山口市で行われた講習会の帰途、鉄道捜査官の花村乃里子(沢口靖子)は、小郡駅から念願だった観光専用SL列車『やまぐち号』に乗った。列車が終着・津和野まで20分足らずとなったとき、乃里子は東京の倉田捜査課長(地井武男)に携帯電話で連絡をとるためデッキに出た。車内に戻ると、乃里子の席に見知らぬ男がいて、窓から身を乗り出すようにして写真を撮っていた。男は、多田雄一(矢島健一)と名乗り、カーブを曲がる機関車を撮影するには、この席からのアングルが一番いいのでと弁解する。乃里子は微笑を返した。その直後、「危ないな、あの人」と多田が声をあげた。見ると、前方のトンネルの上にカメラを構えた男がいる。列車が近づいた時、突然男の体が前のめりになり、そのまま転落、乃里子と多田は、その一部始終を目撃したのだった。乃里子からの連絡で、所轄署の刑事が現場に急行し、男が死んでいるのを確認した。男は小田切(佐伯直之)という地元のタクシーの運転手で、近くに彼の営業車が停めてあった。そのころ乃里子はトンネルの上を調べていて、小田切が立っていたすぐ後ろの木の幹に何か擦れたような新しい傷があるのを発見する。刑事たちは、SLマニアの小田切が撮影に夢中になったあまり足を踏み外したための事故死と判断する。だが、乃里子はこの結論に異を唱えた。いくらマニアだからといって、勤務中にわざわざひと気のない山の中にやって来るものだろうか。さらに、木の幹についていた新しい傷のこともある。乃里子は殺人の可能性もあると指摘するが、刑事たちは耳を貸さない。独自に調査を始めた乃里子は、小田切は別にSLファンでもなんでもないことを知る。さらに、かつては東京で働いていたのだが、女性絡みのトラブルを引き起こして、郷里の山口に舞い戻ってきたという過去もわかる。やがて、小田切が半月ほど前に客と揉めていたという事実を乃里子は掴んだ。客というのは、東京の建設会社社長の多田源吉(庄司永健)と彼の娘で目の不自由な道子(大河内奈々子)だという。乃里子は多田とう苗字に引っかかった。乃里子と一緒に小田切の転落死を目撃した青年も多田という苗字だった。果してこれは偶然なのだろうか。東京に戻った乃里子は、多田雄一が源吉の息子で、道子の兄であることを知るが…。

 

①タクシー運転手 小田切義弘

②家政婦 篠崎菊江

 

内容は同じ原作の他作品たちと、ほぼ同じ。

 

 

沢口 靖子、地井 武男、今村 惠子、松本ちえこ、小林  健、菊地 康二、大方斐紗子、矢島 健一、大河内奈々子、庄司 永健、牟田 悌三、赤塚 真人