横浜市内で元タクシー運転手の男性・小久保の撲殺死体が発見され、その翌日には、小久保の内縁の妻・桃恵が首吊り死体で発見された。残された遺書から桃恵は自殺と断定されるが、程なく桃恵の1歳になる子供が、宇沢夫婦に拾われていたことが判明。検事・霞夕子は、小久保と宇沢夫婦の意外な関係を知り、一連の事件には何か裏があると睨んで・・・。

①元タクシー運転手 小久保浩

②内縁の妻 松岡由美

 

クシー運転手だった被害者は、「勤務中に酒を飲んでいた」と客からの通報があって、ひと月前にクビになっていた。

凶器はアイロンで、脳挫傷。死亡推定時刻は21日午後7時~10時の間。

内縁関係の妻と連れ子の赤ちゃんがいたが、行方不明。

女とは子供や金のことでよく、喧嘩していた。

 

内縁の妻 松岡由美が絞殺死体で見つかる。

現場にはハンドバックと雨に濡れた遺書。

雨にぬれていたので筆跡鑑定はできない。

死亡していたのは21日の午後8時~11時位。

小久保を殺害した後に自殺したとしたら、時間が合う。

 

行方不明だった赤ちゃんが見つかる。

見つけたのはラサール石井夫妻。

21日の夜10時過ぎ、妻が泣き声を聞いて外に出たら玄関先にクーハンに入れられた赤ちゃんがいたという。

3日間、通報しなかったのは捨てた人が後悔して引き取りに来るのに、警察沙汰にしたら来にくくなるかもと思ってのこと。

子供のいない夫婦は赤ちゃんを引き取りたいと希望する。

 

赤ちゃんは虐待されており、叩かれたり、抓られたりした痣が体に多数あった。

虐待していたのは母親の由美のほう。

 

何と、ラサール石井夫婦と小久保につながりがあった。

小久保は以前、大阪の堺市に住んでいたが、その隣に住んでいたのが、転勤で来ていたラサール夫婦。

3年前、ラサール妻の父親が脳梗塞で倒れ、妻は東京の病院へ駆けつけなければならなくなった。

2歳の子を連れてでは身動きが取れないが、ラサールは接待ゴルフ。

普段から親しくしていたお隣の小久保妻に預けようとしたが彼女も不在。

そこで、小久保が善意から2歳4か月の女の子を預かることに。

女の子が寝ている隙に、小久保はタバコを買いに出た。

2分位のところの自販機が品切れだったので、駅前のタバコ屋まで足を延ばした。

15分弱経った後、帰宅すると女の子の姿が無く、2日後に川で溺死した状態で見つかった。

事件性は無く、事故死と断定されたが、ラサールは小久保を訴え、刑事では過失致死罪で罰金20万。

民事では損害賠償 遺失利益と慰謝料で3000万の判決。

ところが小久保は妻とも上手くいかなくなり、支払いをすることなく、トンズラ。

 

ラサール夫婦はあえて3年前の話はしなかったと話す。

21日の夜は7時半に帰宅し、妻とずーっと一緒に居た。

8時位にお隣さんが回覧板を持ってきて妻が対応し、夫は入浴中だったと。

 

事件直前に由美を乗せたタクシーが見つかる。

伊勢佐木町のパチンコ屋から乗せて、9時少し前アパートで降ろした。

パチンコで負けたらしく、アパートの前に停めてあった車に八つ当たりしていたと言う。

車はブルーの乗用車でラサール石井の車もブルー。

事件当時、ラサールの車は自宅の車庫に無かったことも判明。

再び、ラサールに事件当夜の行動を聞くと、FAX用紙が切れたので買いに出たが雨だったので、翌日にしようと買わずに帰宅したと。

家を空けたのは10~15分と。

自殺現場付近でもブルーの車が目撃された。

 

ラサールの仲人をした人物に話を聞く。

3年前の事故後、ラサール夫婦は会話もなくなり笑わなくなった。

ラサールは家に帰るのを嫌がり、会社の同僚や部下を誘って食事をしたり飲みに行ったりすることが増えた。

酒の飲めないラサールは同僚たちを自宅に送り届けてくれ、重宝されているという。

21日も何人かの同僚を送っていた。

ところが最後の1人は自宅に向かう途中、突然、「用事を思い出した」と車を降ろされてしまった。

そこは小久保のアパートの近くだった。

 

犯人はラサール石井。

3年の間、逃げていた小久保を見掛けたラサールは、後をつけてアパートを突き止める。

「3000万払え」と問い詰めるが、小久保は包丁で殺そうとしてくる。

咄嗟に、手元にあったアイロンで殴りつけ殺してしまった。

そこに内縁の妻が帰宅してきた。

ラサールは「殺すつもりはなかった」と、3年前のことを全て話した。

すると彼女は「子供を5000万円で買い取れ」と提案をしてきた。

「そうしたら、見たことも聞いたこともあんたの事も言わない。」

「この子の顔を見てると捨てられた男の顔を思い出し、ちっとも可愛くない。」

言いなりになったら、一生食い物にされると思い、由美を殺害。

「こんな母親なら、いない方がこの子の為だ」とも思ったという。

 

過去のツライ経験から赤ちゃんを置き去りにすることが出来ず、自宅に連れ帰ってしまったラサールは妻には「自宅前に赤ちゃんがいる」と嘘を言った。

すると、赤ちゃんの世話をする妻が3年ぶりに笑った。

妻の笑顔が少しでも続けばいいと思ったが、由美の死体が発見された時、妻に何もかも打ち明けた。

妻は「このまま赤ちゃんを育てたい」と、共犯者になることにしたのだった。

 

はぐれ刑事の長女が酷い母親役。

やっさんが泣くわショボーン


鷲尾いさ子、ラサール石井、村田雄浩、平田 満、朝丘雪路、矢代朝子、北村 総一朗、佐藤幸雄