グリーンランドの醸造所は、地球上で最も混じりけのない水を使い、世界のどこにも負けない極上のビールを造っている。
近年になってグリーンランドでビール産業がさかんになった決め手は、水だ。ビール醸造家のサリク・ハルド氏は次のように語る。「世界中の醸造所が水の処理に大金を費やしています。しかし私たちにその必要はありません。なぜなら、世界で最も混じりけのない水が、氷河と万年雪から手に入るんですから」
ハルドら醸造業者は漁船をチャーターしてフィヨルドに向かい、氷山から欠け落ちた氷の破片を集めてくる。氷が解けたら、その水にドイツのバイエルン地方のモルトと、有機栽培のホップ(カナダかドイツかニュージーランド産)を混ぜるのだ。できあがったビールはグリーンランドの一流レストランで味わえる。島の南端近くの町カコルトクにある「ナッパルシビク」も、そのうちの1軒だ。
ハルドがナルサクに設立した「グリーンランドブリューハウス」は、島の西海岸に散らばるいくつかの醸造所のひとつ。島の中心都市のヌークでは「ゴットホープブリューフュース」が4タイプのビールを造っている。
イルリサットの「ホテル・アイスフィヨルドブリューフュース」では、ルバーブによく似たアンゼリカや、ガンコウランの実といった地元の植物を使って、ビールの風味付けを行っている。このホテルのテラスに座れば、ディスコ湾の氷山の眺めをさえぎるものは何もない。
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■ベストシーズン 5月下旬から9月上旬までがこの島の夏。乾燥した晴天の日が多いが、気温は夏でも10℃を超えることはあまりない。
■旅のヒント 日焼け止めは必携。イルリサットのような北部の町でも夏の日差しは強烈だ。「ゴットホープブリューフュース」の最高級ビールは1パイントでおよそ95クローネ(約1800円)。財布を空にする覚悟で飲もう。
【見どころと楽しみ】
<北極圏の料理>
・グリーンランドのビールは島の料理との相性がいい。比較的温暖で緑の多い南部では羊が放し飼いにされており、上質の子羊肉が手に入る。北部はずっと冷涼で、夏が短い。食事はアザラシの肉が中心で、シチューなどいくつかの調理法がある。トナカイやジャコウウシのステーキなど、猟獣の肉もよく食べられている。
・魚介類で人気が高いのは薫製の鮭(さけ)やオヒョウ、干しダラ、生のホタテ貝など。グリーンランドは国際捕鯨委員会から一定量の捕鯨を認められているので、クジラ肉も食卓に上る。ミンククジラの脂肪は、島の人にとってのごちそう。初めて食べると、まるでゴムのような食感だ。
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