横山秀夫原作・上川隆也主演「陰の季節」シリーズ第1弾。舞台は警察の中で人事や総務を担当する警務部。このドラマのテーマは、警察の組織に属する人間たちの生きざまにある。
上川扮する二渡(ふたわたり)のように事件から離れた部署で働く者たち、そして事件の最前線で活躍する刑事たち。彼らの仕事への熱意が、このドラマの中に見える。飽きさせないストーリー展開、心打つラストが見もの。
二渡真治(上川隆也)は警務部警務課に所属している調査官。ここは一般の会社の総務や人事にあたる業務をこなし、二渡も定年退職する幹部の再就職斡旋などの仕事に追われている。
そんなある日、二渡は警務部長・大黒(高田純次)に呼ばれた。警察を引退し、再就職した尾坂部(伊東四朗)が、約束の3年を過ぎても会社を辞めないというのだ。次の出向予定者もいるので、尾坂部に会社を辞めるように説得しろというのが大黒からの指示だった。尾坂部はなぜ、警察に盾突くようなことを言っているのか。その理由とは…。

 

約束の3年を過ぎても天下り先を辞めないと言う、元県警刑事部長の尾坂部。
辞めないと言う人間は前代未聞で、尾坂部の真意を二渡警視が探ることに。

天下り先の任期は口約束ではあるが、警察の口約束は掟である。

過去に居直ったのは1人もいない。

 

交番の巡査から刑事トップまで上り詰めた尾坂部の未解決は信金の猟銃強盗殺人事件、ただ一つだけ。

OL連続暴行事件は被疑者死亡だが解決したとされている。

 

結婚を控えた尾坂部の娘 いしのようこはお金や肩書のためじゃない、「警察組織より家族が大事」と考えるなんてあり得ないと断言。
尾坂部の天下り先、「社団法人 産業廃棄物不法投棄監視協会」は警察との癒着目的のために業界が用意した団体。
尾坂部は、精力的に現場を巡回し、彼の部屋には大きな地図に無数の印。

まるで刑事のようだ。

「心配するな。何も起こらん。」という尾坂部。
 

尾坂部に仲人を頼んだ間柄の清水宏次朗に相談すると尾坂部には15年前、高校生の時に事故で死んだ息子がいた。

それは唯一の未解決事件である信金 猟銃強盗殺人事件と同じ年に起こっていた。
尾坂部はもうすぐ時効を迎えるこの事件を調べているのか?
強盗殺人事件の捜査中にいしのようこの兄の事故が起きていたが、病院で生死を彷徨う息子と泣きじゃくる娘を置いて、尾坂部は捜査に戻っていった。

 

この事件の犯人グループを時効直前に清水達が一斉逮捕。

これで尾坂部は理事を辞めるだろうと安堵するが「辞めるつもりはない」とアセアセ

彼が追っていた事件は違っていた。

県警一の情報通、留置管理室の佐々木から話を聞くと5年前、いしのようこはレイプ被害にあっていた。

5人が被害に遭い3人が殺害され、遺留品ゼロで体液も残さない、さほど若くない男。

殺した女と殺さなかった女の違いは?

いしのようこは男の体から魚の匂いがしていたと話す。
1件を「俺がやった」と友人に漏らした奴が見つかったが、追跡中に事故を起こして死亡してしてしまう。

他の事件も手口が似てることから同一犯だろうと被疑者死亡で解決とされたが…。

尾坂部はこの事件を追っていると確信する二渡警視。

尾坂部の妻は「犯人までたどり着いていて、あと一歩まで追いつめてる」からこそ、お世話になった警察に我儘を言っていると…。

 

猶予まであと1日に迫った朝。

尾坂部は二渡警視を車に乗せ、「物証の毛髪があり、犯人はもうすぐ挙がる」と明かす。

しかし唯一の物証である毛髪は当時、血液型鑑定のために化学的処理を行っていてゴミとなっていた。 

なぜ、尾坂部は今はない物証をあると話したのか?

血液型はA型で毛髪は白髪。

殺害された女性は首の動脈を切られていた。

魚をさばくときにまず包丁をいれる箇所。


犯人は「釣り好きで白髪のA型」。

全ては偶然から始まった。

タクシー運転手をやめた青木は条件の良い協会の運転手の職を見つけた。

担当するのが自分の事件を捜査した刑事だと気付いたが、割のいい仕事を失うのは惜しいと思い、ばれるはずないだろうと高を括っていた。

釣り好きの白髪頭は5万といるが、青木が事件の場所を避けて運転することを見逃さなかった尾坂部。

「犯人は現場に戻らない」が尾坂部の口癖だった。

青木に現場近辺を走らせ、どの道を選んで通るのか、どの道を通った時に彼に変化が起こるのか、しぐさや息遣いまで観察した。 

物証がない今となっては自白以外に事件の解決をみることはない。

 

尾坂部は今朝、二渡警視にわざと事件の話をさせて、勝負に出た。 

それは青木に聞かせるためだった。

あせった青木は尾坂部を殺そうとするが、二渡警視と清水宏次朗達が駆け付けて逮捕する。

 

「殺した女と殺さなかった女の違いは泣いたか、泣かなかったか」。

ビービー泣く女は嫌い。

だから泣かなかった女はご褒美で殺さなかったと。

私なら絶対に殺されてるわガーン

 

上川隆也、カッコよ過ぎですラブ

 

上川 隆也、いしのようこ、伊東 四朗、高田 純次、麻木久仁子、浅田美代子(友情出演)、長内美那子、清水宏次朗、鈴木ヤスシ、市川  勇、近江谷太朗、宗近 晴見、三田村周三、有福 正志、首藤 健祐