再度手四つに組んだ。だが、すぐにお互い片膝を付いた。相当疲れていたからだ。渾身の力。彼女を押し倒した。丁度横四方固めの体勢で彼女に覆い被さっていた。左手で彼女の両足を抱え込むと、空いた右手で彼女のショーツを剥がすのを試みた。

「いや」

 彼女の声。彼女はもがいていた。その手を私のショーツにかけようと。早く脱がさないと。でも、気づいたら、彼女も剥がし始めていた。どちらが早く脱がせられるか。何とか膝ぐらいまで。後少し。でも、彼女も膝ぐらいまで脱がせていた。一瞬私が早く脱がせられた気がした。取り上げたショーツを審判に見せた。だが、ほぼ同時に彼女も私のショーツを掲げた。

「同時引分け!これより五分間の水入!」

 

「日本書紀によれば、最初に相撲を取ったのは女官だったとか。日本で、新相撲という女性の相撲が始まったとき、中学校の教諭が、女性が相撲を取れるのは素晴らしいって。女が女として女と闘うことの意義を感じたわ。」

 彼女はそう答える。

「私は単に、頼まれたから。助けてもらった義理から受けたけど。」

「でも、あなたとお会いした瞬間、きっと騎士道の精神を持った方だと思ったわ。こうやって対戦前にお話できて、だいぶんと気が楽になったわ。」

「同じです。」

 

「穿かせて下るの?」

「そう」

「でも」

「いいのよ。」

「ちゃんと穿けたかしら?」

「大丈夫。じゃあなたも。」

 だが、穿かし終えると、思わず彼女の脚に抱きついた。

「立って。…健闘私キスで誓い合いましょう。」

 私たちは何度も唇を重ねた。

 

「対戦前の儀式。手引きにあったけど。正直不安だった。」

 そんな私の言葉に。

「当然だわ。」

 

 あの喫茶室で、そう言葉を交わしたのに、今では、自然に彼女と唇を重ねることができた。

 

「結構持出もあったし。」

「ドレスのこと」

「そう。」

「当初はスコートを着るって思ってた。」

 実は、彼女もそう思っていたらしい。でも、指定されたのは、フィギュアの様なドレスだった。指定された業者のオーダーメイド。でも、装飾を施すものでもなく、至ってシンプルだった。でも、この聖戦で使われるだけだとコスパとしては非常に悪い。