鮎子らの事務所に菅原昌枝という老婆が訪れ、孫娘・平井美里が殺された事件の調査を依頼。気の毒に思った鮎子は、仕事を度外視して調査に乗り出した。美里が殺された現場は横浜市天王町の公園。遺体のそばには『55』というダイイングメッセージがあった。美里が2週間程前、兵庫県の姫路で発生した殺人事件の遺体第一発見者だと知った鮎子は、2つの事件が繋がっていると察知。まず、姫路での調査から始めた。姫路城内で殺されたのは、東京在住で、少し前まで街金融をやっていた加来トミ(阿部寿美子)。夫の死で店をたたんだトミは、年配者用の施設を下見するため姫路にやってきたらしい。警察は、美里が遺体のそばで呆然としていたのを確認。また現場から男が女物のバッグを持って逃走した、との目撃証言を得ていた。だが、美里がなぜ姫路に行ったのかは不明であった。鮎子は、トミがホテルに2人分の宿泊予約していたことから、この相手の人物こそ事件の真相を知っているとみた。まもなく、トミが殺される4日前に定期預金を解約し、東名銀行天王町支店の天野という行員が1億円を越える金をトミの家の金庫に搬入していたことが判明。事件の日の夕方、トミの家から出てくるのが目撃されたトミの甥・島木拓(桜金造)が拘束された。だが、警察の追求に対し、島木はトミの家に侵入したことは認めたものの、金を持ち出したことに関しては否認していた。そんな中、美里の勤め先とトミの店が同じ雑居ビルにあったことが分かり、トミが美里と一緒に姫路に行った可能性が強くなった。解剖所見によると美里は妊娠3カ月。美里が見た犯人がお腹のこの父親だと考えれば、美里が犯人をかばった理由もうなずける。しかし、犯人は非情にもその美里の口を封じていたのだ。鮎子は、美里が将棋の愛好者だったと知り、ようやくダイイングメッセージの謎を解いた。『55』は、将棋盤上の天王山と呼ばれる場所の意味。つまり、『55』は東名銀行天王町支店の意味だったのだ。鮎子は、トミの金庫に金を搬入した天野に的を絞って再調査。その妻の証言から、美里と不倫関係にあったと知り、天野こそ連続殺人事件の真犯人だと断定した。だか、天野は、トミの事件当時、姫路ではなく逆方向の秋田に行っていた、とアリバイを主張。鮎子は慎平と共に秋田に向かい、その完璧とも思えるアリバイ崩しにかかった─。

 

①元設計事務所社員 平井美里

⓪加来トミ(2週間前 姫路)

 

美里の勤める会社と、トミの亡くなった夫の街金は同じビルに入っていた。

2人は交流があり、美里がトミの姫路旅行の同行者だったのだ。

しかし、美里は警察にその事を話していない。

 

犯人は銀行員でトミの担当だった天野守夫。

彼は①美里と不倫関係で、彼女は妊娠3ケ月だった。

ただのサラリーマンで一生を終えるつもりはなかった天野にとって、トミは絶好のカモ。

「トミが定期預金を解約したので自宅へ1.2億円の現金を運んだ」と話すが、実際には自分の懐に入れたのだった。

トミの遺産を手に入れる為、彼女と仲の良い美里に近づき、美里を利用してトミを殺害。

天野を思う美里は警察に真相を話すことが出来なかったが、妊娠したことで心境が変化。

「警察に行こう」と言いだす美里も口封じに殺した。

 

 

 

真野あずさ、橋爪  功、丹波 哲郎、菅井 きん、阿部寿美子、古藤 芳治、木村 理恵、桜  金造、児島多恵子、佐々木勝彦、山田アキラ