4月から公務員定年引き上げ 国・地方、人手不足に対応
2023年03月25日23時09分 事情ドットコム

現在60歳となっている国家公務員と地方公務員の定年が、4月1日から61歳に引き上げられる。その後も2年ごとに1歳ずつ引き上げ、2031年度に定年を65歳とする。シニア層の職員が持つ知識や経験を生かすとともに、少子高齢化が進む中、深刻化する人手不足に対応する狙い。
(中略)
21年に成立した改正国家公務員法は、定年を23年度から段階的に引き上げることや、60歳に達した職員は原則として管理職から外す「役職定年制」の導入を盛り込んだ。給与は当面の間、60歳時点の7割水準とする。地方公務員も同様の対応を講じる。
 定年が2年ごとに1歳ずつ延長されると、定年退職者がいない年が生じるが、従来のような退職者を補充する形の採用では、若い人材を安定的に確保できなくなる恐れがある。このため政府は定年の引き上げ期間中も継続して一定数を採用する特例的な措置を検討。地方公務員についても、総務省が自治体に対し、複数年度で採用者数を平準化するなどの対応を求めている。





これから8年間かけて、定年引き上げが段階施行される。30代以下の若手からは概ね評判が悪い。長めに引用した上の記事からポイントを見ていく。個人の見解を含む。

① シニア層の職員が持つ知識や経験
ばらつきが大きい。制度趣旨に適う素晴らしい人材と、うーんって人に二極化している。新人なら言って聞かせれば改まるけど、シニアはなまじプライドがあるから難しい。へそ曲げて仕事しなくなるとかあるある。

② 60歳に達した職員は原則として管理職から外す「役職定年制」
このフレーズ最大のポイントは「原則」であるということ。勤務自治体は一つずつ役職を落として60歳以降勤務させることが決定している。なぜか知らないけど管理職から外すことはしない。区局長は部長、部長は課長として、引き続き管理職である。課長は課長補佐、これは非管理職。課長補佐・係長はまとめて一般職員にする。
さて、そうすると現職は2階級上のシニア職員とポストを奪い合う。例えば、経験年数的に部長ポストが見えてきたベテラン課長は、2階級上のシニア区局長が部長に降りてくるのでおあずけをくわされる。係長試験合格を目指す若手は、シニア課長が課長補佐(勤務自治体では係長と共通ポスト)に降りてくるので、合格枠が減少し、試験で足踏みを強いられるリスクが高まる。全体的にそういう感じで、要は上がつかえるので人事が滞留する。

③ 給与は当面の間、60歳時点の7割水準
現行の再任用の給与は勤務自治体だと6割水準。上の役職だともっと低いことも。定年引き上げ後は7割水準に引き上げられる。全然報道されないけど、このご時世にかなりの優遇措置だと思う。正直言うと不自然だと思う。勤務自治体の場合、60歳以降の給与水準は一般職員で約500万、係長職・課長補佐職(60歳以降一般職員枠)で約600万、課長職(60歳以降課長補佐職)で約700万、部長職(60歳以降課長職)で約800万、区局長職(60歳以降部長職)で1,000万弱と説明があった。60代の勤務条件としては破格の待遇だと思うけど「3割も減らされる」と恨み節を漏らす人がいて驚愕した。一度ハローワークに行くといい。60代をそんな勤務条件で5年雇ってくれる組織がどこにあるだろう。また、ポイントは「当面」というところ。この辺の厚遇ぶりは世間の知るところとなり、水準引き下げがされるものと予想している。

④ 定年が2年ごとに1歳ずつ延長されると、定年退職者がいない年が生じる
当然、新規採用者数でその調整が行われる。記事では採用者数を平準化するとか言ってるけど、その分の余計な人件費を国が出してくれるわけではない。安定的な採用戦略はされないだろう。結局、若手職員と学生が定年引き上げの犠牲である。シルバー民主主義の弊害が公務員組織の人事管理に顕在したということ。

何言っても2023年から定年引き上げが始まる。8年間の段階施行を経て、2031年に制度完成する。生きていれば、僕は49歳。そこから定年まで16年。



★3/27(月)追記
公務員定年引き上げに異論反論「どこまで若者の働き口を奪う?」…年金支給年齢の引き上げ準備との見方も
3/27(月) 21:16配信 FLASH

《大学生は採用枠を奪われる。若手は昇給を抑えられる。中堅は昇任を遅らされる。ベテランはポストを奪われる。幹部は仕事をやりにくくなる。老年層は皆から疎まれる。結局、誰も得しない制度》