青江 次吉
延文年紀、備中青江次吉の短刀です。板目が摘み地景がからみ、そこに明るい地沸がのるため、絹織物のチリメンを思わせるような独特の肌合いになります。(画像一枚目がチリメンの布です)くものいはだ(蜘蛛の糸肌)は、蜘蛛の巣に朝露がかかり、キラキラと立体的に躍動する風情ではないでしょうか。ところどころに澄肌がでていますが、やはり上代のものに比べると「のろり」と目立ち、これが鯰肌と呼ばれる由縁ではないでしょうか。時代の上がるものは、僅かに色変わりの地鉄の中に微細な地景が密集し、そこに地沸が絡むため一種独特の映り状の変化とも思えます。波紋は、のたれに互の目が交じり逆足状となり、帽子は勢い良く突き上げて返ります。この時期から貞治にかけて、盛んに逆足の入る典型的な短刀を多く見るように思います。匂いに小沸がつき、刃に沿って長く湯走りが掛かり、いわゆる雲のいわた(山間に浮雲の漂う風情)状となります。これが匂いがちの場合、細く線状に変化し何重にも重なり、いわゆる青江の段映りとなるのではないでしょうか。上代のものに比べると、その特徴である青黒く冴えたチリメン肌はやや平面的となり、澄み肌が目立つようになります。 匂い口に僅かに深みが欠けやや荒めの沸まで交えるのは、やはり南北朝という時代性ではないでしょうか。