2016/韓国

監督:チン・モヨン

出演:チョ・ビョンマン、 カン・ゲヨル

 

あらすじペン

小さな村の川のほとりで生活している98歳のおじいさんと89歳のおばあさんは結婚76年目を迎え、今も仲良く毎日を過ごしている。おそろいの洋服を着て手を取り合い、山菜を取りに山へ、買い物や病院、老人会の催しへと出掛けていく。しかし、子供たちは高齢の彼らを心配しケンカをすることもあり、幸せに暮らす二人にもおばあさんの膝の痛みやおじいさんの咳などの心配事があった。(シネマトゥデイより)

 

壮大なネタバレがあります。お気を付けください。

 

ある田舎町で暮らす一組の老夫婦。二人は見た目こそ老人だが、中身はまるでの少年少女のよう。おじいさんにとっておばあちゃんはいつまでも可愛らしい女の子で、おばあちゃんにとっておじいさんは頼りになる年上の男の人なのだ。

 

落ち葉を集めては、お互いにかけ合ってはしゃぎ、初雪が降ったら「目と耳が良くなりますように」と仲睦まじく食べさせ合い、それがいつの間にやら雪合戦に。(目と耳云々はお年寄りだけどね)

おばあちゃんの機嫌を損ねれば、おじいさんは道端の花を摘んで贈り、可愛いよと彼女の耳に花を飾る。それに応えおばあちゃんも、「こうしたらあなたも可愛いよ」と同じようにおじいさんの耳に花を飾る。

 

随分前に、結婚生活を長引かせるコツは相手の嫌がることをしないことだと教わった。なるほど、当時の私は妙に納得したのを覚えている。

しかし、この夫婦は相手の嫌がることをしないどころか、ともに相手を喜ばせている。だから二人は夫婦と言うより、まるで恋人同士のようなのだと、またまた納得したのでした。

 

雪で冷たくなった手のひらを釜の火で温め、晴れの日は川で洗濯をして、時に雨だれの音を聞きながらお昼寝する。

こんな風に二人の暮らしは、季節に密着している。けして裕福ではないけれど、とても豊かで丁寧な暮らしである。

そして、二人はのんびりとした時間の中で生きている。おそろいの民族衣装を纏った二人の周りだけ、まるで時間が止まっているようだ。(勿論いい意味で)そして二人の子供たちや孫、町の人達が現れると急に時間が動き出し、私たちは突然現代へと引き戻される。

 

と言っても二人はけしておとぎ話のような世界で生きているわけではない。

 

ある日、二人が溺愛していた犬が突然死んでしまった。

犬を弔いながらおばあちゃんは言う。

「コマの次に死ぬのはおじいさんだ。そして次は私だ」

そう遠くないであろう死をしっかり受け止めている。死をひっくるめての暮らしが二人にとっての生なのである。

 

夜中、うちの外にあるトイレに行くのが怖いからとおばあちゃんは、おじいさんについてきてもらう。そして怖くないように歌ってくれとお願いする。

そして彼女は楽しい時もおじいさんに歌ってくれとお願いする。あなたは歌が上手だからと。おばあちゃんのためにおじいさんは歌い、時には踊りまで披露する。

いつもおばあちゃんの願いをきいてくれたおじいさん。だけど最後のお願いだけは叶えてやれなかった…。

 

おじいさんのお墓の前でおいおいと泣き続けるおばあちゃん。

けして寂しいからではなく、死んでしまったおじいさんがかわいそうだから。そう言って彼女は泣くのだ。具合が悪いにも関わらず、おばあちゃんが心配で病院に付き添って来てくれたおじいちゃんと一緒だね。

おばあちゃんもいつかその川を渡る時がやって来る。だけどおじいさんが歌いながら待っててくれるから、きっと寂しくないね。

 

独身の私が言うのもなんですが、この映画はご夫婦で観てほしいなと思いました。

仲のいい夫婦も、そうでない夫婦も。いい意味で空気みたいな間柄の夫婦も悪い意味で空気みたいな間柄の夫婦も。

無責任だけど、特に理由なんてなくてなんとなくそう思いました。