東京・東中野警察署刑事課に勤務する鬼貫八郎は妻と娘と三人暮らし。鋭いカンと、厳しい観察眼で、事件の全貌を暴いていく人気シリーズ!
 都内の楽器店『楽々堂』にダンボールに入った人間の生首が宅配されてきた。被害者はその店の経営者・茨木辰二の一人息子・周一。たまたま遺体発見現場に居合わせた刑事・鬼貫八郎は、荷物の送り主になっていた宮城県石巻市の長島という男から事情聴取。事件の2週間程前、周一が岩手県一関市在住の古美術商・塚原貴雄を訪ねていたことを突きとめた。


鬼貫さんシリーズ、大好きだけどこの回は苦手。

 

小松はレコード屋を始める前、西田と組んで芸人をしていた。

施設で知り合ったサダヲを養子にすると決めた時、小松は「人並みな親父になる為にカタギになりたい」と芸人から足を洗う。

小松もサダヲと同じ施設の出身だった。

 

施設で育った阿部サダヲは人を信用できず、モノや金しか信じられない男。

令嬢と付き合いながら、別の女性に貢がせる。
更には高価な蝋管レコードを小松には内緒で手に入れ、着服しようとしていた。
 

犯人は養父の小松政夫。

遺体損壊し、頭部を送ったのは小松の元相方の西田。

 

きっかけは竹井みどりが訪ねてきたこと。
「あなた、彼の自由を奪ってるんでしょ?彼が私と一緒に店を開きたいって言うから、私はお金を用立てたの」
そして、彼女からジェニー・リンドの蝋管レコードのことを知らされた。

何も聞いていなかった小松は息子を東京に呼び戻してレコードのことを問い詰めた。
サダヲ「俺はあんたと別れるんだ。 この蝋管レコードが餞別代りだ。」
小松「家も店も、お前の好きにしていい。 経営もお前に任せる。 だから…」
サダヲ「いい加減にしろ! もううんざりなんだよ、あんたも、店も、古いレコードも! 小汚ない親父につきあって、俺もよく辛抱したよ。」
小松「待ってくれ…。行かないでくれ、頼むー!」

出て行こうとするサダヲを追いかけ、小松は割れたレコード盤でサダヲの首を掻き切った。

 

西田が車で通ると、道端で小松がサダヲの死体を抱いて座り込んでいた。
西田は「何も心配するな。 あとは俺に任せろ。きっと、あんたのところに戻してやるから、今は辛抱しろ。」と言って、犯行現場を誤魔化すために、死体を一関に運び、首を切って仙台のコンビニからレコード店へ送った。
「俺はただ、この人を守ってやりたかったんだ…」

「そばに置いておいてやりたかったんだ、せめて首だけでも。 この人が今でも愛してる男の首を…」


鬼貫八郎…大地康雄
茨木辰二…小松政夫
西田新介…藤井びん
茨木周一…阿部サダヲ
滝川千鶴子…竹井みどり
塚原貴雄…石井光三
中島恵…ひがし由貴
碓氷道夫…羽場裕一
黒川課長…天田俊明
鬼貫良子…左時枝 
【原作】鮎川哲也(『沈黙の函』より)