警視庁鉄道捜査隊東京駅分駐所に所属する鉄道捜査官・花村乃里子(沢口靖子)は、ある日、東京駅構内をパトロール中、女の叫び声を耳にする。駆けつけてみると、若い女性が二人組の男にバッグを引ったくられようとしている。バッグを奪い二人組が逃げようとした時、女連れの中年の男が足払いを掛けて一人を転倒させた。慌てた二人組は、バッグを放り出すと人ごみにまぎれて逃げ去ってしまう。被害に遭ったのは小林みどり(川合千春)というモデルで、足払いを掛けたのは金融会社社長の青柳恒夫(団時朗)、連れの女性はモデルクラブの経営者・柏木麗子(藤田憲子)だった。あまり仕事がないというみどりに、うちにこないかと麗子が誘い、青柳もそれを勧めたのだった。
それから数ヵ月後、青柳が名古屋駅近くのホテルで殺される。乃里子は新聞でこの事件を知ったが、まさか自分に関わってくるとはその時は夢にも思わなかった。

 

愛知県警の刑事 山村紅葉が団時朗の殺害事件の件で分駐所を訪ねてくる。

新加入の鉄道捜査官 野村佑人の証言を取る為だった。


事件の数日前、団は大手商事会社の重役秘書 遠野凪子と激しく口論していた。

彼女は口論の理由は話したくないという。

事件当日は信州への旅行中で、殺害時刻には飯田線の電車の中にいたと主張。

アリバイを証明してくれる人物として旅先で知り合った野村の名前を出したのだった。
 

遠野の父親は団の会社から借金をしていた。

 工場を閉鎖する時に従業員に支払う退職金に困ってのこと。

しかし、父親が体を壊してしまい、凪子は返済の返済を延ばしてもらうように頼みに行ったのだった。

 

事件前日

諏訪湖で知り合った野村と凪子は同じ旅館(の別々の部屋)に泊まることに。

そこで凪子の知り合いだという川合千春と出くわし、盛り上がった3人は凪子の提案で翌日、一緒に飯田線で豊橋駅まで行くことに。

 

事件当日
4時52分 始発駅である辰野駅から出発。
各駅停車で終着駅の豊橋到着まで6時間半掛かる。

途中の7時頃、千春は飯田駅に着く少し前に「眠くなった」と言って隣の車両に移った。

戻ってきたのは終点の豊橋駅に到着する30分ほど前。


半年前のひったくり被害者である千春が、バックを撮り返してくれた団の殺害容疑者である凪子と同じ電車に乗り合わせていたことが出来過ぎている。

モデル事務所社長 藤田憲子に話を聞く。

彼女の事務所に移籍した千春は順調だったのに、ひと月前から急に連絡が取れなくなったという。

千春には10年近く交際していた恋人がいた。

恋人によると、事務所を移った頃から急に派手になり、高いブランド物を身につけ豊胸手術までしたらしい。
 

千春が隣の車両にいたとする時間、列車を降りて名古屋で団を殺害したのではないか?

沢口靖子達は飯田線に乗り込んで、確かめてみることに。

事件当日と同様、始発駅を4時52分に出発。

沢口は飯田駅で下車し、その後、新城駅から再び乗り込んできた。

単線や停車駅が多くてスピードの出せない飯田線と特急や急行のある中央本線はほぼ平行に走っている。

中央本線に乗ればあっという間に名古屋に到着する。


飯田駅で下車した彼女は駅前でタクシーを拾い、7時50分に中央本線の岐阜県中津川駅着。
8時26分発のしなの2号に乗車して、名古屋駅に9時27分着。

団が殺害されたホテルは駅から歩いて数分。
殺害後、名古屋駅から9時44分発のこだまに乗れば、10時10分豊橋着。
飯田線10時20分の下り列車に乗れば、新城駅で上り線に再び乗車できる。

アリバイは崩れたが実際に名古屋へ行ったという証拠が無い。

実行犯は千春だとしても、飯田線を提案したのは凪子。

2人は共犯関係と思われるが、接点は浮かんでこない。

 

凪子の母親は10年前に亡くなっており、2こ違いの姉は私立高校で英語教師をしていたが、先月、自宅で首を吊って自殺。

理由は不明だが、沢口は姉の死が事件に関係していると考える。

 

野村の自宅に凪子からの留守電が入ってた。

「20時には自宅にいるので、電話を下さい。」

速攻で20時15分、電話をしてみるが不在。

すると、20時20分頃、彼女の方から電話があった。

「あなたに謝ろうと思って…」

野村は「会えないか」と誘うが、断られてしまう。

 

翌朝、モデル会社社長 藤田憲子の他殺体が発見される。

防犯カメラに、犯人らしき女が写っていたことから、犯行時刻は19時53分から20時27分の間。
団殺害の凶器の傷跡と一致したことで、同一犯による犯行と断定された。


行方不明だった千春が出頭してくる。

彼女は藤田の殺害時刻、横浜のバーで飲んでいて、店の従業員も証言した。

沢口は凶器は1つでも実行犯が2人いるのでは?と推測。
しかし、野村は20時25分に自宅にいた彼女と電話をしたと言い出す。

転送機能を使えば、別の場所から電話をすることは可能なのに、凪子を信じたい野村は、2度目の電話を掛けたのは自分からだと嘘をつく。

 

飯田駅から千春を乗せたタクシーは見つからなかったが、未明から早朝まで駅前に違法駐車していた車があった。
ナンバーから持ち主は団の会社の専務 冨家規政。
事件の日、千春を飯田駅から中津川駅まで送り届けたのは彼。


沢口は冨家に「凪子の姉 朝子はどうして自殺したのかしら?」と切り込む。

一瞬動揺した冨家だったが、知らないと恍けてきた。

沢口が帰った直後、冨家は合鍵で藤田の会社へ入ろうとするが、見張りの警官に止められて帰って行った。

藤田の会社に何かがあるに違いない…

捜索の結果、コールガールのリストが入ったCD-ROMが見つかる。
藤田は政財界の大物相手にコールガールの斡旋を行っていた。
リストの中には、千春や朝子の写真もある。
 

朝子は父親の借金を返すため、無理矢理に売春させられ、それを苦にして自殺してしまった。
連続殺人は姉を死に追いやったことへの復讐。
父親の借金の連帯保証人は朝子だった。
父親が入院し、返済に困った朝子は団に待ってくれるよう頼みに行ったが、初めから朝子を狙っていた団は彼女を無理やり、藤田の売春組織で働かせ、潔癖だった朝子は我慢できなくなって、自殺してしまった。
 姉の日記から真実を知った凪子は団を問い詰めるが、団は「借金はまだ残っている。姉さんと同じ仕事をしたらどうだ?」と悪びれる様子はない。

藤田も「あなたならいいお客が付くわよ。」と。

 

そのやり取りを見ていた千春が今回の計画を思いついた。

彼女の恨みは、凪子よりもずっと大きかった。

半年前のひったくりは罠で、彼女は初めから狙い撃ちで騙されたのだった。

藤田の事務所に移籍し、言われるがまま、団の会社で借金をして自分に金を掛けた。

200万の借りが1500万に。
「返せないなら体を売れ」と言われ、断ると団の手下にレイプされ、無理矢理売春を承諾させられた。

そんな彼女に優しくしたのが、冨家。

2人は団と藤田を殺す計画を立てる。

姉の事で恨みのある凪子を共犯に取りこみ、千春が団を、凪子が藤田を殺害した。
 
団と藤田憲子。

最低最悪。

 

沢口 靖子、地井 武男、遠野 凪子、野村 祐人、山村 紅葉、団  時朗、川合 千春、今村 恵子、小林  健、大方斐紗子、藤田 憲子、冨家 規政