神奈川県警捜査一課の吉永誠一(船越英一郎)は、仕事一筋の熱血刑事。しかし半面、家族を大切にする愛妻家でもある。非番のある日、久しぶりの休日を家族と過ごしていると携帯電話で呼び出され、殺人現場へと急行する。男の死体が発見されたのは建設中のビルの工事現場。布団袋に入れられ、コンクリートを流し込んでいるビルの基礎に投げ込まれていた。遺体は胸の前で両手を組み、その手にはノミが握られていた。司法解剖の結果、遺体は死後1週間か経過しており、凶器のノミで心臓を刺されてほぼ即死状態だった。殺された古川総次郎(左とん平)は、8日前に入院していた小田原の病院から抜け出し、捜索願が出されていた。古川は肺がんで余命わずかだったという。早速、殺された古川の娘・悦子(秋本奈緒美)が呼ばれ、身元確認が行われた。しかし、悦子は父親の遺体引き取りを拒んだ。その裏にはある事件が関連していた。古川は10年前、酔っ払って勤めていた会社の社長と口論になり、階段から突き落とすという傷害致死事件を起こしていた。そして、その3年後には失踪。残された妻は苦労の末、5年前に死亡していた。そのためか、悦子は父親を激しく憎んでいた。遺体の両手が組まれていたことから、殺害は近親者の可能性があると睨んだ吉永は、聞き込み調査を開始する。その結果、古川が起こした10年前の事件が原因で、悦子が離縁していたことが判明する。捜査が徐々に進む中、現在は鑑識課に所属する吉永の後輩・三上が別の捜査の相談を持ちかけ、吉永をある高層マンションの一室へ連れて行く。昨夜、そこで男女が青酸カリを飲んで死んでいるのが発見されたという。部屋のドアには鍵とチェーンが掛けられていた。窓には鍵が掛かっていなかったものの、ベランダから逃げることは不可能に思われた。一見、心中自殺のように見えたが、女の携帯電話がなくなっているのを不審に思った三上は、吉永に捜査を依頼する。他の事件に首を突っ込むことをためらう吉永だったが、その部屋から古川殺害の記事が切り抜かれた新聞が発見され、二つの事件は繋がりを見せ始めた。マンションで死んでいたのは、クラブのホステスの池内彰子、そしてホストの太田慎哉で、二人は恋人同士だった。聞き込み調査を進めるうち、彰子の同僚が事件の直前に彰子と携帯電話で話をしていたことが分かった。その時、彰子は部屋におり、「お客さんが来た」と言って電話を切ったという。そして、古川が殺害された日、彰子は店を休んでいた。一方、太田の銀行口座には150万円もの不審な入金があり、部屋からは建築関係の雑誌が見つかった。雑誌にはいくつもの折り込みがあり、それはすべて佐伯和久(布施博)という設計者が手掛けた建物のページだった。その後、病院から抜け出した古川が甲府に向かったという事実を掴む。そして甲府には佐伯の別荘があった。タクシーの運転手から夜11時に古川を佐伯の別荘で降ろしたという証言を得るが、捜査令状が取れず捜査は行き詰まる。しかし、何とか自力で別荘に潜入した吉永は、そこで真新しい畳と電話の履歴を目にする。古川が殺された夜、この別荘から誰かが古川悦子に電話をしていた。さらに、佐伯は悦子の別れた夫だったことが判明する・・・。二つの事件が重なり、錯綜する愛と憎しみが一つに繋がる時、事件の真相が明らかになる…。吉永誠一は、複雑に絡み合う人間関係を解きほぐし、真犯人を突き止めることができるのか。

 

①元大工 左とん平

②ホステス彰子とホスト慎哉(密室のマンションで青酸カリの服毒死)

 

失踪当日、左とん平は入院していた病院からタクシーで建築家の布施の別荘へ向かったことが分かる。

布施は左とん平の娘 秋本奈緒美と元夫婦。

同日、彰子も「いいバイトがある」とクラブを休んで小淵沢へ行っていた。

布施は不正献金疑惑がある代議士の宇佐美と繋がっており、代議士も同じ日に布施の別荘にいた。

布施は彰子と関係があったことは認める。

事件当夜、布施の別荘には布施と宇佐美代議士と②彰子。

布施は世話になっている宇佐美に彰子をアテがうためにセッティングしたのだ。

 

船越はそこに左がやって来て、何等かの理由で殺害されたと考える。

殺害現場を目撃した彰子は携帯で撮影し、恋人のホストと一緒に布施を脅迫した為に殺害された。

 

10年前、左の起こした事件のせいで布施と奈緒美は離婚したとされていたが実際は違った。

奈緒美が夫の将来を考えて身を引いていたのだ。

元親友曰く、離婚後の布施は何かにとりつかれたかのように、宇佐美代議士に近づいて行ってと。

布施は左の元弟子だったが、夜学を卒業して設計の道へ。

しかし、左の事件が影響してエントリーしていたコンペに落選してしまった。

左は10年前に迷惑を掛けたことを謝ろうと布施の別荘へ行ったのだった。

娘と元に戻ってもらおうと…。

 

彰子のマンションの密室

犯人が逃げるとすると、唯一、鍵が掛かっていなかったベランダだけ。

しかし、高さがあって飛び降りるのは不可能。

船越は屋上に不自然な穴を見つける。

ロッククライミングが得意な布施は屋上の床に穴を開けて、縄ばしごをセット。

そして、お金を渡すといって彰子の部屋へ行き、青酸カリを入れたワインで乾杯して彰子たちを殺害。

垂らしておいた縄梯子を登って屋上へ逃げたのだった。

 

事件当夜、別荘にやってきた左とん平。

しかし、布施は奈緒美との復縁を拒否。

「昔を思い出せ」と大工道具を出してきた左と揉み合う内に、布施は左を刺し殺してしまう。

そこにやって来たのが代議士と彰子。

警察に連絡しようとする布施を代議士が止める。

「私の立場を考えろ!」

そこで、布施は左の遺体を横浜まで運び自分が関係する工事現場に遺棄したのだった。

現場写真をネタに脅してきた彰子たちの始末を暗に代議士から命じられた布施は彼女たちも殺害。

 

誤りに来たくせに、「昔を思い出せ」と上からな物言いの左とん平が元凶。

 

船越英一郎、左 とん平、秋本奈緒美、布施 博、中山 忍、大杉 漣、真田せつこ、金田 明夫、河原 さぶ、渋谷 哲平、林  泰文、遠山 俊也、吉村 明宏、仁藤 優子