熊本市が公務員給与に「地域手当」要望 全国政令市で唯一、未適用 市長「優秀な人材確保つながる」
2023年06月20日 熊本日日新聞

熊本市の大西一史市長は20日の市議会一般質問で、民間賃金の高い都市部などで公務員の給与に上乗せする「地域手当」について、支給の対象地域にするよう国に要望したと報告した。地域手当は人事院規則に定められており、10年ごとに見直される。市は2024年8月の次回見直し時の指定を目指す。

 地域手当は国家公務員の給与を削減する一方、物価が高い地域で実情に合わせた給与水準を確保するため、国が06年4月に導入。熊本市は全国の20政令指定都市で唯一指定を受けておらず、福岡、北九州両市より物価水準が高いことを踏まえて要望した。人事院規則で対象地域に盛り込まれれば、支給が可能になる。




地域手当の根拠は「一般職の職員の給与に関する法律」と人事院規則9-49(地域手当)である。これの16条には「給与法第十一条の三第一項の人事院規則で定める地域及び同条第二項の地域手当の級地については、十年ごとに見直すのを例とする。」とあるから記事の内容とも一致する。来年2024(令和6)年に決定して、2026(令和8)年度から施行か。

記事本文には「人事院規則で対象地域に盛り込まれれば、支給が可能」とあるけど、そもそも人事院規則に定める地域手当って、直接的には国家公務員給与の話。なんで地方公務員給与にリンクしてるんだろう?と思ったけど。地方公務員法24条2項「職員の給与は、生計費並びに及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」とあるからこれが答えだろう。

何事もお国準拠の業界である。21世紀初頭にちょっとだけ話題になった「地方分権」も、地域住民はそんなの興味ないし、これを主に担うべき首長、地方議員、職員なんかも能力以前に慢性的人手不足が叫ばれて久しい。つい先日も、狼藉な地方議員が職員を殴って傷害罪で捕まって、議会で辞職勧告決議喰らっても居座ったりしてる千葉のどっかの町が報道されていた。反社の下部構成員みたいな面構えだった。実際やってることは反社と同じだし。国も、そんな地方には何も期待していないだろう。

冒頭の記事だけど、ちょっと疑問なのは給与条例主義(地方公務員法24条5項、地方自治法204条)なのだから、なんか別名目で同等の手当を付与できないものだろうか。露骨にお手盛りと見られて議会を通せないか。実際、地域手当の導入は2006(平成18)年4月からとあるけど、それっぽい手当はこれ以前から支給されてた気が…と思って昔の(特別区職員時代の)給与明細見たら、「地域手当」の欄が以前は「調整手当」となっていた。


▲2016(平成28)年度施行の地域手当見直し



▲ R5.11.7社会の変革に対応した地方公務員制度のあり方に関する検討会 給与分科会(第1回)事務局配布資料より