【郊外型マンションの価値下落:その3】
 インタビュー:2008年9月4日
 語り手:株式会社 三和不動産
     代表取締役 鈴木 達朗 氏
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)


(その2から続きます)


山田◆ 自動車がそうなのですが、新車が売れないと中古車
売れません。郊外型のマンションも同様ではないでしょうか。
既存の郊外型マンションの将来についてを、今後真剣に考えて
いかないと、ずるずると価値が下がるばかりでしょう。

ガソリン 価格高騰により、急速に郊外のロードサイドストアの
集客が落ちています。既に廃業する量販店も出てきています。
子育ての終わった世代は、駅前などの利便性の良い場所に移動
し始めました。車を不要とする生活は、今までの郊外の発展パ
ターンを根底から変えてしまいかねません。

鈴木● 郊外や地方も黙っているわけではなく、何とか活性化
しようと試みています。しかし、地方になればなるほど事例も
少なく、金融機関も新たな事業計画の評価には慎重になります。

もし、手元資金が豊富なら、郊外にこだわらず、都内に勝負先
を変えることもできるでしょうけど、そんな体力がある会社は
限定されるしまうわけです。

大半の地場のデベロッパーは都内に出て行けない。しかし、地
元でやるにしても、やはり資金調達ができない。つまり、にっ
ちもさっちも行けない状況に置かれてしまっています。

地方経済の話に聞こえますが、これは首都への通勤圏での話し
でありますから、本当にマンション不況の深刻さは、日々増し
ていますね。

山田◆ 確かに、マンションデベロッパーのうち、動けるとこ
ろは都内に集中しつつあります。価格ダウンは避けられない状
況ですが、都内のマンション価格が下がれば、さらに郊外のマ
ンション価格が下がるという関係にあります。

これは、既存の郊外型マンションにとっては、見えないダメー
ジになります。

マンションの価値とは、必ずしも金額に置き換えて考えるもの
ではないのですが、やはり売却価格と言いますか、直近での売
却事例が価値算定のガイドラインになると思います。そのライ
ンがいつ下げ止まるのか、郊外型には相当時間が必要だと感じ
られます。

鈴木● 今後、建築資材が大幅に下がることは無いでしょうし、
人件費も恐らく同様でしょう。新築マンションの価格は、今後
も大幅に値下がる見込みは薄く、やはりそれなりの価格帯に止
まってしまうと思います。

しかし、そうは言っても、一般の人が買える金額には限度があ
ります。高過ぎれば売れないから、それは値引き販売につなが
ります。実勢価格の下落はマーケット価格として、その影響は
郊外にまで及びます。

つまり、郊外では新築マンションの供給が無いまま、中古マン
ションが値崩れするという現象が当面続くということです。


(その4へ続きます)


【ご注意】

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【郊外型マンションの価値下落:その2】
 インタビュー:2008年9月4日
 語り手:株式会社 三和不動産
     代表取締役 鈴木 達朗 氏
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)


(その1から続きます)


山田◆ マンションデベロッパーも、最近は郊外の土地は買わ
ないのですか?このままマンション不況ということで動かない
でいると、最終的に持ち玉も無くなってしまいますよね。

鈴木● 私が知っている範囲では、どこのマンションデベロッ
パーも、土地の仕入れ意欲自体は強いです。しかしながら、山
田さんもご存知のとおり、マンションデベロッパーは借り入れ
で資金手当てをしていますから、金融機関が融資態度を引き締
めている限り、新しい土地の仕入れができません。

山田◆ そうなると、ますます郊外では新規物件が出てきませ
んよね。潜在的なマンションユーザー予備軍にしてみれば、魅
力的な物件を見つける機会が減ることにつながりますから、さ
らに購入意欲も下がるのではないでしょうか。

実際、マンション販売専門のフリーペーパー誌が、1年前の半
分程度の厚みになっています。新聞等への新築マンションの折
込広告も激減しました。

鈴木● 新築が出てこなければ、逆に中古物件の動きが活性化
しそうなものですが、郊外の場合はそうではなさそうです。特
に一時期大量に供給されたバス便のマンションでは、売買が成
立しないケースが増えています。

山田◆ 既存マンションだけではなく、相続等で土地を手放す
地主さんも、売却先が無くなって苦慮していると聞きます。今
までなら、複数のマンションデベロッパーに声を掛ければ、ど
こかでは売却成立しましたから、大変な変わりようです。

恐らく、物納による大規模な空き地がしばらくは増えるでしょ
ね。ちょうど私が子供の頃は、まだあちこちに空き地があり、
そこで草野球などができましたが、そんな懐かしい光景が見ら
れるかもしれません。

もっとも、今は少子化に加え塾など習い事も多く、室内ゲーム
などの誘惑もありますから、空き地があるからと言って遊び場
になるとは限らないでしょうけど。

鈴木● 子供達にはちょっと夢のある話ですが、残念ながら今
の時代ですから、恐らく立ち入り禁止を徹底するでしょう。

一番現実的な土地処分は、戸建物件ならまだそれなり動きます
から、地元のパワービルダーなどが建売にすることでしょうか。

建売にすれば、最初から土地と家の両方が担保になりますので、
若い方の少ない自己資金でも買いやすくなります。戸建なら郊
外でもまだ可能性があるといえます。


(その3に続きます)


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【郊外型マンションの価値下落:その1】
 インタビュー:2008年9月4日
 語り手:株式会社 三和不動産
     代表取締役 鈴木 達朗 氏
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)

山田◆ 本日の専門家インタビューは、総合不動産業を経営さ
れております、株式会社三和不動産代表取締役の鈴木達朗さん
にお願いしました。

横浜ライフシステムでは、マンション価値を落とさないために
はどうすべきか、というテーマの下、各種ノウハウのご提供を
サービスの中心に置いております。

今、マンション価値という面で、郊外や地方のマンション価値
の毀損が深刻化しております。

不動産や建築業界への銀行等の融資態度硬化の影響もあり、そ
ういった地域では新築マンションの供給もストップしている状
況です。本日は、鈴木さんに最新の郊外型マンションの状況な
どをお伺いしたいと思います。鈴木さん、よろしくお願いいた
します。

鈴木● こちらこそよろしくお願いいたします。総合不動産と
言いましても、マンションから戸建の仲介までやっていますの
で、どちらかというとコンサル的な業務がメインとなります。

マンションの価値というお話ですが、新築マンションの建築は、
郊外となると壊滅的な状況ですね。戸建は少しずつ動いていま
すが、郊外では中古マンションでさえも、金額と立地が良くな
いと動きません。

つい先日まで、バス便でも本数が多くバス停が近ければ、それ
なりに優良物件と言われていました。それが、今ではバス便は
敬遠され、徒歩圏でもせいぜい10分強の範囲でしか勝負できま
せん。

郊外型のマンションの価値は、著しく下がっています。とりわ
け中古物件の売買価格は、店頭での価格こそそれなりですが、
実際の持ち主の売却価格は、そのラインより相当に低くなって
いるのが現状です。

山田◆ 郊外型のマンションの苦戦は、土地や資材の高騰の他
に、偽装事件に端を発するマンション不信と、改正建築基準法
などの制度の負担を、そのままマンションユーザーに転嫁でき
ないことに主な原因があります。

潜在的なマンションユーザーの予算にも自ずと限界があります。
その限界を超えた価格付けの結果は、マンション不況として顕
在化しました。特に郊外ほど、その傾向が顕著です。

鈴木● 郊外型マンションの場合、買う前からマンション価値
の毀損に誰もが気付く様な状態になっています。さらに、金融
機関がマンションデベロッパーへの貸付を絞っていることから、
とにかくデベロッパーも売らねばならないので、最初から値引
き販売が当然です。

新築でさえ投げ売りする位ですから、近隣の中古マンションの
価値下落は著しいものがあります。それでも、新築マンション
が増えれば、地域活性化の面でもメリットは出るのですが、こ
こまで市況が悪化すると、郊外型マンションの新築はかなり手
控えられるでしょう。

玉数が減っているのに、価格が下がるということは、もはや需
給バランス崩れた以外の何者でもありません。


(その2に続きます)


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