(1)心臓の位置と大きさ ●
心臓は胸部の中央やや左側に位置し,左右の肺と前後の胸骨と脊椎に囲まれ,下は横隔膜に接して存在します.高さとしては,胸骨第2肋骨から第6肋骨の間に位置します(図1)





● 若い頃は心臓の先端部(心尖部)を下にして立ったような状態になっており,逆に高齢者や肥満の人は,心臓が横に寝たような状態となっていることが多いです.大きさは大人の手の握りこぶしくらいで,重さは200~300g程度です 図1 心臓の位置 心臓の解剖の理解は心電図の理解につながる! 心電図を理解するには,まずは心臓の解剖をしっかり理解することです.P波やQRS波がどのようにして形成されるか,QRS波の後にはT波が認められるのにP波の後にはなぜT波に相当する波形がないのかなど,心臓の解剖をみればわかってきます.心房と心室では心筋の厚さが異なるため,波形の大きさに差が生じるのは当然のことであり,心室ではみられる波形が心房ではみられないことがあっても不思議ではありません.

(2)心臓の解剖
● 心臓は,上方に位置する心房と下方に位置する心室によって形成されています.心房には右心房(右房)と左心房(左房),心室には右心室(右室)と左心室(左室)があるため,4つの部屋が存在します.それらの内部には血液が常に循環しています(図2) ● 心房と心室は弁で仕切られており,右房と右室の間の弁を三尖弁,左房と左室の間の弁を僧帽弁といいます.右房と右室は静脈系,左房と左室は動脈系の血管と接続しています ● 4つの部屋は心筋によって囲まれており,その厚さ(自由壁)は左右の心房では2~3mm,右室では3~4mmですが,左室は10mm前後と他に比べて厚くなっています ● 心筋は心膜によって包まれており,心臓と心膜の間には少量の心膜液があり,この液が心臓の動きを円滑にできるように助けています





図2 心臓の内部構造