森村誠一サスペンス・一文字タイトルシリーズ第2弾。会社社長殺害の裏に隠された娘を想う父親の愛を、同じく娘を持つ刑事が解明すべく捜査に挑む。卓越した心理描写と、辛口の味付けながら、静かに、たたみ込むような推理描写を絡ませていく森村流は今回も健在だ。警察署という閉鎖的な環境下にありながら、部下(三浦友和)を思いやる上司の女性警部(野際陽子)。犯人を追う厳しい現実を前にしながらも、女性ならではの視点で部下との心の交流をはかる警部のさりげない言動が、ドラマの中で重要な役割を担っている。
急成長のゲームソフト会社社長がエンジンオイルを細工され事故に遭い亡くなった。捜査を担当する刑事・川合祐介(三浦友和)は運良く軽傷で済んだ運転手・八坂(河原崎建三)や社長の息子などから、その日の午後も何者かが社長に向け猟銃を発砲したと聞かされる。そこで、会社相手に裁判を起こした元社員や社長の愛人とその男を捜査線に浮上させたが、いずれもアリバイがあった。
捜査が難航する中、祐介は犯人が狙っていたのは八坂ではないかと発想の転換を計る。しかし、真面目で人当たりの良い八坂はどこでも評判がよかった。また、八坂の娘・規子(中江有里)は画廊を経営する富豪・大曽根(村野武範)の一人息子・一彦(小瀬川理太)との結婚を数日後に控えている。だが、二人の父娘の関係は閉ざされていた。以前、酒を飲むとよく規子や妻に暴力を振っており、妻はそれを苦に自殺。規子はそんな父をどこかで恨んでいたのだ。祐介たちは八坂を尾行すると案の定、彼は意外な行動に出た。そして浮かび上がった重大な謎とは!?


①ゲームソフト会社社長 柳沢英雄
 


事故当日は18時から銀座で商談し、19時から世田谷の愛人宅へ向かっていた。 
車のブレーキオイルの容器にドリルの様なもので穴が開けられている。
お抱え運転手の河原崎建三によると、18時~19時の間は車を駐車場に入れ、喫茶店で休んでいたが、駐車場に停めるまでは車に問題はなかったという。


社長の息子で専務の柳沢弘之は「中野健の仕業に違いない」と。

中野はゲームクリエイターで、ゲームソフトの著作権侵害を巡っての裁判で負けていた。 

猟銃は所持していないがライセンスは持っている。

 

入院中の河原崎に話を聞きに行くと、娘の中江有里と婚約者の一彦、彼の父親で画廊経営者の村野武範がいた。

 

4年の付き合いになる愛人は元クラブホステスの南崎千春。
事件当夜は社長が来るので、寿司の出前を取っていた。

社長は1億円の生命保険に入っていて、受取人は千春。
彼女の元同僚ホステスの話から愛人の千春とバーテンの湯江健幸に関係がある事が分かる。
千春は「保険のことなんてちっとも知らなかった」と。

湯江は借金相手に「しばらくしたら大金が入る」と話していたが、それは競馬の大穴予想のことだと言う。

 

中野は河口湖へ行ったことは認めるが、ナイフで狙っていたら、何者かが猟銃を撃ったので慌てて逃げたという。
 
狙われたのは社長ではなく、運転手の河原崎では?と視点を変えてみる。

河原崎は「私みたいな人間を殺して特になるような人はいない」と言うが、様子がおかしい。

娘の中江が勤める画廊へ。

中江も村野父子も心当たりはないと言う。
 
河原崎は元タクシーの運転手。 

当時は人柄も良く温厚で、客の指名もずっと一番だったという。

会社を辞めたのは11年前の妻の自殺が原因。


中江から昨日、河原崎が結婚式の打ち合わせをすっぽかし、丹沢のゴルフ場に行っていたと聞く。

河原崎は以前、酒を飲んで家族に暴力を振るう男だった。 

妻もそんな夫に神経をすり減らしたことが、自殺につながってしまった。

中江は今でも父親の事を許していない様子。
 
翌日、丹沢のゴルフ場の従業員に話を聞く。

社長の送迎で河原崎もよくこのゴルフ場に来ていて、顔なじみ。

昨日は天気の話や1年前に近くで起きた事件の裁判の話をしていたという。


事件とは柳沢社長主催のコンペがあった日に男が猟銃で撃ち殺された事件だった。
犯人は被害者の猟仲間で、被害者の妻との不倫関係がバレて揉めていた。

厳しい取り調べから逃れるために自供したが、4か月前の裁判で否認。

銃弾は貫通していて見つかっていない。


河原崎は1年前のコンペ後、1人で東京へ帰っていた。

帰り道で犯人を目撃したのではないか?

河原崎に問うと「知らない。誰も見掛けていない。」と言い張る。
 

裁判で犯人の主張が認められれば、再捜査になる。

真犯人は河原崎の口から真実が明らかになる事を恐れて彼の口を封じようとしている。

 

河原崎は娘と婚約者に「この先2人の身の上に何があっても結婚してくれるね」と約束させ、村野の画廊へ向かう。

1年前の殺人は村野の仕業だった。

河原崎が村野に自首を勧めると村野は河原崎を罵り、猟銃で殺そうとする。

いつかこんな時がくると思っていた

 

誤って人を撃ち殺してしまった村野。

車で逃げようとするが車がぬかるみに嵌って動けないでいると、河原崎が通りかかって助けてくれた。

犯人が裁判で否認したと知り、河原崎の事が心配になってきたところに息子の婚約者の親として河原崎が現れた。

そこで社長の別荘で河原崎を猟銃で狙うが失敗。

怯えるのはもう沢山だとエンジンオイルに細工したが河原崎ではなく社長が死んでしまった。

 

村野は河原崎が自分の財産や画廊を奪おうと父娘で企んだと誤解していたが、河原崎は娘の幸せを考えて悩み、口を閉ざしていたのだった。

事実が明らかになっても中江と村野の婚約者は結婚すると…。

 

村野武範の画廊がキャサリンの部屋だったわ。

 

三浦友和、野際陽子、原日出子、村野武範、中江有里