京都府警の刑事・音川音次郎(藤田まこと)が、音川家に下宿しているとし子(竹本聡子)、娘の洋子(萬田久子)と食事中に殺人事件発生の一報が入ってきた。被害者は青森出身の土木作業員・高木。数日後、死体で発見された風俗嬢・るみが犯人として浮上するが、動機がハッキリしない。さらに高木と同郷の男が殺され、捜査は難航。青森へ向かった音川は、そこで19年前に工事現場で起こったある死亡事故に突き当たる・・・。
①土木作業員 高木義之
②風俗嬢 三沢るみ
③土木作業員 丸岡奨詞(①高木の出稼ぎ仲間)
るみは音やん家で下宿するとし子の恋人 速水けんたろうの患者だった。
速水曰く、るみは明るく、自殺するような感じには見えなかったという。
①高木殺害の現場から採取された指紋が、るみの指紋と一致。
るみが高木を殺害し、逃げられないと自殺したという線が浮かぶものの…。
るみの体内から睡眠薬が検出される。
とし子の様子がおかしい。
五所川原出身で、京都の和裁学校に通う彼女。
恋人 速水の母親が結婚に反対している様子だが、速水は「どんなことがあっても結婚するつもり」だと。
それを聞いて安心する音やん。
洋子は元気のないとし子を誘って、行きつけのフレンチレストランへ。
偶然にも、オーナーシェフ 村野武範が自分の縫った和服を着ているのを見て、とし子は笑顔を取り戻す。
手掛かりがないまま、御宮入りも囁かれ…。
とし子と速水が故郷の五所川原に帰省するという。
①高木と③丸岡の郷里も五所川原の隣町であることから音やんも一緒に向かうことに。
とし子が速水の家に挨拶に行くが家に入れてもらえなかった。
母親 萩尾みどりに父親が何で死んだのか話して!」
19年前の冬、とし子の父親は速水の父親と関西方面へ出稼ぎに行き、崖崩れがよく起こる山で道路の補修工事をしていたときに土砂崩れが起こってしまった。
とし子の父親は行方不明のままで、土砂と一緒に川に流されたのだろうと。
速水の父親は土砂の下敷きになって死亡するが、頭に不自然な傷があるとのことで、解剖された。
結果は事故死だったが、妻は慰霊祭で「お父さんは殺されたんだ!」と叫び、一緒に出稼ぎに行った仲間を今でも恨んでいる。
その出稼ぎ仲間に①高木と③丸岡もいたが、2人は傷1つ負わずに帰ってきたという。
と萩尾みどりの作るこぎん刺しのランチョンマット。
洋子行きつけのフレンチレストランで同じものが使われていると聞いて、店を訪ねる音やん。
音やんは五所川原のねぷたで彼を見掛けた気がしていたのだ。
しかし、村野は「ランチョンマットはお土産でもらったものだ。」と。
村野が修行した店のシェフ 芦屋小雁に聞くと、当時、村野は記憶を失くしていた。
それでは困ると芦屋が今の名前をつけてやったという。
調べてみると彼は18年前に就籍許可の申し出をしていた。
正月に帰省していたとし子から電話。
速水の母親が結婚を許してくれ、式を挙げられることになったとの報告だった。
そして速水が3年間、アメリカ留学することになったと。
「父親代わりに出席してね。」というとし子に、村野の顔を浮かべる音やん。
何の手掛かりもないまま、音やんは五所川原への出張を申し出る。
村野の写真をみどりに見せると、やはり彼女の夫だった。
「早く会いたい」というみどりだったが、彼が過去の記憶を全て失くしていることを伝える音やん。
とし子も2歳の誕生日前に会ったっきりなので、顔を覚えていないだろうと。
課長から電話。
村野がフランス政府からの正体で、月末にフランスへ行くらしい。
彼の店にあるランチョンマットと同じものが売られている店へ行ってみると、マットを大量に購入したのは村野自身であったことが分かる。
村野の記憶は戻っているのだ…。
京都へ戻った音やんは、村野に五所川原へ行ってきたこと、19年間、こきん刺しを刺しながら夫の帰りを待っていた女性のこと、その女性の娘が結婚式を挙げることを伝え、結婚式場を書いたメモを渡すのだった。
結婚式は村野がフランスへ立つのと同じ日。
結婚式当日、式場にやって来たものの、村野は記憶喪失であることを通すつもりらしい。
萩尾と引き合わせるが、無反応。
村野は取り調べでも、自分には記憶が無いと主張する。
しかし、洋子が村野から借りていた料理本には19年前の事故の新聞記事が挟んであったこと、そして、彼が妻の作ったランチョンマットを大量に購入していたことを指摘。
「記憶は取り戻しているはずだ」と…。
観念した村野は全てを告白する。
19年前、酒の席で速水の父親から「妻が若い男と浮気をしている」とからかわれた村野。
カーッと頭に血が上った彼はトイレに立った速水父の後を追って撲殺してしまう。
その直後に山崩れが起きて、その後のことはよく覚えていない。
気付いたら自分が誰なのかもわからなくなっていた。
洋食屋で働いていた時に記憶を取り戻したが、
事故の後は確かに記憶喪失だったが、記憶を取り戻していた。
と同時に速水の父親を殴り殺していたことも思い出した村野は田舎へ帰ることが出来なかったのだ。
ただ、名前を変えても故郷のことを忘れられるわけはない。
年を重ねることに懐かしさは増していき、残してきた妻や娘のことが気に掛かり、去年、久しぶりに帰ったのだった。
ところが去年の1月
昔の仲間 高木と丸岡に京都でばったりと出会ってしまった。
2人に「故郷に帰らないのは疚しいことがあるんだろう」と追及されてしまい、誤魔化したものの、彼らが故郷で自分のことをばらすのではないかと不安になり彼らを殺すことを計画。
常連客である、ちょっと変わった女 ルミを利用することにした。
美容院を出したくてパトロンになって欲しいと言い寄ってきていた女で、彼女に2000万円で①高木殺しを依頼。
彼女が実行すると「報酬を払うから」とルミを呼び出し、自殺に見せかけて殺害。
そして丸岡も殺して死体を遺棄した。
後味悪っ。
新婚旅行から帰ってきた新婚さんたちはどうなっちゃうのよ。
とし子が姑からいびられ続けるのは間違いなし。
そんな重い結末に課長の存在だけが、癒し。
今回の課長は100円ショップにハマってるらしい
五所川原の土産は地酒じゃなく、100%林檎ジュース。
藤田まこと、萬田久子、萩尾みどり、村野武範、速水けんたろう