例年通り、鐘の合図とともに「黙祷」から始まり、松井一実広島市長による「平和宣言」が朗読されました。(明日にも要旨を紹介したいですが、国民を戦争の道具として使ったのでは、同じ過ちを繰り返すまいと言う人類の決意に反するし、決して人々を幸せにはしないと述べ、トルストイの「戦争と平和」の中にある一説(他人の幸せの中にこそ自分のしあわせがある)を引用しました。

 そして広島選出の現内閣総理大臣:岸田文雄氏の挨拶が述べられました。日本国は、「核兵器禁止条約」はいまだに批准していません。先ごろ岸田総理は、ニューヨークで行われた「核不拡散条約の再検討会議」(NPT)に日本は初参加し、被爆地出身の首相として、「日本はNPTの守護者の想いで、核不拡散体制を守りぬくとして、核兵器のない理想的社会の実現の前に立ちはだかる厳しい安全保障環境を見据えて、「ヒロシマアクションプラン」といういうつの行動を掲げました。(後日紹介)

 現職の国連事務総長グテーレス氏の参加は、現職としては2度目で12年ぶりとのこと。この人も核兵器は愚かなものと言っていますが、国連の役割も形骸化しないことを祈ります。

 岸田首相は、来年広島で予定されているG7サミットでは「核兵器の惨禍を繰り返さない!!」と力強く宣言するとのこと。う~ん、宣言はよいことですが、米国シンクタンク「軍事管理協会」のダリル・キンボール会長は、核抑止策には常にリスクが伴い、核戦争に陥らない唯一の解決策は、核兵器の廃絶だと明言しています。(7月30日長崎原爆資料館ホール)

 う~ん、人一倍核を保有している国の、バイデン政権にも近い人の発言を鵜呑みにしていいものか・・・・・本当に、被害にあった被爆者や、未来を担う子供たちに希望を与えられるものなのか・・・・・国際会議や式典の場では、理想が語られているけれど・・・・・ 

 今年は、ロシアとロシアとの同盟関係にあるベラルーシは招待されなかったとのこと。少し前に、ロシアの関係者が、慰霊碑にお花を捧げたようです。

 ロシアによるのウクライナへの軍事侵攻(それがどこの国であっても)には、断固抗議すべきですが、被爆地が掲げる「核兵器のない平和な世界の構築」目指す平和の祭典に、参加させないのはいかがなものか?軍事侵攻を正当化する国を呼べば、被爆地への「慰霊」の姿勢を示しつつ、彼らに釈明の機会を与えかねないんだとか・・・・・

 家族、友人、学ぶ機会、働く機会、家、健康、ETC   ETC 様々なものを奪われ、苦しみ生き抜いてきた被爆者の一人は言いました。「線引きをするべきではない」

 参列の女性の一人、田中稔子さんは、チェルノブイリ原発事故(私は従来の呼び方をやめてはいません)と、ロシアによるウクライナ攻撃で2度も故国を追われたタマラさんとの交流で、自らの長年の核廃絶運動を再認識し、日本の中にも米国の力を借りて、核を共同配備・運用すべきとの考えが出る昨今、絶対に運動を止めてはならないという思いで本日参列していました。そして現総理大臣の挨拶から、核廃絶への日本の姿勢を期待しているのです。このような人たちに答えてもらいたいと思います。

 2021年10月に没した坪井直氏[20歳で被爆)の、「ノーモアヒロシマ」「ノーモアヒバクシャ」の叫びにも答えてもらいたいと思います。

 

             

          戯曲

原爆投下後一人残った娘の、後ろめたさから自らの幸せを拒否して生きてき   た。亡き父は亡霊となり娘の前に姿を現し、娘の後押しをする。

親子の交流と生きることの尊さが、見事な広島弁で再現される。