かつて科学捜査研究所に勤務していた白鳥あやめ(八千草薫)は、科学と経験から書類の真贋を見極める「文書鑑定人」である。ある日、男性の死体が発見されたという連絡を受け、あやめの一人娘で警視庁捜査一課警視のいづみ(遊井亮子)は、事件現場の新宿のホテルに急行する。被害者は、鮎原総合病院の医者・佐々木和男で、握っていたカッターナイフで自分の腕を切ったとみられた。また自らの医療ミスの責任を詫びる遺書も発見され、いづみは佐々木の死を自殺と判断する。一週間後、弁護士の鷹野欣也(高橋克実)があやめの元を訪れる。佐々木医師の一人娘が遺書の偽造を訴えてきたというのだ。父親と2人暮らしをしていた娘は、父が自分を置いて死ぬはずがないと信じて疑わない。警察に相手にされない娘を不憫に思った鷹野は、遺書の鑑定をあやめに依頼する。佐々木医師の遺書と生前の原稿には、すべての文字に類似性が見られた。この時点で、遺書は佐々木医師の自筆によるものとほぼ断定できたが、あやめは遺書の文字から謝罪の「心」が感じられないことが引っ掛かり、伊豆・湯ヶ島の旅館で働く辻野誠一郎の元へと向かう。

①医師 佐々木和男

②水墨画家 遠藤憲一

③院長 中山仁

 

八千草はこれほど、ソックリに書ける人物として、秋野太作を思い浮かべる。

彼に遺書と論文は同じ人が書いたものだろうという。

自分は筆を折って15年だが、昔の自分でも不可能。

もし別人なら神業だろうと話す。

 

警視庁に匿名の投書があった。

「他にも揉消された医療事件があって、佐々木医師はそれを告発しようとして病院関係者に殺された」

 

水墨画家の遠藤憲一が自宅で殺害された。

妻は銀座で画廊を経営している川上麻衣子。

遠藤が血で書いたダイイングメッセージは消された形跡があった。

犯行現場には秋野太作の指紋と目撃証言。

秋野太作の部屋には中島と一緒に写った写真があった。

秋野太作は15年ほど前、良寛の偽者を売りさばいた贋作師で八千草が見破って逮捕された。

詐欺罪で懲役6年。

 

秋野は19年前チンピラと喧嘩している遠藤を助けた。

遠藤は秋野が偽物作りをしていると知り、えらく興味を持った

秋野は他人に教えるつもりはなく、追い返すつもりだったが、居付いてしまい、遠藤は見よう見まねで、どんどん腕をあげた。

秋野が出所してから会っていなかったが八千草に遺書を見せられて、神業といったものの、遠藤ならできると思ったという。

 

しかし、今は立派な絵描きになったのにそんなことをすると思えない。

秋野は会って確認しようと自宅を訪ねると、遠藤は死んでいた

ダイイングメッセージは「アユ」

遠藤の妻の名前。

秋野はそのメッセージを消して逃亡した。

 

佐々木の勤務していた病院の看護師 舟木幸に話を聞く。

特命の投書を送ったのは彼女で院長の息子である外科部長に振られた腹いせだった。

彼女によると、佐々木が殺される3日前、彼は外科部長に人工心肺蘇生装置の操作ミスを糾弾していた。

外科部長は「ただで済むと思うなよ。院長が黙ってないぞ」と脅していたという。

 

院長が殺害され、秋野が自首してきた。

ダイイングメッセージが院長を指していると思い、弟子を殺された復讐で殺害したと自供。

しかし取り調べの最中に逃走。

 

川上麻衣子は秋野の娘だった。

犯人は川上麻衣子。

院長の中山と愛人関係にあった麻衣子は遠藤と結婚する為に別れ話をした。

しかし、中山は遠藤が描いた贋作を売りさばけという。

「贋作がバレたら画家としての遠藤もお終いだ」と脅す。

贋作を売るリストには佐々木医師の名もあった。

 

中山は遠藤に遺書の贋作を書かせようとする。

そして佐々木からも偽物を掴まされたと抗議を受ける。

それは中山の仕業。

麻衣子たちにも佐々木を殺す理由を作るため。

それでも拒むと、ヤクザみたいな人達を使って脅してきた。

どうしょうもなくなって、夫に偽造を頼み、遠藤は受け入れた。

 

麻衣子は「全て話す」と佐々木をホテルに呼び出す。

麻衣子が睡眠薬で眠らせ、中山が手首を切って自殺に見せかけて殺害した。

全てを明らかにして自首する覚悟だった遠藤を殺害したのも中山。

中山を殺害したのは麻衣子。

「私たちの一生を無茶苦茶にされた…。」

 

中山仁、どんだけ悪い奴なんだよ。

しかし、脅されたからって殺人に手を貸す夫婦もダメだろ。

 

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