【マンションの保険を考える:その4】
 インタビュー:2008年8月29日
 語り手:杉山保険サービス 廣澤 嘉人氏
    (東京海上日動火災保険株式会社代理店)
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)


(その3から続きます)


廣澤● 単独保険をセットにして大幅に安くなるという保険商
品は、ちょっと難しいかなと思いますが、生保、火災、損保、
それに自動車までを1つの保険商品としているものはあります。
当社で「超保険」と称しているものですが、これは恐らく当社
だけの商品かと思います。

こちらの保険なら、保険証書も1枚だけで済みますし、うまく
各保証を組み合わせると、個別に保険契約をするより安くなり
ます。

中でも、一番のメリットとして、通常地震保険は、火災保険の
30%~50%でしか契約をできないところを、100%として契約が
可能にできることがあります。

もし不幸にも自宅が被災したとき、評価の半分をもらっても建
て直せないでしょう。これでは保険の意味が半減してします。
しかし、日本は地震国ですから、何時被災するかわかりません。
火災保険と同等の保証が、地震保険にも必要だと考えられるわ
けです。

山田◆ そんな保険があるとは知りませんでした。他社さんが
やっていないのなら、さぞかし高い契約率なんでしょうね。

廣澤● そうなんですよ、と言いたいところですが、最近はTV
等で大々的に広告していないことや、保険契約の方法によって
は、必ずしも単独ごとの保険よりも安くならない、という保険
料の計算方法に起因する部分もあり、まだ主力商品とまでは成
りえておりません。

本当はあまりお話をしたくは無いのですが、当社の宣伝のため
に本日のインタビューに出ているわけではないので、デメリッ
トも正直に申し上げます。

もし、ご家族様のうち1人しか自動車を運転されないのであれ
ば、保険料は個別契約より安くなります。しかしながら、田舎
や郊外の様に運転される方が家族に何人もいらっしゃると、そ
の人数分の保険料として計算されますから、却って不利になる
面が出てきます。

山田◆ なるほど、地震保険100%支払いのメリットと比べて
どうだろうか、というところでしょうか。保険はやはり難しい
商品ですね。だからこそ、廣澤さんの様なプロに直接レクチャー
していただく機会が欲しいものです。

廣澤● 「超保険」の話は置いておいて、マンション管理組合
向けの総合保険など、まさにそうですね。ただし、保険屋側か
らオファーすることは、どうしても保険セールスのイメージが
付きまといます。

加えて、管理組合さんの本気度といいますか、本当にマンショ
ンの将来を考えているのかという部分は、私達も高額商品を扱
う責任上、とても重要視しております。

せっかく呼んでいただいても、やっぱり話を聞くだけでお任せ
しますでは、結果としてはこちらのお奨めを単に買っていただ
くに過ぎなくなってしまいます。

マンション側として何が大切なのか、何を欲しているのかを、
きちんと伝えていただいて、その上でプロとしてのご提案をし
たいと考えています。

また、単純に補償部分を積み上げるだけではなく、きちんと費
用対効果の部分も検討することで、無理な保険料とはならない
様することも、私達プロの仕事です。

山田◆ なるほど、本日のお話はとても勉強になりました。私
ども横浜ライフシステムとしても、保険の売込みではないそう
いった説明機会を、マンション住人の皆さまのためにも用意さ
せていただきたいと思います。

廣澤● その際には、当社の専門担当を説明に伺わせますから、
ぜひ、東京海上日動のマンション保険担当までご連絡ください。

山田◆ 了解いたしました。本日はどうもありがとうございました。


(本稿 以上)


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【マンションの保険を考える:その3】
 インタビュー:2008年8月29日
 語り手:杉山保険サービス 廣澤 嘉人氏
    (東京海上日動火災保険株式会社代理店)
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)

(その2から続きます)

山田◆ 廣澤さんは、既に顧客と強い信頼関係が出来上がって
いますから、本当の意味での顧客相談ができるのでしょうね。

私が見聞きするところでは、管理会社自身が保険代理店である
場合でも、管理組合への決算報告上で、支払保険料のことをう
まく説明ができない場合も多いと聞いています。

結局は管理費に占める保険料が高いという事なのですが、保険
の効果と保険料負担の関係を合理的に説明し、納得してもらう
ことは、けっこう難しい作業の様ですね。

ただでさえ管理費の下げ圧力が強いご時世です。本当にマンショ
ンのことを考えているならば、マンション保険は不可避の選択
であるはずですが、どうも保険は曖昧なポジションに置かれが
ちの様です。

マンション保険の仕組みや必要性について、管理会社も保険代
理店である以上、きちんと説明できなくてはいけないのですが、
代理店イコール必ずしも保険のプロではないのです。管理組合
でも、本当の保険のプロと話をすれば正しく理解できると思い
ます。

廣澤● そこは重要な点ですね。保険を扱う資格があるという
ことと、保険の専門家、つまりプロであるというのは、本質的
に違うと思います。特に私の様な仕事では、お客様に納得でき
るご説明ができないことは、そのまま信用を失うことにつなが
りかねません。

一方で、保険はますます商品として複雑化してきています。ま
してやマンション保険などは金額的にも大型商品ですから、ご
理解をいただくためには、お客様自身にもご協力をいただかね
ばなりません。

山田◆ 自動車や生保がそうですが、外資を中心にシンプルな
保険商品が増えました。ぶしつけな質問ですが、やはり純国産
の保険会社さんにはダメージがありましたか。

廣澤● 保険の加入率ということでしょうか。だとしたら、実
際はそれほどのダメージは無かった様です。

既に各種保険とも、現実には飽和状態にあります。飽和状態と
いうのは、無駄に入っている保険がけっこうあるということで
す。

山田◆ 例えば、お付き合いで入った保険とか、カードに付帯
する保険とかでしょうか。

廣澤● それも一例ですね。保険は一度加入すると、それほど
見直し機会がありません。1年更新の自動車保険でさえ今まで
は割りとそうでした。

最近でこそ、ネット保険なども加わり顧客の取り合いになって
いますけど、自分がどういう保険に入りたいのかということを
考える機会ができたという意味では、業界にとっても競争はプ
ラスであると考えています。

まさにそれ位、保険は今まで与えられたものだったと言う事で
す。お奨め商品に対してお任せしますと契約したまま、とにか
く保険料だけ支払っていて、せいぜい気にするのは、受け取れ
る保険金は幾らなのか程度の興味しか持たない人が、実際かな
りの割合を占めています。

山田◆ マンション保険など、その典型かもしれません。現実
に管理組合の理事さんでも、保険内容を良く把握していないケー
スが多々あります。

そうなると、管理組合で共有保険に入っているのに、個人で共
有部分にあたるところまでカバーする保険に入る方まで出てき
ます。管理組合で保険について説明ができていないからです。
また、保険会社が個別に説明会を開くケースもほとんどありま
せん。

廣澤● 共有と個人の保険の問題は、マンションで言えば、典
型的には水漏れなどの様な場合に弊害が生じます。

明らかに個人の過失が認められる場合は別ですが、意外と共有
保険でカバーできるケースがけっこうあるのです。しかし、ど
こからどこまでが共有保険でカバーできる範囲なのか、加入者
である管理組合も、代理店である管理会社もしっかり把握して
いなくて、本来共有部分なのに個人の損害保険で支払う例も出
てきています。

保険会社も損害算定に悩むことは避けたいし、第一保険金の支
払いがそれだけ遅れてしまいます。しかし、これでは事実上の
保険料の二重払いに他なりません。

こういったことを避けるためにも、マンション共有部の総合保
険であっても、個人所有部分まで特約でカバー可能な商品も開
発されています。

むしろ、各個人に専有部分の保険を強制することの方が、各人
の考え方もあって難しい面があります。管理組合で総合保険に
特約を付けられれば、現実的なリスク回避になると思います。

ただし、そのためには、保険料負担についてどこまで管理組合
が納得してくれるかが鍵になります。説明の機会さえ与えてい
ただけば、当社に限らず、どこの保険会社でもマンション保険
の専門家を寄こしてくれるでしょう。

山田◆ 管理組合は、少しでも管理費を安くしたいと普請して
います。しかし、廣澤さんからご説明を受けて納得したのです
が、保険料が安くなっても、結果として保険でカバーできる範
囲が限定されてしまっては意味がありませんよね。

そこで、できないことに無理にやってくれと言うのではなく、
むしろ、管理費を出す側である各家庭の出費を減らすことがで
きれば、その分で管理費に当てる原資を生み出せかと考えてい
ます。保険料の支払い方などで、そういったことはできないも
のでしょうか。

例えば、一括前払いだと保険料は一般的に安くなりますよね。
ほとんどのご家庭では複数の保険に入っていますから、それを
セットにすると大幅に安くなるとか、そういった商品設計は老
舗の代理店さんでも難しいのでしょうか。


(その4に続きます)


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【マンションの保険を考える:その2】
 インタビュー:2008年8月29日
 語り手:杉山保険サービス 廣澤 嘉人氏
    (東京海上日動火災保険株式会社代理店)
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)


(その1から続きます)


廣澤● お奨めというのは、その保険屋さんから見てのお奨め
ですから、まずは鵜呑みにせず、その時点で内容の確認をして
みるべきです。

話は生保になりますが、かなりの高額商品にもかかわらず、意
外と保険内容というか、全体を見ないで契約してしまう方がけっ
こういます。例えば、若いうちに月々1万円でいいからこれは
負担が軽いと思っていたら、いざ引退の頃には4万円も払わな
ければならない契約になっているなど、負担を先送りしている
商品もあります。

公営賃貸住宅の傾斜家賃制度や、住宅ローンの段階金利と同様
に、当初が楽なだけに後の負担は大変なものになります。特に
年齢が上がれば給与も上がるという年功序列型は、既にほぼ消
滅していますし、ましてや退職後にそれだけの保険料を支払う
のは、かなりの負担かと思います。

多少負担が厳しくとも、若い時からそれ相応の負担をしていれ
ば、その後も同じ割合の支払いで済むという保険商品もあるの
ですから、どちらが総合的に見て本当に得なのか、良く考えて
いただければと思います。

山田◆ 理屈では私もわかっています。ただ、日本独特の保険
セールスといいますか、仕事上の関わりで勧誘されたりします
と、もう付き合いで入るしかない時があるんですね。ひどい時
には、社内で昼休みにまで営業されることもありました。

そうかと言って、外資系を中心としたフリーダイヤルに掛けれ
ばOKという保険も、今度は規格型ばかりで、どうも欲しいも
のとは違うと。

翻ってマンションの保険を考えるときも同様です。新築マンショ
ンであれば、最初から保険会社も決まっていますし、管理会社
がきっちり契約していて、入居される方は黙って支払うしかあ
りません。

あるいは、管理会社で扱っている保険は内容がよくわからない
から、個人でもマンションに対して、これは部屋や個人財産を
守るためにですね、自らも保険をかける方もおります。

廣澤● マンションの共有部分に対する保険は、各社さんとも
かなりしっかりした保険商品を持っています。ただし、マンショ
ンは大きいですから、保険金額も相応の金額にならざるを得ま
せん。

それだけの契約を、本当に管理組合さんだけできっちりやり切
れるのかというと、現実のところ難しいと思います。実際は、
管理会社に任せっぱなしであったり、金額面で妥協した契約を
しているのが大半のマンションの保険実態でしょう。

山田◆ 管理会社に任せるといえば、それこそ共益費から修繕
積立金まで任せっぱなしのマンションが多数あります。最近は
生活防衛上から、少しでも出費を減らしたいという方が多いた
め、どうしてもマンション保険は地位が下がりがちです。

例えば、管理会社との更新時には、引き続きの契約更新を管理
会社が望むため、更新にあたり管理費を安く提示するというケー
スがありますが、そこに保険料が絡む場合があります。いわゆ
るマンション保険の切捨てですね。

むしろ、同じ管理費の金額なら、その中で修繕積み立ての金額
を増やした方が良いのでは、という発想もそこにはあるようで
す。

廣澤● 私もマンション住まいですから、住人感情としてはわ
からないでもないのですが、共有部分への無保険は、余りにも
リスクが高過ぎます。

当社の商品もそうですが、マンションの共用保険でも、保険料
を支払いながらも計画的な修繕費用が積み立てられる商品を、
各社が開発しています。ただ、そういった商品が揃っていなが
ら、なかなか説明の機会が得られないのが実情です。

山田さんがおっしゃっていた様に、こちらから行くと売り込み
セールスになって警戒されますし、そういった機会があっても
保険内容を説明するのは、けっこう大変です。説明が大変とい
うより、正しく理解していただくことが大変と言えますでしょ
うか。

私はマンション専門ではないのですが、専門に扱っている担当
に聞きますと、マンション管理組合で理事さん全員に正しく理
解してもらうことは、かなり大変な作業だと聞いています。最
終的に必ずご納得はいただいておりますが、そこには十分な準
備と時間が必要です。

とにかく、管理組合が納得しなければ契約できませんし、何よ
りも、これはマンションに限らずですが、保険料を安くするた
めに保険内容を削ることは、本来リスク回避のための保険の意
義さえ失いかねません。

何のために保険をかけているのかということが、いつの間にか
保険料の高低を基準にどの保険に入る、という議論にすり替わ
り、結果としてリスク回避にならない保険契約になってしまう
場合があります。

そうならないためにも、保険のプロを交えることで、議論の核
がブレ無い様にすべきでしょう。私達はそういったお手伝いも
しております。

(その3に続きます)


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