亀井定男(角野卓造)は料亭「はらら」の女将・根来薫(山村紅葉)から人探しの相談を受ける。常連客のクラブで働くホステス・松木紀子(岡本玲)から2週間前、店を辞めるとメールが届いて以来行方不明に。ストーカー被害にあった過去もあり心配だという。亀井は十津川班に加わった及川哲太(桐山漣)を連れて周囲を探り始めるが、及川は捜査一課の仕事ではないと不満げで…。
その最中、品川区の倉庫街で殺しが発生!現場に向かった十津川省三(船越英一郎)らに合流することに。廃工場で発見された被害者は、ITセキュリティ会社社長・安田章(瀬戸利樹)。鎖でつるされた状態で監禁され、2日前に餓死したようだ。
羽村凛々子(大野いと)らが、安田の周辺を調べると、同窓会のため大学の友人たちへ新幹線のチケットを送っていたことが判明。
新幹線は今まさに東北新幹線の終着駅「新青森」へ向かっていた―十津川と及川は青森へ急行する。主催者が現れないまま到着した安田の友人たちは、駅に現れた青森県警から安田が殺されたことを聞き驚く。メンバーは青森の大学の同級生で1人は突然仙台で途中下車していた。幾つもの謎が絡み合う中、さらなる被害者が!
十津川は“終着駅”青森を舞台に巻き起こる連続殺人の真相に迫ることができるのか?
①ITセキュリティ会社社長 安田章(監禁された上での餓死)
安田は秘書に「同窓会をするからとメンバーに新幹線のチケットを送るよう」指示していた。
メンバーは青森の大学の元ゼミ仲間。
片岡清之(商社勤務)
町田隆夫(廃棄物の分別作業員)
樋口まゆみ(金属メーカー 総務)
逢沢りな(化粧品会社 広報)
川島史朗(人気カフェ経営者)
1週間前、安田から誘いの一斉メールがあったという。
「大事なお知らせ」があるというが、メンバーは何のことか分からない。
その内、川島は急用ができたとかで突然、新幹線を下車してしまって以降、スマホの電源が切れていて連絡がつかない。
まゆみは以前、安田と交際していたが、半年前に振られた。
川島は店が上手くいっておらず、安田に300万円の融資を頼んだが断られていた。
町田にはオレオレ詐欺の前科があり、通報したのは安田だった。
警部には2つの疑問。
安田を恨んでいてもおかしくないのに旅の誘いをなぜ、受けたのか?
裁判の弁護を担当したのは大手事務所の弁護士。安くない弁護士費用はどう工面した?
町田は「事件に関係ないでしょ。」と怒って立ち去ってしまう。
②人気カフェ経営者 川島史朗(仙台市内で青酸ソーダによる中毒死)
川島の死体が発見されたのは早朝6時で、死亡推定時刻は前日の午後8時~10時。
町田の裁判を担当した弁護士に話を聞くと、雇い主は町田ではなく、安田だった。
彼が告発したのは町田が頼んだからで、闇バイトに軽い気持ちで応募してしまい、抜けることができずにいた町田が安田に相談したのだという。
町田の今の仕事も安田の紹介で、町田にとって安田は恩人だった。
まゆみは金属メーカーに勤務しており、青酸ソーダは入手可能。
彼女の会社にある青酸ソーダと川島の飲んだものの成分が一致する。
③化粧品会社 広報 逢沢りな(青森市内で窒息死)
りなの死亡推定時刻は昨夜6時から8時。
町田と片岡は東京にいたことを確認。
まゆみはホストクラブで急アルになり、救急搬送されていた。
入店したのは夜11時。その前は?
任意同行されたまゆみは薬物を盗んだことは認める。
安田に振られた後、ホストにハマって多額の借金が出来てしまった。
そんな時に突然、「青酸ソーダを会社から盗んだら200万で買ってやる」とメールが届いた。
無視していたが会社に借金の取り立てが来るようになって、従ってしまったと自供。
ゼミの担当教授 宮崎美子から話を聞くと、彼らは深い友情で結ばれていたと。
ただ、8年前の彼らが3年の夏に町田の姉が交通事故で亡くなっていた。
仕事から帰る途中でバイクにはねられたという。
あと10分早ければ助かったと医師は証言。
両親は彼が幼い頃、漁船の事故で亡くなり、当時高校生だった姉が親代わりとなって町田を育てた。
町田も恩返しをしようと就職活動にも人一倍励んでいたが、姉の死後、抜け殻の様になって、就活も失敗。
結局、立ち直れずに大学も除籍に。
深い友情で結ばれていたはずなのに、そんな彼に仲間は手を差し伸べなかった。
町田に内定が出て、祝いをするはずだったのに急にみんなに予定が入り、中止になった。
場所は事故の近くにある空き地。
まゆみはバイトで遅れて参加する予定だったが、事故の前後の時間に中止のメールが届いたという。
無関係とは思えない…。
警部の仮説。
事故当日、町田とまゆみ以外は現場で既に酒を飲み、花火を楽しんでいたが、その花火が道路にまで飛んで事故を誘発してしまった。
その証拠に、現場付近の路面に花火の火薬が残っている。
自分達のしたことが発覚するのをおそれたメンバーは姉を現場に放置したまま逃走。
そして罪悪感から町田と距離を置いた。
バイクを運転していたのは白井良平で、彼も搬送先の病院で死亡が確認された。
妻とは死別で娘が1人いたが、東京の親戚宅に引き取られていた。
その娘が亀さんが冒頭で探していた、ホステスの岡本玲だった。
玲を確保するものの、彼女は関与を否定。
彼女は事故で父親を一方的に悪者にした警察を恨んでいる様子。
そして、③りなが殺害された時刻、彼女にはアリバイがあった。
冒頭、玲をつけ回していたストーカーが盗聴容疑で捕まった。
彼は玲の部屋にも盗聴器を仕掛けていた。
音声データによると彼女は電話で何者に「父親は息を引き取る前に「花火」と呟いていた。どうか、事故の真相を突き止めて下さい」と話している。
やはり、事故に花火が関係していた。
警部は電話の相手が町田で、2人が共犯なのではと考える。
玲は父の残した「花火」の意味が分からなかったが、共犯者によって気付かされたのだ。
りなは青森ではなく、川崎の町田の職場近くで殺されたのだった。
8年前のことで脅迫し、職場の駐車場に呼び出しておいた彼女を殺し、仕事が終わった後、車で遺体を運んだのだった。
取り調べ中、玲が発作を起こして倒れてしまう。
「これ以上、町田に罪を犯させたくない」という警部に対し、玲は心を開く。
3か月前、胸の痛みに苦しむ玲に町田が親切にしてくれたことが出合い。
彼の名前を聞いて、直ぐに被害者の遺族だと気付いた。
そして、彼も彼女の態度からすぐに察した。
歩み寄れるはずのない2人だったが、いつの間にかお互いに大切な存在に。
2人で話し合ううちに事故への疑問が生まれ、1か月前、町田が確かめることに。
メンバー4人に「8年前の事故が再捜査される」とカマを掛け、仕掛けておいた盗聴器で、彼らが事故に関わっていた確証を得る。
更に、彼らは反省もせず、町田の悪口オンパレード。
安田が町田を助けたのも、「姉ちゃんを殺した俺に尻尾を振ってくるのが面白かったから」と笑っている。
町田と玲はそんな彼らに復讐することに…。
警察の尾行を撒き、拳銃で片岡を狙う町田を、警部が逮捕。
警部は連行途中、玲の入院する病院へ町田を連れて行く。
「おそらく、これが最後になるから…。」
同じ原作の過去2作に比べて、かなりマイルド。
死んだ人数も少ないんじゃ?
しかし、渡瀬恒彦版の再放送、何とかお願いしますよ。
船越英一郎、大野いと、山村紅葉、角野卓造、桐山漣、泉澤祐希、岡本玲、瀬戸利樹、小島藤子、森田甘路、逢沢りな、野村祐希、宮崎美子(友情出演)、映美くらら、おかやまはじめ
【原作】 西村京太郎『終着駅殺人事件』(光文社文庫)