摂取カロリーが同じでもエネルギー消費が少なければ、肥満の原因となる。とくに、エネルギー消費で大きな割合を占める基礎代謝が低ければ、肥満を起こす原因の1つとなりうる。

成人を対象にした研究では、肥満の発症におけるエネルギー消費の個人差の役割について、データにばらつきが大きく、結論を得るにはいたっていない。

傾向としては、エネルギー消費の絶対的な総量は、肥満者のほうが大きいようだ。しかし、体の組織構成、つまり、非脂肪組織と脂肪組織の割合を含めて考えると、肥満者も非肥満者もエネルギー消費に差はないというデータもある。

両親が肥満であれば、その子どもは、肥満になる遺伝素因を受け継いでいると考えられる。そのような子どもは、肥満を発症する前段階のモデルとなる。

もちろん、子どもがすでに肥満であるとか、あるいは、子どもを追跡調査したら肥満にはならなかったとかいう場合も考慮しなければならない。

少なくとも、肥満の両親をもつ子どもは肥満になる確率が非常に高いので、肥満の発症を病因論からさぐるうえで重要だ。