【郊外型マンションの価値下落:その6】
 インタビュー:2008年9月4日
 語り手:株式会社 三和不動産
     代表取締役 鈴木 達朗 氏
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)


(その5から続きます)


山田◆ 管理組合が中心となって、情熱を持って対応すれば、
その様なマンションでも事態を改善することができますし、横
浜ライフシステムでも、色々お手伝いできる部分があります。

大規模開発のマンションほど、販売会社、これには旧公社公団
なども含まれます、が最後まで面倒を見てれくる様な錯覚があ
ります。

面倒を見てくれるのは、主に賃貸区画についてであり、分譲区
画はあくまでも購入者自身による手入れが前提です。

それから、ブランドのある販売元ですから、それが住人の安心
につながっているかと思うのですが、開発当時の担当者は既に
異動してしまっているか、退職しているのが普通です。

つまり、民間だろうと公営だろうと、サラリーマンの集まりが
販売元ですから、すでに売却したマンションは業務の中心には
あり得ないのです。

ここに、マンションに住む住人、しかも長く住んでいる人たち
と、販売元との大きな意識ギャップがあります。

大規模なマンションほど、個々のユーザーの意思は表に出てき
ません。大きいからと言って管理組合もけして盤石ではありま
せん。

鈴木● そんな規模のマンションになりますと、ほとんど管理
会社任せでしょうから、現実には所有者として、このマンショ
ンを管理しているのだ、という意識は薄いでしょうね。

山田◆ そういった郊外型の大型マンションの今後は、ある面
一般の独立したマンションより、はるかに難しい舵取りになる
と思います。

今、マンション不況と言われております様に、デベロッパーや
ゼネコンの倒産が相次いでいます。いくら無策と言われる政治
でも、このままの状況には放っておかないでしょう。やはり、
公共事業など救済策を出していくと思われます。

その際、原資となるのはまたも赤字国債ですから、調整インフ
レで貨幣価値を下げるだろうことは、容易に想定できるシナリ
オです。

その時に資産価値の目減りがしないのが不動産と言われていま
す。今後も原材料の高騰が続くでしょうし、インフレになれば
人件費も含めた工事費が一段と高騰します。新築マンションは、
再び価格上昇せざるを得ないと思います。

一方、だからといって中古マンション市場が活性化するかとい
うと、もはや住宅供給の絶対量は需要を上回っていますから、
良質の中古マンションだけに人気が出て、管理レベルの低い中
古マンションや立地条件の悪いマンションは、市場から置いて
いかれることになるでしょう。

誰しもが、自分が住んでいるマンションがそんな事にはなって
欲しくはないはずです。一生売却しないにしても、空き室率が
増える一方のマンションでは安心して暮らせません。

鈴木● 私も不動産業として、中古マンションが二分化してい
くと思っています。特に郊外型マンションは、今から対応して
いくマンションと、そうでは無いマンションで、時間と共に大
きな差が開くことでしょう。

山田◆ 郊外型のマンションは、一時所得層をはじめ、いずれ
そこから出て行くことを考えている方が多かったと思います。
それが、経済環境が変わり、終の棲家として考えざるを得ない
状況になりました。

では、そのための準備について何をしていますか、という問い
かけには、明確に答えられる管理組合さんはまだ少数です。そ
れどころか、管理会社が何かやってくれていると思い込んでい
る場合さえあります。

建築後、相当の年数が経っているマンションでも、未だに販売
会社あるいは管理会社に何らかの期待している様子が、そこか
らも見えてきます。

横浜ライフシステムでは、まず最初にマンションユーザーの皆
さまに、マンションの現実の姿を認識していただきと主張して
おります。

その現実の姿とは、物理的なマンションの状態だけではなく、
権利関係も含めた管理状況も含んでいます。

私達が全てのマンションに関わることなど、到底出来ない話で
はありますが、そのノウハウをご提供することは問題ありませ
ん。

ぜひ、鈴木さんのお仕事でその様なご要望が出ましたら、横浜
ライフシステムまでお声をかけてください。

本日はどうもありがとうございました。


(本稿以上)

【ご注意】

当記事は、過去にメルマガで掲載したものですので、現在とは

異なる部分がございます。

【郊外型マンションの価値下落:その5】
 インタビュー:2008年9月4日
 語り手:株式会社 三和不動産
     代表取締役 鈴木 達朗 氏
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)


(その4から続きます)


鈴木● 同じ様な話を繰り返しますが、マンションの価値は、
もちろん金銭的評価ばかりではありません。しかし、売却が難
しいということは、魅力が薄いということでもあります。どこ
に魅力を感じるかというと、それは時代によって変わってくる
ものです。

郊外のバス便マンションは、今でこそ一次取得者層向けという
概念ですが、以前は、広いマンションだから郊外でという売り
方もできました。

先ほどの山田さんのお話にありました、ニュータウンなど大規
模な郊外型マンションなどなら、そのマンションを開発する際
に新しいバス便も引っ張れた、というケースが多々ありますよ
ね。

そんなマンションが、バス便が敬遠されて不人気となっている
のは、非常に皮肉な状況だと思います。

もうひとつ付け加えれば、一般の方でも正しい情報を知る機会
が増え、いずれ鉄道が来る計画はある、などという不動産文句
は、すぐに真贋を見抜かれてしまうということです。

実際、バブル期に一世を風靡した地区が、鉄道計画が無いこと
が白日の下のさらされた結果、一気に価値下落したケースさえ
あります。

鉄道が来ないからと言って、住人がすぐに出て行くわけではな
いにしても、これはボディブローの様に町の価値に影響してき
ます。

山田◆ 分譲マンションで怖いのは、徐々に空き室が増えるこ
とです。あるいは、空き室が増えなくても、いつの間にか賃貸
用になってしまっていて、そこに誰かが住んではいても、管理
組合とは無関係な住人でしかありません。

賃貸入居者の割合が増え、ペット不可だったはずのマンション
がペット可に、住宅専用のはずが事務所や店舗兼用に、駐車場
がいつの間にかに転貸されていたり、大勢の外部者が自由に出
入りするに至っては、セキュリティ面でもまるで雑居ビルの様
になってしまう実例が出ています。

鈴木● そうなってしまってからでは、マンション価値を上げ
ることは非常に難しくなります。利便性の良いマンションなら、
それでも市場価値は残りますが、郊外型でそうなってしまうと、
荒れているマンションとして、私のところでは特に指名買いで
もなければ、積極的には扱わないかなと思います。

(その6に続きます)


【ご注意】

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【郊外型マンションの価値下落:その4】
 インタビュー:2008年9月4日
 語り手:株式会社 三和不動産
     代表取締役 鈴木 達朗 氏
 聞き手:山田 康弘(横浜ライフシステム代表)

(その3から続きます)

山田◆ 郊外型マンションの値崩れは、まだ当分止まりそうも
ないですね。ただ、郊外であろうとなかろうと、現実にマンショ
ンに住んでいる限りは、本来は対外的な価値などあまり関係は
ないはずです。

また、郊外には、ニュータウンなどと称される、構造的にしっ
かりとした大規模マンションも多く、しっかり管理がなされて
いる物件もたくさん存在しています。

しかし、そのような優良な郊外型マンションは、当初の販売金
額も安くはありませんでした。裕福という言い方では語弊があ
るでしょうが、それなりのステータスのある人だけが買えた物
件でもありました。

そういった周囲から憬れられるマンションが、今、大きな値落
ちを食らっています。当初が高かっただけに、マンションを売
却しても、ローンの残債が残るリスクがあります。資産であり
ながら、実質は債務超過の可能性を秘めている状況では、本当
に安心できるマンションライフとはいえないでしょう。

鈴木● もはや昔話になってしまいましたが、マンションも含
めて不動産とは値上がりするものでしたから、売ればとりあえ
ず住宅ローンは完済できる計算が立ちました。それが、今では
完済できないどころか、売ることさえも難しい状況です。

それと、価格が下がれば、購買層のレベルが変わってきます。
マンションも戸建の住宅団地の開発でも、大体同じ様な所得層
レベルが住人の中心を占めるものですが、中古で価値が下落す
ると、所得レベルが低い方にシフトしていきます。

横並びの生活、という言い方はおかしいかもしれませんが、似
た様な生活レベルだからこそ、ある種安心して生活ができます。
所得レベルに差が出てきますと、この微妙なバランスが崩れる
ことになり、生活環境にコンフリクトが生じます。

それこそ、今まで誰も文句を言わなかった町内会費の支払いに
まで、納得が行かないから払わないということが起ってきます。
そこから、住人関係に見えないギクシャクが始まっていきます。

山田◆ 私達は、マンションの価値を落とさないことを提案し
ています。しかし、管理状態が悪くてマンションの価値が落ち
るのなら仕方なくても、相対的な売買価格の下落により価値が
下がることは、住人としてはたまらないものがあるでしょう。

鈴木さんのお話のとおり、ある程度所得が高いレベルで揃って
いたマンションが、そうではない住人が増えていくことは、元
から入居していた住人にとっては苦痛かもしれません。

マンションによっては、そのマンションに入居できていること
自体が、マンション住人にとってのステータスである場合があ
ります。しかし、売買価格の下落は、入居のための敷居を下げ
ることになります。

いくら、外部評価など関係ないとはいえ、プライドを持って住
み始めたマンションの価値が、有形無形に日々減っていく様に
感じているとしたら、本人にとっては精神的な面で、マンショ
ンライフに影を落としかねない事態と言えましょう。


(その5に続きます)


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