2100年「8000万人国家」を 人口減少で対策強化提言―民間有識者会議
2024年01月09日18時34分 時事ドットコム

民間の有識者らでつくる「人口戦略会議」(議長・三村明夫前日本商工会議所会頭)は9日、人口減少を踏まえた提言「人口ビジョン2100」を公表した。今後想定される人口の急減により、日本社会が「果てしない縮小と撤退を強いられる」と警鐘を鳴らし、2100年の「人口8000万人国家」を目標として提唱。

「人口戦略会議」という民間団体HPに「人口ビジョン2100」なる文書が公表されている。提言内容は誰でも知っているありきたりの内容である。増田元総務大臣も入っているし純粋な民間団体ではない。でなければ公表即日に岸田首相に渡すなんて不可能である。

ふと思うのは「一億総活躍社会」はどうなったんだということ。とんとこの単語を耳にしなくなった。半世紀後(2060年代)に人口1億人をキープするとかそんな内容で、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)や、一億総活躍担当大臣なんて役職も振られていたはず。




▲一億総活躍社会の概略

端的にいえば「ハードルを下げた」ということだろう。2016(平成28)年6月策定ということは、当時の最新統計(2015年)はまだ年間出生数がかろうじて100万人を超えていた。


▲人口動態総覧の年次推移(出生数)

その頃から「このままだと少子化は加速するぞ!」と言われており、当然、現在その渦中にいる。2023年の年間出生数は72〜73万人ほどと思われる。ほんの7、8年で生まれる子どもの数が3割ほども減少し、その傾向は継続している。「静かなる有事」という表現があるけど的確な表現だと思う。中長期的にでも、その傾向が反転するとはちょっと思えない。

なので「人口ビジョン2100」は、なんだか戦時中の「絶対国防圏」のようで、威勢はいいけれど、目的達成のための手段がグダグダなところもそっくりである。しばらく消費された後、よりハードルを下げた別途のプランが示されることだろう。