渡瀬恒彦主演「十津川警部」シリーズ第28弾。東京・青山で古美術商が殺される。犯人は雪舟の贋作を盗んでいった。絵の持ち主はホストをしている大学生だったが、その恋人が誘拐され、犯人は大学生に実家に残っている雪舟の別の贋作を持ってくるよう要求する。犯人が贋作にこだわるのはなぜか? 十津川は絵に宝の隠し場所が印されていると気づく。20年前に起こった盗難事件と、大学生の出生も謎を解く重要な鍵だと分かるが…。
青山の古美術商が殺された。犯人は、雪舟の偽物だけを盗んでいった。残されたメモから、その絵は学生の広中和也(高杉瑞穂)によって店に持ち込まれたことが分かる。和也はホストとして働いており、絵は実家から持ち出したものだった。和也が恋人・水島まなみ(国分佐智子)を連れて、実家のある宮古へ向ったことを知った十津川警部(渡瀬恒彦)は、部下に和也の尾行を命じる。和也たちは人を捜している様子だったが、突然現れた車にまなみが誘拐され、事件は意外な展開を見せる。誘拐犯は和也に、実家に残る20年前に世話をした、旅の僧が残して行った雪舟の絵の偽物を全て持って来るよう指示する。県警は和也に掛け軸を持たせて犯人の接触を待つが、裏をかかれて取り逃がしてしまう。
十津川は犯人が探していた絵に、ある地名が隠されていることに気付いた。その場所からは20年前の新聞が発見される。20年前、三人組に宝石店が襲われた事件が発生しており、犯人も盗まれた宝石も行方不明になっていた。雪舟の絵を残した僧・空仁(寺田農)が犯人の一人だった。やがて捜査線上にもう一人の、大森昌一(玉川・長太)が浮かぶが、大森は殺されて発見される。盗難事件と誘拐事件を結ぶ謎とは何か? 和也の出生の秘密が、事件に大きな関わりがあることが分かる…。
①古美術商
②宝石泥棒の3人組の1人 大森
20年前
横浜の宝石店に泥棒が入り、宝石や金塊が金庫ごと盗まれた。
3人組の犯人の正体が分からないまま時効が成立。
犯人の1人、寺田農が盗んだ宝石を塔のへつりの岩穴に隠し、隠し場所を水墨画にしたためて、旅の途中で倒れていたところ助けられた広中家に置いて来た。
共犯はパチンコ屋店員の大森と配管工の古沢。
大森は10年前に傷害致死事件を起こして刑務所に入っていたが2週間前に出所していた。
古沢は既に病死していた。
大森の死体が彼のアパートから発見されたが、直前に会っていた男女が分かる。
死ぬ前の古沢と同じ部屋に入院していた宇梶剛士と妻の高樹澪。
2人は宇梶剛士の長期入院によって経営していた会社の負債が大きくなり、夜逃げをしていた。
古沢から聞いていた「隠された3億円の宝石」を見つけて返済に充てようとする宇梶。
刑務所の中にいる大森に面会に行き、仲間に引き入れたが、実際に宝石を隠した寺田農の所在が分からずにいた。
そこへ出所した大森から寺田農の描いた掛け軸がお宝鑑定番組に出ていると連絡があった。
彼の掛け軸を集めれば、本人を探し出さなくても宝石を見つけることができるという。
高杉瑞穂から掛け軸を買い取らせた古美術商を足が付くのを恐れて殺害したのは大森。
そんな彼に自分たちも殺されるのでは…と怖くなり、宇梶は大森を殺害した。
それから夫婦は高杉瑞穂のGF、国分佐智子を誘拐して残りの掛け軸を手に入れた。
隠し場所が塔のへつりであることは分かったが宝石はなかった
となると、やはり寺田農から聞き出すしかないと考え、高杉瑞穂に居場所を突き止めさせる。
しかし、寺田農は19年前に事故で死んでいた。
そして当時、彼とつるんでいた大迫昇という男が寺田農の死んだ日から姿を消した。
警部は寺田農が大迫昇に成りすまして生きているのではと考えた。
大迫昇は市議会議員になっていた。
かつての同僚に顔を確認させたところ、彼が寺田農だと証言した。
国分佐智子は高樹澪によって既に解放されていたが、それを知らず、宇梶に寺田農の正体を知らせる高杉瑞穂。
そして呼び出した宇梶夫妻をライフルで殺そうとする寺田農が殺人未遂で逮捕された。
高杉瑞穂がお宝鑑定番組に応募したのは実の父親を捜すためだった。
親しい住職から掛け軸の作者、僧・空仁が父親ではないかと聞き、彼の正体を知ろうとしたのだ。
警察署の廊下ですれ違うように会う、親子2人。
寺田農は自分の子供が目の前にいるとは知らない様子だった…。
渡瀬恒彦、小野ヤスシ、小野武彦、堤大二郎、高杉瑞穂、国分佐智子、寺田農、伊東四朗