鴨志田新一(伊東四朗)は、警視庁東王子署の警部補。別れた妻との間にできた娘・岡崎真実(羽田美智子)は警察庁刑事局のエリート警視だが、二人の職場の人間は鴨志田と真実が親子だということは誰も知らない。  目下独り身の鴨志田は、海外赴任中の友人の家に住まわせてもらっていて、真実もその家に居候している。
また、家には友人の息子で司法浪人生の姉小路行人(石井正則)が暮らしていて、事件が起きると何かと首を突っ込んでくる。  そんな姉小路家に、ある日、名古屋に住む行人の叔母・姉小路秀子(戸田恵子)がやってくる。親に頼まれて行人の様子を見に来たというのだが、早々に真実と衝突し、不穏な空気が流れる。
その日、大手出版社社長でマスコミにも名の売れている山川雅行(石田太郎)が、隅田川を航行する水上バスから血を吐きながら転落、死亡するという騒ぎが起きる。神谷船着場近くの現場に急行した鴨志田は、川に転落する直前、山川が『あいつ』という言葉を口にしていたことを知る。どうやら山川は毒殺されたらしい。鴨志田は、山川の所持品の中に衣川しぶき(メイサツキ)という歌手の非売品の見本版CDがあるのに目を留める・・・


①出版社社長の石田太郎

②落語家の楽々亭快笑

③歌手の衣川しぶき


大手出版社社長の石田太郎が乗っていた水上バスで吐血し、川に転落して死亡。

転落直前に「あいつ…」と口にしていた。

所持品に衣川しぶきの非売CD。

服用後1,2時間で死に至る化学系毒物パラミンを飲まされおり、乗船前に毒を盛られた可能性。

12:30~14:00 浅草で落語家の楽々亭快笑の自叙伝出版記念パーティに出席。

15:05 会場から徒歩10分の桜橋から水上バスに乗船。

空白の1時間→14:00過ぎに同年代の男性と浅草のバーにいた。

 

パーティーには歌手の衣川しぶきも出席していた。

石田が持っていたCDは宣伝用で会場で何人かに配ったと彼女は話す。
寄席で沢登駒太郎と沢登駒輔の写真を熱心に見ていたとの目撃情報あり。


高座中に落語家の楽々亭快笑が同じ毒物で殺害される。

毒物は女性から差し入れられた好物の林檎に入っていた。

包み紙には石田太郎が持っていたCDについてたのと同じ指紋が掲出された。

 

指紋の主、衣川しぶきの犯行が疑われるが彼女も自宅で死亡しているのが見つかる。

彼女のブログに遺書がアップされていた。

「石田太郎を愛していたのに楽々亭快笑も愛してしまった。2人を殺して私も死ぬ。」

差し入れの果物を買ったレシートも見つかった。

しかし、彼女の遺書にしては文が上手すぎる。

 

楽々亭快笑と衣川しぶきは借金まみれだった。

快笑は博打、しぶきはブランド物狂い。

快笑は最近、「金が入り、返済する」と言っていたらしい。


戸田恵子が読んでいた、小説「赤水門」の時代背景と石田太郎の大学時代が重なって気になる鴨さん。

荒川の氾濫をせき止める為に建造された赤水門。

昭和30年代、赤水門の近くに住む早稲田大学の貧乏学生と売春防止法施行前夜

の千寿のバーのホステスの悲恋物語で流行作家、下條アトムの最新作。

ラストは妊娠したヒロインが学生の将来を考えて、去っていく。

 

1週間前に赤水門で石田太郎が小料理屋の女将、 山口果林と何やら話し込んでいた。

女将は石田の事も知らないし、赤水門にも行ったことが無いと言い張り、その後、海に身を投げて自殺未遂し、意識不明。

石田と「赤水門」の作者、下條アトムは早稲田の同窓で親友だった。

下條も楽々亭快笑のパーティーの発起人の1人として参加していた。

作品は下條アトムと山口果林の私小説で、小説のように山口は妊娠し2人の前から姿を消していた。

 

犯人は下條アトム。

初めはスポーツマンの石田と山口果林が恋人同士だった。

しかし、山口のことが好きだった文学青年の下條は「石田は遊びに過ぎない。他に女がいる」と嘘を吹き込む。

石田の愛に疑問を持つようになった山口が、下條に相談するようになり2人は結ばれる。

妊娠した山口は下條の為を思い姿を消し、下條は必死に行方を探したが見つからなかった。

下條と山口の関係を知らない石田も突然いなくなった彼女を探してた。

 

山口の行方がつかめないまま40年の年月が過ぎたが、彼女は子供を自身で育てられず、沢登駒太郎の元へ養子に出していた。

 

本が出版された時に石田は「自分と山口の話じゃないのか?」と問うが下條は否定する。

懐かしくなったのか、石田は思い出の赤水門界隈に行き、昔からあった演芸場に入る。

そこで沢登駒太郎親子の舞台を見入っている山口を見つけた。

石田は沢登駒輔が自分と山口の子だと思い込み、赤水門に山口を呼び出し問い質した。

そして山口は真実を話してしまった。

出版記念パーティーは共に発起人になっていたので下條も出席せざるえなかった。
そこで親友の自分を裏切り、自分の恋人に子供を産ませたことに憤る石田は「責任をとらないと絶対に許さない。」と詰め寄る。

話に応じるふりをしてパーティー後、一緒に浅草のバーに入る。

石田の目的は山口と子供に対して償う事ではなく、自分を裏切った下條を苦しめることだった。

下條は自分の築き上げたもの全てを奪おうとする石田を殺害する決心をする。
パラミンは写真の現像液に含まれており、写真が趣味の下條には容易に入手でき、バーで飲み物に混入したのだった。

 

パーティー会場での2人の会話を盗み聞きしていた楽々亭快笑と衣川しぶきが、石田の死後に脅迫してきた。
下條は石田を殺害した事を山口に告白し、殺害を手伝ってくれるように頼む。

下條が差し入れの果物を購入し、山口にライブハウスでサインをもらうふりで、しぶきの指紋を包装紙につけさせた。

そして山口が快笑のファンのふりをし、楽屋へ毒入りの林檎を差し入れしたのだった。

しぶきは下條が殺害し、彼女のふりをして遺書をブログに上げたが、作家の才能が出てしまい内容が上手すぎてしまった。


罪の重さに耐えきれなくなった山口は「自分が石田を裏切らなければ…あなたを愛さなければ…」と詫びて自殺しようする。

下條が彼女を止めようと揉み合っているうちに彼女は転落してしまった。

意識を取り戻した彼女は全て自分の犯行だと下條を庇う。
 

40年間、下條を愛し続けていたのは素敵だけど、その思いを利用してくる男だよ、下條は。

そんな男に手を貸すな。

 

偶然、家族(?)で話題になった本と事件が結びついたり、

石田と話し合う前から下條が毒を用意していたり、

石田が沢登駒輔が自分の息子だと気付いたり(実際は下條の子だけど)

あちこちに少し無理ある場面が出てくるけど…細かい事はいいのよ。

重箱の隅をつつくタイプの私だけど、このシリーズは大らかに楽しく観てますキラキラ


伊東四朗、羽田美智子、石井正則、戸田恵子、山口果林、下條アトム、石田太郎、小倉久寛、矢島健一、佐渡稔