WBCミニマム級・井岡翔人選手・初防衛戦
わずかプロ7戦目(日本最短)で世界チャンピオンになった、井岡一翔選手。
私は後楽園ホール中心で観戦していますので、どうしても中部以西の選手の事は疎くて、井岡選手の事は世界チャンピオンになった試合をテレビ観戦しただけです。
その時は動きが軽やかでテクニックがあって、そして冷静さもある、若いのにもうこんなにできあがっているのかと思いました。
でも、まだ知名度と人気は、関東では高くないということでしょうか、この防衛戦は国技館や武道館などよりはるかに収容人数の少ない後楽園ホール。
しかもテレビ中継が入るのはいい事なのですが、なんと夜9:50~ゴング。
通常の後楽園ホールでの興行は、夜6時にスタートして3時間ほどで終わります。
それが、この日は夕方の5時半から夜の11時まで後楽園ホールにいました。。。
しかもバルコニー観戦だったので、楽な靴を履いて行ったにもかかわらず、かなりヘトヘトになりました。
だけど内容は大満足!!
観に行ってよかったです。
観戦記中は、選手の敬称を省略させて頂きます
スーパーフェザー級 4回戦 吉田浩樹VS今野整
今野整(宮田)…2戦1勝1敗
様子見でお互い頭を振って細かく手を出し合っていたが、吉田が放った右フックが見事にヒット!
なんと、わずか1R1分1秒で、吉田選手のKO勝利!!
64.0kg契約8回戦 グランサク・ノンタブリVS水谷智佳
グランサク・ノンタブリ(タイ)…11戦7勝4敗 19歳
水谷智佳(宮田)…12戦9勝(3KO)3敗 30歳
水谷が距離を詰めて顔面ボディと打ち込み、ノンタブリも打ち返すがガードが下がりがち。
ノンタブリは前に突進する動きが多いので、水谷は横から回り込んでボディを攻撃。
2Rボディを連続で打たれ、ノンタブリダウン。
3R、アッパーのように突き刺さるボディでノンタブリダウン、再開後、左フック2発のボディでダウン。
レフェリーストップ。
3RTKOで、水谷選手の勝利!!
スーパーフェザー級 8回戦 石田匠 VS エドウィン・トゥンバガ・シンワンチャー
エドウィン・トゥンバガ・シンワンチャー(フィリピン)…東洋太平洋11位
1R、シンワンチャー素早くジャブを入れ、石田の打ち終わりに合わせて飛び込む。
石田は早いワンツーとボディ攻撃。
シンワンチャーは力強いフックでボディを狙って入れる。
石田も重い音を響かせて力強くフックを入れる。
2R、シンワンチャーが顔面にパンチをもらって、鼻からの出血でドクターチェック。
再開後、石田のフル回転での攻撃でボディが入り、シンワンチャーダウン。
2RTKOで石田選手の勝利!!
ライトフライ級4回戦 落合令 VS 斉藤緩志
斉藤緩志(宮田)…デビュー
まず落合がヒットさせたが、斉藤は勢いがある。
相打ちでも斉藤が打ち勝つ事が多い。
徐々に落合が接近戦で当てるようになり、3Rには右・ワンツーときれいに決まる。
斉藤は前半より動きが落ちてしまい、最後はダッキングやクリンチに体が追いつかない。
前半は落合がよく動いてヒットさせ、後半は斉藤のペース。
39-38斉藤 38-38×2 でドロー
(2者以上の支持がないとドローです)
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早いラウンドでのKOが続き、予備カードも終わり、セミファイナルまで40分以上の休憩 ( > < )
世界戦といえば、有名人発見♪ がありますが、角界の方々がいらっしゃいました。
大きいから目立ちますね。
琴欧洲関
あと、8日の興行に引き続き、ガンボア選手も。
そしてTBSの番宣で大林素子さんがいらっしゃいましたが、内山選手の所に挨拶に行かれていました。
ファンなのかなぁ~♪
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ライト級10回戦 福原寛人 VS 土屋修平
土屋選手の試合は、観に行きたいと毎回思っているのですが、最初はこの興行が関西かもと聞いて躊躇していました。
後楽園ホールで行われたのは、ある意味、私にとっては助かりました。
土屋選手はまだまだ粗いとか言われていますが、なぜか、こう…
期待感があるんですよね!!
福原寛人(江見)…25戦13勝(5KO)4敗8分 26歳
土屋修平(角海老宝石)…10戦10勝(10KO) 24歳
1R、まずは福原のジャブがヒット。その後もジャブが冴える福原。
土屋は、距離感が掴みづらいのかパンチが空を切る事が多いが、ワンツーの早さはさすが。
激しい相打ちがあったが、土屋が大きくよろけた。
その後、近い距離での打ち合いと押しこみが続いたが、1R終了直前、土屋の右がカウンターで入った!!
福原が立ち上がり、ゴング。
2R、土屋のジャブが入るようになってきた。ロープに福原を詰める場面も。
福原、前半は丁寧にダッキングとクリンチ。後半は、フック系で攻める場面もあるが、お互い深くは踏み込まず。
3R、自分の距離の時はフックの連打をしかけ、相手が仕掛けてきそうな時はクリンチで距離をつぶす展開が続く。
仕掛けるのは土屋からが多いか。
4R、近距離でのアッパーフックの打ち合い、離れてのストレートと一進一退の攻防だったが、後半は福原がストレートをヒットさせ、土屋の足どりが重くなる。
近距離での打ち合いで、福原が決める事が多くなり、土屋の顔面が今までになく腫れ、出血している。
5R、土屋が気合を入れ直したのか、リズムよくコーナーから出てジャブを決める。
福原はダッキングとスウェーを使い、近い距離で反撃のチャンスを伺うが、土屋の攻撃が積極的。
近距離で細かいパンチをまとめて打ち込む。
その後は福原、距離を取ってのボディ攻撃やくっついてのボディ・アッパーと、積極的に攻めた。
6R、福原の良く伸びたストレートが土屋の顔面にヒット。
しかし追撃の力が残っていなかったか、土屋のアッパーの反撃をもらう。
だが土屋もディフェンスの体勢が取れず、福原の反撃のワンツーをコーナーで受ける。
7・8R、体を付けての打ち合いが多いが、土屋が突き放して打ち込みたいが、体が離れた瞬間に福原のショートの攻撃を細かくもらう。土屋も返すが、カウンターをもらう事もあり、かなり打たれてしまった。
…この2R、、土屋選手かなりもらってました。それまではポイント取れてるよね、というラウンドが多かったと思いましたが、ここへきて、このまま悪い流れが続くかとヤキモキ…
大丈夫!!こんな流れでも、彼なら何か起こしてくれる!!!
9R、距離を空けて立ち姿勢で打つ土屋、潜るようにして距離を詰める福原。
だが、福原も距離を空けるようになり、フックを中心に単発で手を出し合う。
土屋の放った左フックが、福原の顔面を捉え、福原大きく後ろによろけた!
土屋はチャンスが来たと猛ダッシュで近づき、追撃の右!
しかし、ダッシュの勢いがあり過ぎて、放ったパンチとほぼ同時に、止まり切れない土屋と福原がマットに倒れ込む。
(私は両者ともスリップかな~?と思ったのですが、福原選手にはカウントが数えられていました)
福原、カウント6で立ち上がり、ファイティングポーズ。
再開と同時に、土屋は攻撃を仕掛けるために走り込み、福原はクリンチ。
しかしクリンチの体勢が低く取れず、フックを打ち込まれたところで、レフェリーストップ。
やっぱり、「持っている男」土屋修平!!
あとで知ったのですが、試合の一か月前に肺炎にかかっていたとのこと。
そこから立て直して、長いラウンドを戦う体力を作ったんだと思いました。
そして福原選手、KOキングと言われる土屋選手に階級を合わせてきて臨んだこの試合。
最後に、まだ逆転を狙っていたのにストップになったのが不満だったようです。
後楽園ホールに乗り込んで自分を認めてもらいたい、との意気込みだったそうですが、タフさ勇敢さは十分に証明されたと思います。
WBC世界ミニマム級タイトルマッチ
井岡一翔 VS ファン・エルナンデス
職場のボクシング好きの上司に、「では、今から後楽園ホールに行ってきます!!」と言ったら
「相手は指名挑戦者やろ~?日本人はせっかくベルト獲っても、それで落とすんや」と不吉な一言。
たしかに初防衛戦が、いきなり1位が相手とはハードル高いですよね。
でも、私はあきらめモードの気持ちは全くなかったです!!
タイトルマッチと言えば国歌斉唱ですが、歌い始める前に会場のあちこちから「だれ?」の声が…
私は詳しい方から聞いたので、分かりましたが…
元EXILEの清木場氏。
彼目当ての女の子たちもいました。
歌手が歌っている姿をこんなに間近で見られて、写真撮影OKって、なかなかないと思います。
そしてさすが世界戦。
私にとっては、後楽園ホールのボクシング興行では見たことない、派手なスポットライトでの演出。
最近は震災後の自粛ムードで、日本タイトルマッチの演出も控えめだったので、よけいに感じました。
今回、お父さんはなんと耳打ちしたのでしょうか…?
ファン・エルナンデス(メキシコ)…19戦18勝(13KO)1敗 24歳
1R
井岡から仕掛けて行くが、エルナンデスの反応が早いジャブで返す。
井岡、ジャブ続いてボディと狙うが、まだ距離が遠い。
エルナンデスも上下を狙っていくが、これも距離が遠く、井岡スウェーでかわす。
最後は距離が詰まってきたが、両者ともヒットより、防いでいるパンチがほとんど。
2R
上へ下へとリズムを変えて立ち位置を変えて、エルナンデスは動きながら多彩に打ち込むが、井岡よく反応して防いでいる。
井岡の左フックが当て、叫び声を上げる!
3R
井岡の攻撃が当たる回数が増えてきた。
エルナンデスと同時に手を出し、交差するそのスピードの迫力が凄い。
エルナンデス、警戒して大きくサークリングしつつも左のトリプルなど攻撃も積極的。
4R
井岡がジャブから右を入れた!追撃をするが、エルナンデスも打ち返してがれを止めた。
お互い距離を縮めて、内側から攻撃。
アッパーと近い距離のフックが飛び交う。
【公開採点】
39-38 39-37×2 3者とも井岡の優勢!!
5R
結果を聞いたからか、エルナンデス、距離は空けずにジャブを突きつつ、井岡の動きを見て打ち込もうとしている。
井岡、両手をしっかり上げたガードから素早く打っては、素早く腕を戻す。
エルナンデス、攻めあぐねている様子。
井岡のガードとジャブが、光って見えた。
6R
井岡のジャブがよく出る。
エルナンデスは、少し距離を空けて回りを回るが、時折放つジャブやボディを打ち、決めた攻撃もあったが外を回っている時間が長かった印象。
7R
井岡がジリっと距離を詰めて、ボディを狙う。
エルナンデスも積極的に前に出て、井岡右をもらったが、強気に挑発をする。
終了間際に、井岡が右を入れたが、エルナンデスが顔を後ろに向けており、あまり効いていなかったか。
8R
エルナンデスサイド、開始の合図にすぐにセコンドが離れず、しかもワセリンの拭き取りの注意。
井岡が攻撃の回転を上げてエルナンデスを追い込むが、エルナンデス懸命に逃げ、ダウンにつながる攻撃が当たる事はなかったが、エルナンデスの足取りはかなり重くなった。
【公開採点】
79-74 78-74×2 3者とも井岡を支持
9R
採点結果を聞いて、積極的に攻撃に出るのか逆転の一撃を狙ってくるのかと思ったが、エルナンデス、近くで攻める事もあるが、すぐに距離を空けて外から様子を見ている。
ここに来ての印象…
開始時のエルナンデスの精彩さは影をひそめ、井岡は大きな変化なく、きれいなファイトスタイルを続けている。
10R
井岡のボディ攻撃を受け、ますます辛いエルナンデス。
井岡のガードは下がることなく、しっかりキープされており、なかなかエルナンデスは崩せない。
しかし、井岡の顔にパンチを掠めさせ、ヒッティングカット。
11R
井岡のボディが決まり、続けて右、エルナンデス必死で逃げるが、青コーナー付近でワセリンで滑って転倒。
(先のラウンドで塗り過ぎたワセリンが、落ちていたか?井岡陣営も、念のため赤コーナー付近を拭きとる)
エルナンデスは逃げに徹したいが、井岡のボディ攻撃がまた入った!
12R
井岡のきっちりしたガードとジャブ、そしてボディ攻撃。
エルナンデスは後がないが、無茶な攻撃をしてくることもなく、いいところがないまま終了。
チャンピオンの勝利は、結果を聞くまでもなく明らか。
116-112 117-111 118-111 堂々のポイント差で井岡選手の初防衛成功!!
井岡選手、余力を残しての見事なファイトでした。
勝利者インタビューの受け答えも、頼もしさを感じました。
これからどんなチャンピオンになっていくのか、複数階級制覇はあるのか…
色々と期待が膨らみます!