“落としの達人”との異名を持つ水木正一郎を、いかりや長介が演じる「取調室」シリーズ第15弾。
佐賀県鳥栖市内のマンションで沼田梨江(姿晴香)という女社長の他殺死体が発見され、福岡との県境の川で見つかった専務・黒河内豊(中島久之)の水死体と合わせて、連続殺人事件の可能性が濃厚となった。捜査本部は、刑務所を出所したばかりで、2人に恨みを抱く川村裕美子(丘みつ子)という女を逮捕。水木(いかりや長介)がその取り調べを担当するが―

 

①陶器会社社長 姿晴香

②陶器会社専務 中島久之

 

7年前

丘みつ子は夫の勤めていた会社の社長を殺した罪で刑務所へ。

社長が脱税していることに気付いた夫は、逆に不正経理の濡れ衣を掛けられてしまい、追い詰められて自殺。

その事を問い詰めに行ったみつ子は思わず社長を撲殺してしまったのだった。

水さんは正当防衛の要素もあると考えたが、社長の妻 姿晴香と秘書の中島久之の証言から裁判では「計画的な犯行」とされてしまった。

「みつ子は夫が自殺した日から精神状態は尋常じゃなく、誰がこんな目にあわせたのか?殺してやりたいと口走っていた。」と。

結果、想像以上に重い刑を受けることに。

 

その後、会社は妻が社長になり、秘書は専務に昇格するが、経営は悪化の一途。

経理を任された中島と社長の姿は債権者に押しかけられるのを嫌って会社に顔を出さない。

2人はお互いに責任を押し付け、顔を合わせると言い争っていたという。

 

発見された凶器には中島の指紋。

中島が晴香を殺して、自殺したとも考えられたが…。

中島が商談によく利用していた旅館の女将によると、2人は男女の仲だった。

事件当日もその旅館にチェックイン。

ご機嫌でお風呂に入った後にビールを飲み、夕食のメニューを尋ねていた。

彼は誰かと待ち合わせをしている様子で、散歩に出た。

自殺する人間がその後の夕食のメニューを聞くか?

 

中島の死亡推定は18:00前後。

姿晴香は13:00~15:00。

その頃、中島は既に旅館にチェックインしている。

 

晴香は胃がんを患っていた。

彼女の遺体の側にあった晴香の携帯には19:52、公衆電話からの着信。

晴香はとっくに死んでいるので、他の誰かがその電話に出たことになる。

携帯電話には丘みつ子の指紋。

 

丘みつ子によると、晴香の自宅へ出所の挨拶に行ったとき、晴香が落とした携帯を拾ってあげたと。

晴香には「顔も見たくない。」と罵られ、謝罪は受入れてもらえなかったと話す。

事件当日、丘みつ子にはアリバイがあった。

水さんが警察学校の講師としての東京出張の際に彼女を訪ねていたのが、その日の昼間。

その後、丘みつ子は早退しているが、自宅で寝ていたと供述。

 

彼女は旧姓に戻し、娘のことは「名乗る気はない。忘れることにした。」と。

娘は育ててくれていた夫の母親の死後、施設に入っていた。

 

水さんは丘みつ子が2人を殺し、晴香殺害の罪を中島に着せようとしたと考える。

丘みつ子にはどうやっても姿晴香を殺すことができない。

誰か共犯者がいる。

姿晴香はみつ子の娘を受取人にした生命保険に入っていた。

娘は重い心臓病で施設暮らし。

彼女には「母親は亡くなった」と伝えられており、姿晴香は母親の友人として施設を訪れ、みつ子の娘をわが子の様に可愛がっていたという。

丘みつ子の勤め先に姿晴香が訪ねてきていた。

「やっと探し当てた」といった様子の晴香に対し、みつ子はとても驚いていたという。

 

丘みつ子の共犯者は姿晴香だった。

晴香は自分の人生に絶望していた。

胃がんになり、会社の成績は悪化、公私ともにパートナーの中島とは喧嘩が絶えない。

そんな時、みつ子の娘 のぞみが重い心臓病だと分かった。

命に限りがある彼女は「自らから命を絶って、のぞみちゃんに生命保険を残す。」と計画。

しかし、保険に入って1年も経っていない。

自殺の場合は3年の免責期間があるが、それまで待っていられない。

一日も早く、のぞみちゃんに手術を受けさせたい…そこで丘みつ子を探し出した。

 

殺人事件に見せるためには犯人が必要。

最も相応しい人物は中島久之。

晴香は丘に7年前の真相を話す。

不正経理を丘みつ子の夫に押し付けるように進言したのは中島久之。

そして当時から、晴香は社長を裏切り、中島と関係していた。

彼女も同じ罪。

しかし晴香は「のぞみちゃんを一人ぼっちにしてしまったのは自分のせいだから、罪滅ぼしをさせて欲しい。」と。
「手を組みましょう。私の命でのぞみちゃんの命を繋いであげて。2人でのぞみちゃんだけは幸せにしてあげましょう。」

 

娘の為にはどうしても確実なアリバイが欲しかったみつ子は、更生を信じてくれた水さんを利用したのだった。

彼女は水さんと別れた後、福岡空港へ。

中島のことは晴香が前もって「滝の近くで会いたい」と呼び出していた。

みつ子は彼を突き落として殺害し、晴香から預かっていた合鍵で中島のマンションへ。

そこでは晴香が予定通り、みつ子が水さんと会っている時刻を見計らって自殺していた。

みつ子は中島の指紋が付いた凶器を捨て、彼の犯行と工作したのだった。

 

晴香がこれまでに施設に寄付していたお金がプールしてあった。

そのお金でのぞみは手術を受けられることに…。

 

これぞ「取調室」って回でした。

 

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