存の問題まで至る所に焦点を当てて描かれている。

一つ一つの題材に対しての考察がかゆい所にまで手が届いていて、氏の知識と思考力が常人のそれとは一線を画しているからこそできる『近未来の日本のコンサルタント書』と言っても過言ではないできになっていると感じた。

では、どのような考察が描かれてているのか?
ということになるが、長くなるので割愛させて頂く。
簡単に纏めさせてもらうと、
「インターネットを駆使し且つ強烈なリーダーシップを持った人間が今の日本に必要で、既成概念を壊していかない限り、日本は後退の一途を辿るだろう」
という見解だ。
是非読んで、ホリエモンの先見性や思考力の高さを堪能して欲しい。

少々投げ槍に感じるかもしれないが、ホリエモンの著作にある本質は、『知識と情報』の圧倒的な量である。
上記のような問題に対しての考察等も大変勉強になり思考力や想像力も付くのだが、僕のような一般人には、実行し難い内容となっている。

大抵のビジネス書や啓発本は、読んできた限りでは実行しなければ絵に描いた餅となってしまうが、ホリエモンの本は読むだけで圧倒的な知識と情報が手に入るのである。

しかも、経済人の書く様なものとは違い、大変分かり易く書かれているため飽きないし読みやすい。

未だに多くの人に、「金の為なら何をするのも厭わない冷酷でデブな拝金主義者」と思われていそうだが、実際は違う。
前向きで打たれ強く、自分の成し遂げたい事の為に真の主体性を持って行動できる人間だと僕は思っている。
今回収監される事になった元凶の証券取引法違反においても、代取であった責任はあるかもしれないが、実際は知らない所で動いていた。
では、なぜ収監されることになったのかというと、『優秀』だからである。

簡単に書くとあまりにも優秀なため、甘い蜜を吸い続けてきた者がそのシステムを壊され吸えなくなる事を懸念しているのだ。
まさに出る杭は打たれるで、このままでは途上国に追いつき追い越されるのも時間の問題であると本当に思う。

氏の言うように、横行している間違っていることに対し本気で抗い、改革していくことが必要になってきたと感じた。

出獄後は、ノマド(遊牧民)となってロケット開発をしながら、諸外国でインターネットを使ってビジネスをしていくそうだが、是非日本に革命を起こして欲しい。