我が「ポケット・ミュージック」/山下達郎シアター・ライヴ | 縁に連るれば唐の物

我が「ポケット・ミュージック」/山下達郎シアター・ライヴ

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「シュガーベイブ」を初めて聴いたのは高校生の頃である。

「ぱっぴいえんど」や「ティンパン・アレー」を聴いていた「流れ」で、必然的という感じで出会った。


しかし時代はフォークブームであり、ましてやロックでも歌謡曲でもない「ポップバンド」が

売れるはずもなく、一部のマニアが今までにない洒落たポップサウンドに興味を抱いていた。


その後ソロになってから「RIDE ON TIME」のヒットでメジャーになる。

また「ひょうきん族」のエンディングテーマで何曲か使用されたことで「メロディーメーカー」としても

認知されるようになった。


「RIDE ON TIME」は印象深いアルバムで、今までより、より力強くPOP色が出ていて

あの「達郎サウンド」が完成した時期と思う。関西で仕事をしていた時期に「ウォークマン」で

RIDE・・・の「ミュージックテープ」を聴きながら大阪の街を歩いていた。


そして人気を不動のものとしたのがアルバム「FOR YOU」だろう。

TVには出ないにも関らず、コンサートのチケットが入手困難になっていく。

実際に俺がコンサートに訪れたのは80年代が最後だ(笑)


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自らが唄うPVもなく、ライヴでしか唄う姿を見られなかったのだが、今回、古いライヴの映像を

含めたフィルムを公開するというので驚いた。「動くタツロー」と冗談的に言われている。


フィルムとはいえ、たった一週間の単館上映なので真夜中の上映時間以外はほぼ満席である。

(9月15日から渋谷で追加公開があるようだが・・・)


残っている僅かな席を取って新宿へ向かう。

客の中には「老年層」も結構いて、不思議な感じである。まぁ40年のキャリアがある訳だから

今、爺婆でも当時は「普通に聞いていた」・・・の継続、かつ懐かしさ、なのかもしれない。


やっぱりね・・・と思わせる「SPARKLE」で演奏は始まる。80年代のライヴから。

小気味良いギターのカッティングに、懐かしさを覚え、少々鳥肌が立つ。


バックバンドも実にタイトにリズムを刻み安定している・・・そこに声量のある歌が絡まる。

アカペラもふんだんに盛り込まれ、正に「ヴォーカリスト」を主張する。

ただし、実はギターも上手い(笑)


若い時代もいいのだが、つい最近のライヴ映像を見ると声に「貫禄」がついて力強い。

バラード系からアップテンポの曲まで、何を唄っても巧いなぁ・・・と思う。


日本のPOPはほとんど聴かないのだが、山下達郎だけは好んで聴く。

彼の中には様々なジャンルの音楽が蓄積されていて、そのエッセンスが「深み」になっているからだ。


そこが単に「好きだから」でやっている若いバンド連中とは違うところであり

時間を経ても「古くならない魅力」を持っている。何よりも曲の良さと圧倒的な歌唱力だろう。


実際のコンサートは3時間オーバーとなるのが特徴なのだが、フィルムは90分程度で終わる。

もっと聴きたいね・・・と思わせて、今度出る「ベスト盤」の売上げにつなげようとしているのか?(笑)


ともあれ、なかなか内容の濃いフィルム・コンサートであった。

自分のポケットに入っていた音楽を、取り出してみたら十分楽しかった・・という感じだ。