サスペンスドラマといえばこの二人、片平なぎさ&船越栄一郎が贈る人気シリーズ第7弾!出版社に勤める尚子と相棒のカメラマンの克也が、取材で訪れた全国各地の小京都で様々な事件に巻き込まれ、真相を究明していく。
フリーライターの尚子(片平なぎさ)は、カメラマン・克也(船越栄一郎)を連れて鹿児島へ取材に行った。現地案内をしてくれたバスガイド・由美子(吉野真子)が、恋人の敏夫(斉藤隆治)を紹介したいという。3人が勤務先の工場を訪ねると、敏夫が札つきのタクシー運転手・遠山にゆすられていた。老工員・征一(大木実)が敏夫を助けたが、翌日、遠山が刺殺され、敏夫は指名手配される。


①白タク運転手 遠山一郎

 

遠山の死体の第一発見者である尚子さんは、現場に落ちていた人形を持ち帰ってしまう。

 

斎藤の恋人 由美子から電話が入る。

斉藤と一緒に逃げている彼女は「彼は殺していない」と。

彼は遠山から脅されていた。

「3年前の傷害事件のことを工場の上司にバラされたくなければ、お金を持って来い」と。

でも、斉藤は「工場を辞めさせられても、言いなりになるのはやめよう」と決心して、約束の場所へ出かけていった。

しかい遠山は「お前がダメならお前の親父やばあさまに掛け合ってみる」と言い出す。

止めようとする斉藤は殴られて気絶し、気付くと遠山が死んでいて、恐ろしくなって逃げ出したという。

尚子さんは警察に行くよう勧めるが、3年前に警察に酷いことをされたという斉藤は嫌だと言っているらしい。

 

征さんが泊まっていた簡易宿泊所を引き払っていた。
宿泊所の経営者 木崎も行き先も知らないと。

夕べ9時頃に殺された遠山が8時頃、宿泊所にやって来ていた。

彼は人の粗を探しちゃ飯の種にしてる、ろくでもない奴。

昨夜は征さんにしつこく付き纏っていたが、征さんはきっぱりと突き返していた。

しかし、警察に色々と聞かれるのが嫌で出て行ったのではないかと。


尚子さんたちは知覧にある斉藤の実家を訪ねる。

実家では離婚した父親の雅彦と祖母の静が2人で暮らしている。
斉藤隆治が起こした3年前の事件。

枕崎で酒を飲んで、遠山の遊び仲間とケンカして大怪我をさせていた。

遠山は斉藤の実家が営んでいる茶園で2年ほど働いていたが、仕入れの金を使い込んで、辞めさせれ、その腹いせで斉藤を悪の道に引きずり込んだ。
そして、よくない仲間と付き合い始めた斉藤は、素行が悪くなった挙句、傷害で逮捕されて、以来、実家には連絡もなかった。
斉藤の父親に人形を見せるが、動揺しながらも「知らない」と答える。
 
2人は、離婚後、再婚して枕崎に住んでいる斉藤の母親のもとへ。
息子の3年前のケンカの原因は「お前の家の人間は人殺しだ」と言われたことらしい。
斉藤の祖母が終戦後に嫁いだ垂水の源蔵さんという人が40年ほど前、強盗に殺された。


家に強盗が侵入して斎藤の祖父 源蔵が取っ組み合いになり、包丁で刺殺された。

家にいたのは、まだ幼かった雅彦(=斎藤の父)、妻と年老いた婆や。

犯人は捕まらず仕舞いで、妻が婆やと共謀して源蔵を殺したとか、犯人を知ってて黙っているとかいった噂が立った。
当時、源蔵さんは毎晩のように酔って帰って、妻や幼い息子に殴る蹴るの暴力をふるっていた。

「今に静さんと子供は殺される」と周りが心配するほど酷かったらしい。
雅彦は源蔵の実の子じゃなかった。
夫の死後、静は幼い雅彦と婆やを連れて実家に戻った。

元妻曰く、近所付き合いも無く、祖母は部屋に籠りがちで、陰気で息が詰まるような暮らしぶりだったとのこと。

「過去の亡霊に怯えて生きているような生活」に耐えきれなくなった妻は10年前に息子を連れて家を出たが、すぐに夫が息子だけを取り戻しに来て、離婚届を置いていったという。
 母親は人形が静の部屋の仏壇の中にあったことを覚えていた。
遠山はこの人形をネタに斉藤を強請ったのか?

 

斉藤が警察に捕まったが、殺害は否認している。

尚子さんたちは静の子供時分からの友人に話を聞く。
人形は静が遥か昔に作って恋人にプレゼントしたものだという。
恋人の第168神勇隊 永井正一少尉は戦死して二階級特進していた。
終戦の年の昭和20年、特攻隊員は全国から知覧へやってきて、大抵は4~5日、たった1日の滞在ででも出撃していった。

7月の半ば過ぎ、知覧にやって来た永井は小説家志望で文学好きだった静とは小説の同人誌で知り合い、手紙をやり取りするうちに手紙で愛を確かめ合った仲。

出撃が決まった前の晩、静たちは隊員にあげる人形を徹夜で作り、永井は胸に括りつけて持っていった。

 

雅彦の本当の父親は永井正一少尉だった。

そして永井少尉とともに、47年前に消滅したはずの人形が遠山殺しの現場に落ちていた…。

彼は生きている?

しかし記録ではやはり彼は戦死しており、家族も戦災で亡くなっている。

仮に生きてたとしても、戸籍上で死んだ人間が真っ当に生きていくのは難しい。

結婚だってできないだろうし、ちゃんとした職にも就けない。 

1人ぼっちで、根なし草に生きていくしかない…。
特攻記念会館に展示されていた写真の永井少尉は征さんだった。
 

尚子さんが人形を持ち去ったことが警察にバレてしまう。
そんな時、由美子の職場に征さんから電話があり、「自分は犯人じゃない」と言っていたらしい。

由美子は彼に「ホテルにいる尚子さんに必ず電話するように」と伝えていた。
 
その夜、征さんから電話があり、尚子さんは明後日にある知覧の豊玉姫神社でお祭りで会う約束をする。
彼女は斉藤の実家を訪ね、静と雅彦に永井少尉が生きているかもしれないと話す。
終戦直後、静は親たちから強引に結婚させられた。

源蔵は静が身ごもっていることを承知の上で結婚したが、いざ子供が生まれてみると、結婚前のことにこだわり始め、酒を飲んでは暴力をふるうようになった。

47年前の強盗事件の夜も源蔵は雅彦を折檻する。
必死で息子を庇う静に源蔵は包丁を持ち出して襲い掛かり、婆やのさよが2人を助けるたために包丁を奪い取って源蔵を刺した。(源蔵が包丁に飛び込んだ)
生まれた時から実家にいて、我が子の様に可愛がってくれた彼女を罪人にしたくなかった静は居直り強盗に殺されたように証言した。

奉公人が主人を殺したらただでは済まない時代。

警察に疑われ、次から次へと嫌な噂を立てられたが、静も雅彦も口を噤んで我慢し続けた。
「それがせめてもの、さよさんへの恩返しだと思って…」


翌日、夜になってようやく征さんが祭りの場に現れたが、張っていた警察に連行されてしまう。
征さんが逮捕されたことで斉藤は釈放。
逮捕を邪魔したとして一晩、豚箱に入っていた克っちゃんが気付く。

征さんが人を殺すのにわざわざ大切な人形を持参していくはずがない。
となると犯人が宿泊所から人形を持ち出し、罪を征さんに着せようとした。

犯人は人形のことを知っている簡易宿泊所の関係者。
経営者の木崎は地主の家の婿養子で凄い恐妻家。
それなのに愛人にスナックをやらせていると、斉藤は遠山から聞いていた。

それをネタに遠山から脅されていた?


尚子さんたちは罠を張って証拠を掴むことに。
 斉藤が簡易宿泊所へ行き、「征さんは犯人じゃないっすよ。 俺、殺人現場でこれ拾った」とニセの人形を見せる。
「征さんが犯人だったら、自分のトレードマークみたいなものを持って、殺しには行かない。征さんに罪を着せようとした奴がいて、この人形に、そいつの指紋が付いている。 明日一番に警察に持って行くんだ。 」と。
 

宿泊所を出て、人気のない道をあるく斉藤を襲う男がいた。
隠れていた克っちゃんが男を捕まえるが、男は木崎ではなかった。
男は、征さんと同じ部屋で寝泊まりしていた薬の行商 河村。
遠山に金を借りていた河村は、そのカタとして顧客リストを取り上げられた。

業者が何百万で買い上げてくれる唯一の財産。
それを取り返すために遠山を殺害して、征さんに罪を着せようとしたのだった。
 
釈放された征さんから話を聞く。
出陣した征さんだったが、徳之島の近くでエンジントラブルを起こし、島に不時着。
泳いででも本土へ戻り、再出撃しようと思っていたが、3日前に飛び立った高野も島で不時着していた。

その時に負った全身火傷で危篤状態の高野から「死ぬまで一緒にいてくれ」と懇願され、しばらく島にとどまった征さんは、2週間後に高野の死を見届け、漁師の船で本土に帰還。

しかしその前日、日本は無条件で降伏していた。

郷里の福岡へ戻ると、身内は皆んな戦災でやられ、征さんも戦死扱いになっていた。 

その足で別府で旅館をやっている高野の実家を訪ね、ご両親に遺骨と遺品を手渡した。 

ご両親に高野の代わりに旅館で働いてくれと懇願され、そこで腰を落ち着けることに。 

それから10年ほどして、ご両親が高野の妹と結婚して旅館を継いでくれと言われたが、元々小説家志望だったので、旅館で骨を埋める気はなく、そこを飛び出したという。

 
尚子さんは征さんに「征さんは一番大切な話を避けている。」と指摘。

「知覧で5日間、あんなに愛し合った静さんのことを忘れてしまったの?」

戸籍を戦死のままにして、名前まで変えて47年間も1人ぼっちで生きてきたのは、静の為。

両親の申し出を受けずに旅館を飛び出したのも、静への思いを断ち切れなかったから。
「忘れるもんか。 あの人のことは1日だって忘れたことはない。」
 
静の夫が強盗に殺されたと新聞で知った征さんはたまらずに垂水まで出かけた。

陰から静の姿を見た征さんは、声も掛けられず足も動かなかった。

もう二度と、彼女を過去に引き戻せないと思った。

走りながら、オメオメと生き残った自分を恨んだのだった。


静は毎日往復2キロの道を歩いて、特攻記念館に飾られている写真の征さんに会いに行っていた。

彼女もすっと征さんを思い続けているのだ。

斉藤が「征さん、親父や婆ちゃんに会ってくれよ。 あんたの孫が頼んでるんだよ」と。
「孫?」
そう、斉藤は征さんの孫。

斉藤の父親は征さんと静の間に生まれた、征さんの息子。
 
斉藤に連れらて、征さんは静と再会。
 「お帰りなさいませ」
「静さん…」
「あなたの息子の雅彦でございます」
「お父さん、お帰りなさい」
 

号泣えーん


片平なぎさ、船越栄一郎、大木 実、上月左知子、大石吾郎、吉野真子