優しく舌を愉しませ通り過ぎていく、軽やかなフレンチ。 | 縁に連るれば唐の物

優しく舌を愉しませ通り過ぎていく、軽やかなフレンチ。


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フレンチは長年食ってきた。

ただ、今人気の店のパターンには「ガッツりCP重視系」と「見た目重視のチャラい系」があって

どちらも、どうも釈然としないが「予約が取れない」は、そのパターンに多い。


しかし俺は・・・実を言うとフレンチに飽きている。

正確に言えば「素直に旨いと思える店が少ない」からである。

昔ながらで馴染みのレストランやビストロもあるが、それらの店にも、どうも足が向かなくなった。


もう量が食えないのと、おおよそ洋食の魚料理は旨くない・・・かといって肉をガッツリも嫌だ。

しかし、大きな皿にチョビッと盛るチャラいフレンチも御免であり、自分自身でも実に面倒臭い(笑)。


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友人との昼食・・・丁度12時を回った時間で、どこも混んでいる。

騒がしい中で食う気がしなかったので「高くても落着いている店を」の選択で・・・・。


丸ビルは今月で開館十周年だという。早いものだ。

そういえば・・・と思いだしたのが未訪だった「サンズ・エ・サヴール」。

http://www.pourcel.jp/sensetsaveurs/menu.html


当時は観光客で行列する状況だったが、もちろん今はそんなことはない。

しかしキャバクラか?と思うセンスの悪いファサードは健在。


「一番安いコース」を頼み、ワインリストを見る。

確か「ひらまつグループ」はワインを値下げしたと言っていたが・・・未だアクビが出るほど高い(笑)


なのでグラスに変更。ローヌ、ブルゴーニュの白とロワールのクレマン:ロゼを。

メニューがサーモンだったので、本当はシュナン・ブランが欲しかったが・・・なかった。


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本日の一口前菜(二種)

AOCモンサンミッシェル産ムール貝と小イカのマリネ
青バナナとココナッツのヴルーテと共に

燻製ノルウェーサーモンのクルスティヤン
オリーブとバジルのアクセント
ドライフルーツのチャツネとヒヨコ豆のピュレと共に


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どの皿も実に優しく上品な味であり、しかしちゃんと個性もあり、味わいも深い。

この手の「美しい料理」は、食うと「なんだかなぁ」な結果が多いのだが、ここの料理は

とにかく「旨いねぇ」と、自然と言葉になる。


食材も上質で、魚介の生臭さはまったくない。特にメインのサーモンはソース共に実に旨かった。

スモークサーモンは高級店でも生臭いものが多くて普段は遠慮している。


一般客には多分「少ない!」と言われる内容かもしれないが、友人と共に「これで十分!」と笑う。

ただ・・パンは旨くなかった・・が、パンなんてデザート同様、興味がないので文句はない。


サービスも今ひとつだし、インテリアもセンスが悪い。

しかし、この料理ならまた食いたいな、と思った。


眺めの良い席で、ノンビリと旨い料理を食らう・・・サービスだのインテリアには目を瞑ろう。

実に「舌に優しい」フレンチ。


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