毎朝新聞立川支局に勤務する鶴巻吾郎記者(村上弘明)は、趣味の花の撮影に出かけた立川昭和記念公園で、かつて本社にいたころの後輩記者・谷田部彩(久世星佳)と偶然顔を合わせる。彩とは、7年前に彼女が、「好きな映画に人生をかける」と社に辞表を出して唐突に鶴巻の前から去っていって以来の再会だった。彼女に好意を持っていただけに、当時鶴巻は複雑な想いにかられたものだった。 彩の話では、一度は映画会社に勤めたものの飽き足らず、今はフリーのプロデューサーをしているという。彩がいま映画化をもくろんでいるのは、三十数年前に発表された小説家・森直哉(藤田宗久)の『福寿草』という立川を舞台とした悲恋小説だという。この小説は発表当時、女優の桂木春海(小林綾子)主演で映画化が決定していたが、春海の突然の引退で中止となってしまったもので、彩によると、森直哉が春海以外に主役は考えられないと、これまで頑として映画化を拒んできたらしい。彩は、よほど映画化に自信があるのか、資金集め走り回っているという。鶴巻は、そんな彩から、資金を出してくれそうな人を紹介してほしいと頼まれ承知する。 別れ際、鶴巻は二人を窺っている不審な男に目を留め彩に注意を促すが、彼女は見知らぬ人物だと取り合おうとはしない。 そのころ、毎朝新聞の立川支局では、森下支局長(伊東四朗)が、鶴巻の同僚記者の河合真美(床嶋佳子)や新米記者の藤原千晶(河本千明)に、小説『福寿草』が映画化されるらしいと伝えていた。森下は、本社の文化部デスクから聞いた凄いネタだと一人興奮し、明日行われる制作発表に必ず鶴巻と真美が出席するようにと真美に命じた。どうやら森下はかつて熱烈な春海ファンだったらしい。 その夜、鶴巻はシティホテルの最上階のラウンジで彩と会い、出資の約束を取り付けた知人の名を伝えた。彩の心底うれしそうな顔を見て、鶴巻の心も弾んだ。 二人が話し込んでいるとき、彩の携帯電話が鳴り、彼女は急用ができたと席を立っていった。その直後、彩が映画会社の社名の入った大判封筒を忘れて行ったことに鶴巻は気づく。 鶴巻はすでに姿の見えない彩を追い、エレベーターに乗り込んだのだが、エレベーターが2階に停止したとき、ドアが開いて一人の男が鶴巻に倒れかかってきた。男は、昭和記念公園で二人を窺っていた人物だった。男は「てんにょ…」という謎の言葉を残し絶命してしまう。警察に連絡したことから事情聴取を受けた鶴巻は、担当の刑事から、死亡したのは下坂(笠兼三)というIT企業の青年社長だと聞かされる。死因は青酸化合物によるものらしい。 翌日、下坂の会社を訪ねた鶴巻は、彼が会社の業績が悪化しているにもかかわらず、彩の映画にかなりの額を出資していることを知る。秘書の話では、下坂の個人的な出資だということだった。なぜ前日彩は、下坂を知らない人物だと鶴巻に告げたのか?その日、真美とともに映画『福寿草』の制作発表会見に出席した鶴巻は、ヒロインを演じる女優の名が伏せられていることを知る。どうやら話題性を高めるための彩の戦略らしい。
①IT企業社長 下坂拓也
②ホスト 小畑浩二郎
③映画プロデューサー 久世星佳
本物の桂木春海は32年前に亡くなっていた。
そのことを隠してきた付き人の清香は春海に生き写しの様に似ているホステス、小林綾子を桂木本人に仕立てて、映画出演させることを企む。
桂木春海が既に死亡していることを知った下坂が清香を恐喝。
清香は春海のカムバックを邪魔する彼を毒殺。
次に殺されたホストは小林綾子が昔駆け落ちした相手。
追ってやって来た
清香は小林綾子から携帯電話を取り上げ、監禁状態で春海になりきるためにレッスンさせた。
隙を見て連絡してきた綾子の話で金の匂いを嗅ぎつけた小畑は謎を探り、清香を強請ってきたために殺害された。
久世星佳は「裏に何かがあるのでは?」と清香を詰問し、映画の製作を中止すると言い出した為に、もみ合いになって殺された。
下坂の亡くなった父親は医師。
下坂は父親の日記から桂木春海が出産直後に亡くなった事を知った。
春海は妻子ある人との子をひっそりと産むために引退したが、赤ん坊の父親は原作者の藤田宗久。
育ての母親は清香の妹だった。
付き人の女優さんが地味で盛り上がりに欠けたのでは…
村上弘明 床嶋佳子 小林綾子 久世星佳 高林由紀子 藤田宗久 河本千明 英玲奈 伊東四朗